昨年末に私自身初となる3Dプリンタ『Ender3 V2』を購入してから1年ほどが経とうとしています。
Ender3 V2関連の記事はこれまで多数ご紹介してきました。
国内・海外問わず比較的多くの情報を入手する事ができ、そして最近ではAmazonなど国内ショップでもこなれた価格に落ち着いてきたこともあり初めての3Dプリンタとして選ばれる方も多いかと思います。
2台目となる『Artillery Genius』も加わり、最近では『Kingroon KP3S』も仲間に加わりと・・・現在3台の3Dプリンタを使って運用しています。
3Dプリンタという新しい趣味を見つけ非常に楽しい時間を彼らとともに共有する事が出来ています。
完全に3Dプリンタ沼にハマってますね!
3Dプリンタでの造形は非常に時間がかかるものとなります。
趣味用途など何か決まった目的で3Dプリンタを利用されている方は複数台での運用は限られた時間を有効に使う意味で非常に便利となります。
私の場合は電子工作という趣味用途で主に使っていますが、寸法確認のためのテスト出力やパーツ同士の可動部分の確認など・・・完成までには何度もテスト出力を重ね確認等行うわけですが、複数台での運用により並行して作業する事ができ時間短縮にも大いに役立っています。
そして3Dプリンタは機能や精度向上のためカスタマイズ(改造など)させるためのパーツを自分自身で作ることが出来るのもまた面白く便利となります。
Ender3 V2などEnderシリーズの機体は、多くの情報が上がっているので気になった所を少しずつカスタムさせていく・・・3Dプリンタ初心者としては基本的な知識や構造など理解する上でも役立ちます。
そんな事で今回はEnder3 V2をカスタマイズさせるためにこれまで作ったパーツをまとめてみたいと思います。
Ender3 V2でこれまでやってきたカスタマイズ(改造)に関してはこちらの記事でもまとめているので一緒に見て頂ければと思います。
3Dプリンタで便利に使えるアイテム、そしてカスタマイズさせるためのパーツなどは3Dプリントデータ共有サイトで多数公開されています。
代表的なサイトで言えばThingiverseでしょうか。
私もThingiverseのアカウントを作り使ってよかったものなどは公開するようにしています。
ちなみにこちらが私のThingiverseアカウントとなります。
お時間ある時にでも立ち寄って頂ければと思います。
これまで私が公開したものの中でEnder3 V2で便利に使える周辺パーツやカスタムパーツに限定して今回ご紹介していこうと思います。
カスタムパーツは使用される方の環境や3Dプリンタの構成により使い心地が大きく変わってきます。
Ender3シリーズのパーツデータは比較的多く公開されていることから選ぶ選択肢は多くなっているとは思いますが、それでも使いたいパーツを見つけても自分の構成では使えない(使いづらい)といった場合も多々ありました。
このようなものはリミックスとして自分の環境で使いやすくなるように作り直して公開などもしています。
ご自身の使われる構成や環境などにより変わってくるかとは思いますが、そのあたりも意識しながら本記事を読んで頂ければ、Ender3 V2で便利に使えるパーツが見つかるかもしれません。
フレームに取り付けるツールボックスや操作パネル用のノブ・・・などなどいろいろと最初は作りたくなり取り付けてみたりするのですが、実際の所使っていると逆に不便になり使わなくなるものも多いかと思います。
これまでEnder3 V2を1年ほど使ってきてカスタムパーツや周辺アイテムとして便利に使えた物に限定してご紹介していこうと思います。
それでは見ていきましょう!
目次
Ender3 V2で便利に使えるカスタムパーツや周辺アイテムまとめ
初めての3DプリンタとしてEnder3 V2を選ばれる方も多いと思います。
これまでEnder3 V2を約1年間使ってきて便利に使えたカスタマイズ用パーツや周辺アイテムをご紹介していきます。
Ender3 V2の購入を検討されている方や始めたばかりの方に読んで頂ければと思います。
フィラメントクリップ
まず3Dプリンタを購入してからよく使うものと言えばフィラメントクリップでしょうか。
使用後のフィラメントを保管する際にスプールに巻かれているフィラメントの巻がズレないように固定するクリップですね。
フィラメントクリップはThingiverseには多くのデータが公開されています。
3Dプリンタ購入当初いろいろと試してみましたが、私がよく使っているフィラメントのスプールに上手くフィットするものがあまりなく・・・
自分の環境で使いやすいフィラメントクリップを作ってみました。
3Dプリンタを始めると自分の使用用途にあったフィラメント探しが始まり、いろいろとフィラメントを試されるかと思います。
そこで困るのがフィラメントスプールの寸法ってメーカーによって微妙に異なってるんですよねー!
これまでフィラメントは、Creality純正のものからはじまり多数メーカーのものを試してきました。
最近ではSunlu製やRepRapper製のフィラメントを好んで使っています。
メーカーによってスプール(1kg)の寸法が微妙に異なる事から、私がよく使うメーカー製のものに関しては個別で寸法を変えたものを公開しています。(RepRapper製のものは後ほど追加したいと思います)
上手くモデリング通りの寸法を出して出力することが出来れば、ズレにくいフィラメントクリップとして使うことが出来ます。
最近では後でご紹介するDIYで作ったドライボックスに入れて運用するようになったため長期保管するものでのみ使うようになりましたが、3Dプリンタを始めたばかりの方は便利に使えると思います。
ドライボックス温湿度計ブラケット
3Dプリンタを使うようになるとまず手持ちフィラメントが増えてきます。
PLAやPETG、TPUなどフィラメントの材質もそうなのですが、造形物によりそのカラーも変えたくなることから手持ちのフィラメントがどんどん増えていきます。
FDM方式の3Dプリンタで使われるフィラメントは湿度による影響を大きく受けます。
吸湿したフィラメントでは糸引きが多く発生したり、押し出し量が不安定になりフィラメント同士の密着が悪く造形物がスカスカになったりと悪影響が多く出てきます。
一度フィラメントに取り込まれ吸湿してしまった水分はフィラメントドライヤーなどを使い加熱処理しなければ取り除くことが出来ません。
そんな事からフィラメントの管理はシリカゲルなどの吸湿剤を使い密閉性の高いドライボックスで湿度管理しながらの運用が望ましくなります。
1kgフィラメントスプールを綺麗に収納でき3Dプリンタ用途でよく使われているナカバヤシのドライボックス(27Lタイプ)を使っています。
1kgフィラメントを綺麗に並べて収納することが出来るのでオススメです!
そしてこのドライボックスに温湿度計を取り付けるためのブラケットを作ってみました。
また、同ドライボックスにSwitchBot温湿度計を取り付けできるブラケットも作りました。
スマホからドライボックス内の温度や湿度の管理や過去の数値の推移なども確認できるので便利となります。
そしてドライボックス内と室内の温湿度を比較出来るように、小型温湿度計スタンドも作りました。
シンプルな形状なので3Dプリンタまわりに置いておくのにいいと思います。
フィラメント送り出し機能付きDIYドライボックス
長期間使用しないフィラメントの保管には上記ドライボックスは非常に便利なんですが、よく使うものに関しては毎回フィラメントを交換するたびにドライボックスに移すのは面倒となります。
そこでフィラメントの送り出し機能が付いたドライボックスをDIYで作ってみました。
ボックス内にシリカゲルを入れておけばそのまま運用できるので大変便利となります。
みなさんよく作られているダイソーのケース(5.5L)を使ったDIYドライボックスです。
密閉性の高いケースでボックス内の湿度を常に20%以下で保ち運用する事が出来ます。
これ非常に便利なもので現在5つほど作り使っています。(設置スペースが有ればもっと作りたいのですが・・・)
このDIYドライボックスは非常に好評なようで、Thingiverseのページやブログ記事へのリンクを多数貼って頂きご紹介して頂いているようです。
フィラメントスプールの出来もよく、これ単体でも1、2個作っておけば便利に使える場面は多いと思います。(私も2つ単体で作っています)
フィラメントフィードガイド
上記ではダイソーケースを使ってDIYで作ったドライボックスをご紹介しましたが、このような送り出し機能が付いて常時運用できる形状のドライボックスは多くの方が使われていると思います。
そしてエクストルーダーまでのガイドとしてPTFEチューブを使ってフィラメントを送り出して使う場合が多いと思います。
しかし私のように複数台このようなドライボックスを使って運用していると、3Dプリンタのまわりはチューブだらけとなりその処理に困ります。
なんとかこのチューブを綺麗に収納出来ないかと考え作ったのがフィラメントフィードガイドとなります。
エクストルーダーの形状によりEnder3 V2標準となるボーデン式の場合は使いづらいと思いますが、ダイレクト化している場合では便利に使えます。
クイック継手を取り付けているパーツなので、このように上部のフレームに固定してドライボックスから延びたPTFEチューブを固定することが出来ます。
複数取り付けておくと、使いたいフィラメントを延ばしエクストルーダーまで引っ張るだけなので大変便利となります。
またクイック継手なので使いたいフィラメントのPTFEチューブを外し直接エクストルーダーに取り付けるのもいいかと思います。
最近お仲間になったKP3Sでもこのように取り付け使っています。
これ結構便利ですよ!
標準構成で出来るFANカバーのカスタマイズ
フィラメントまわりの話が続きましたが、3Dプリンタをやる上でそれだけフィラメントの管理は重要ということですね!
次にEnder3 V2の標準構成でカスタマイズできるFANカバーの交換です。
Ender3 V2標準のFANカバーはこのように造形物を冷却するためのFANからの風が片側から排出される仕様になっています。
オーバーハング等の性能を考え両サイドから排出し冷却できるFANカバーに交換する方も多いと思います。
Thingiverseに公開されているものでEnder3シリーズ用に作られたSatsana FANダクトは人気で使われている方多いと思います。
FANを交換することなくEnder3 V2で使われている標準のFAN構成で出来るカスタマイズなので、まず試してみるのはいいかと思います。
もし気に入らなければ元に戻すのも簡単です。
オーバーハング性能による造形物の違いは、ある程度出力回数を重ねないと最初の頃は分かりにくいかと思います。
試しにベンチの船を使いスライサーで向きを変えて出力させ違いを比べてみると分かりやすいかと思います。
そしてこのSatsana FANダクトは、Ender3 V2で使われている標準FAN構成でカスタマイズさせるのはいいのですが、エクストルーダーの構成を変えている場合やEnder3 V2で使う場合、そのマウントに少し問題が出る場合があります。
まずFANカバー取り付け用の穴位置はEnder3 V2では他のEnder3シリーズものとブラケットの穴位置が少し異なっています。
そのため取り付けにはEnder3 V2で使う場合、オリジナルのものでは固定が1ヶ所のビス固定のみとなってしまいます。
特にこれでも大きな問題はありませんでしたが、出力する回数が増えてくるとズレ等発生するでしょうからやはり複数本のビス固定の方が望ましくなります。
また私の場合、既にTitanエクストルーダーを使ったダイレクトエクストルーダー化も行っていました。
ダイレクト化させている場合、エクストルーダーにFANカバーが干渉してしまう場合があります。
そこで形状を少し変えリミックスとして作り直したものを公開しました。
これによりEnder3 V2でもFANカバーの固定穴の問題やエクストルーダーをダイレクト化させFANカバーの上に取り付けている場合でも対応出来ます。
Ender3 V2では標準構成ではボーデン式のエクストルーダーが使われています。
ボーデン式とダイレクト式でどちらがいい?というのは一長一短でそれぞれ長所短所があります。
Ender3 V2のカスタマイズでは、まずダイレクトエクストルーダー化をさせる方は多いと思います。
私のEnder3 V2はTitanエクストルーダーを使ってダイレクト化させています。
リトラクション等の性能が大きく向上します。
ダイレクトエクストルーダー化させている場合、オリジナルのSatsana FANダクトではエクストルーダーと干渉する部分が出てくる場合があります。
ダイレクト化させ標準のFAN構成で運用されている場合、リミックスとして製作したものを使った方がマウントはしやすいかと思います。
またオリジナルのSatsana FANダクトではケーブルを固定するためのガイドのポール?が付いていますが、この部分もカットしています。
標準のボーデン式の場合でも不要な方はこちらを使って頂いた方が使いやすくなると思います。
静音化対策!FAN交換用DC/DCコンバーターケース
Ender3 V2には、合計4つのFANが使われています。
ホットエンド冷却用FAN・造形物冷却用FAN・PSU(電源ボード)冷却用FAN・メインボード冷却用FANの4つです。
どのFANもそこそこ大きな騒音が発生し、特にホットエンド冷却用とPSU用FANは爆音と言ってもいいくらい大きな騒音を発します。
始めた当初はこんなものかとあまり気にしていませんでしたが、長く3Dプリンタを使っていると一番ストレスを感じる部分だと思います。
そんな事で静音化、そして造形品質向上のため私の場合Ender3 V2で使われている4つ全てのFANを最終的に交換しました。
静音化もEnder3 V2では多くの方がやられるカスタマイズだと思います。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
そしてFAN交換にあたり面倒となってくるのがFAN駆動電圧の調整です。
Ender3 V2で使われている4つのFANの駆動電圧は標準のものはこのようになっています。
- 電源(PSU)冷却用ファン 60mm×60mm×15mm(DC12V)
- メインボード冷却用ファン 40mm×40mm×10mm(DC24V)
- ホットエンド冷却用ファン 40mm×40mm×10mm(DC24V)
- 造形物冷却用ファン 40mm×40mm×10mm(DC24V)
電源(PSU)冷却用FAN以外は24Vタイプのものが使われています。
静音化FANに交換する際にその多くは12V駆動タイプのものが多いと思います。
詳しくは上記記事を見て頂きたいのですが、選ぶ(交換する)FANによりメインボードからの電圧24Vを12Vに落とす必要が出てきます。
DC/DCコンバーターを使った降圧となりますが、このコンバーターを収納しEnder3 V2のサイドや底面のVフレーム(4040タイプ)に固定できるケースを作ってみました。
DC/DCコンバーターを使った降圧作業は3Dプリンタの場合、FANの交換以外にも照明用LEDを電源ユニットから取ったりする場合にも使われます。
Ender3 V2の場合、底面内部のメインボード付近には設置スペースが取れないためこのようなケースを使うと便利に設置できます。
Hydra FANダクト Ender3 V2バージョン
上記Satsana FANダクトを試しその違いが分かってくるとさらに冷却性能を向上させたFANダクトにカスタマイズさせたくなってきます。
Hydra FANダクトというこちらもEnder3シリーズの機体には人気のFANダクトとなり多くの方が試されているようです。
しかしEnder3 V2では先述のように他のEnder3シリーズの機体と固定部分のブラケットの穴位置が変更されています。
この穴位置を修正し、オリジナルのロックナットを使った固定よりインサートナットの方がズレ等に良いという話を頂き、Ender3 V2で使えるインサートナット版としてHydra FANダクトのリミックス版を作りました。
このFANダクトの製作&交換の際に静音化もかねてFANの交換を行いました。
造形物冷却用に5015 FANを2つ使ったツインファン構成にし、ホットエンド冷却用FANもほぼ無音の4010静音FAN(12V)に交換しました。
FANの電圧変換で上記でご紹介したDC/DCコンバーターケースを製作し使っています。
また、Titanエクストルーダーをマウントできるブラケットも一緒に公開しています。
これにより静音化&冷却性能向上のためにEnder3 V2の標準FAN4つ全て交換したことになります。
その効果は非常に高く快適になりました。
3Dプリンタの静音化のためにメインボードの交換等行う方もいらっしゃるようですが、個人的には物理的にうるさいFANを交換する方がその効果は高いものになるかと思います。
当初考えていた静音ボードへの交換も必要なくなりました。
フィラメントドライヤー用PTFEチューブガイド
話が少し前後しますが、FDM方式のフィラメントの管理(湿度管理)は重要となることは先にご紹介しました。
そして一度フィラメント内に取り込まれ吸湿してしまった水分はシリカゲルなどの除湿剤では除去することが出来ません。
もうすぐ3Dプリンタ歴1年となりますが、フィラメントドライヤーには何度も助けられました。
急に3Dプリンタでの出力が上手くいかなくなることはよくあります。
スライサーの設定や3Dプリンター側の問題など原因はいろいろとありますが・・・フィラメント側に問題があることも多いと思います。
フィラメントドライヤーで加熱処理し吸湿した水分を飛ばすことにより問題解決となる場面はこれまで多く経験しました。
フィラメントドライヤーは3Dプリンタをやられている方は1台持っておきたい、というか持ってないと不便となるアイテムかと思います。
フィラメントドライヤーは、Sunlu S1とeSun eBOX Liteの2台を使っています。
詳しくはこちらをご覧下さい!
フィラメントドライヤーはその構造上ドライボックスのように完全に密閉性があるものではありませんが、シリカゲルを入れて加熱処理後そのまま運用されている方も多いと思います。
上記でご紹介したドライボックスのようにPTFEチューブを取り付けてエクストルーダーまでのガイドとして使える便利なパーツを作りました。
上記フィラメントドライヤーで使えるものをそれぞれアップしています。
ツールボックス
3Dプリンタの通常作業で使う工具関係はある程度決まっています。
メンテナンスなどの場合を省き、通常出力させる時によく使う工具といえばピンセットや厚みプレート(シックネスゲージ)、スクレイパー、六角レンチなどでしょうか。
このような通常よく使う工具を収納できるツールボックスも作ってみました。
シンプルな形状ですが便利なのでデスク周りにも数台使っています。
最後に!
ThingiverseにはEnder3 V2で使える便利なパーツやアイテムが多数公開されています。
最初はいろいろと作りたくなり取り付けてみたりするのですが、実際使ってみると逆に不便になり使わなくなってしまうものも多いかと思います。
Ender3 V2を約1年ほど使ってきてカスタマイズ等で作り現状私が使っている便利な3Dプリントパーツに限定して今回ご紹介してきました。
変更や新しい便利なアイテムを使うようになったら随時更新していきたいと思います。
そして、今回ご紹介したもの以外にもいろいろと作っているので私のThingiverseアカウントの方にも立ち寄って頂ければと思います。
参考 Tokyo BirdのページThingiverseまたEnder3 V2のこれまで行ってきたカスタマイズに関してはこちらの記事でまとめているので、こちらも参考にして下さい。
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