11月25日発売 書籍『Arduinoと3Dプリンタでロボットを作ろう』を出させて頂きました!

【Kingroon KP3S】電源(PSU)ボックス静音化のために冷却用FANを大きなサイズのものに交換する!【STLデータ公開】

3Dプリンタを使っていて一番ストレスに感じるのが出力時の騒音だと思います。
騒音と言ってもステッピングモーターの動作音や本体の振動などいろいろとあるわけですが、その中でも3Dプリンタに搭載されているFANから発せられる音(風切り音など)は特に大きく感じるもので不快なものとなります。

3Dプリンタを稼働させるための専用の部屋やスペースなどを用意できるなら問題になることはないと思いますが、大抵の場合は生活環境の一部に設置している場合が多いと思います。
毎回出力させるたびに3Dプリンタから発せられる騒音を聞いていると結構ストレスとなります。
そんな事から3Dプリンタの静音化を試される方多いとお思います。

静音化の対策が取られている3Dプリンタも中にはあるようです。
例えば私が使っているArtillery Geniusという機種では比較的動作音が小さく、FANもおそらく静音タイプのものが使われていることから標準仕様でもほぼ気になることはありません。

【3Dプリンタ】半年ほどArtillery Geniusを使ってきましたが、やはり基本性能が高いコスパのいい機種ですね!(Ender3 V2との比較)

しかしEnder3 V2ではFANの音が非常にうるさく、毎回出力するたびにこの騒音を聞いていると・・・!
Ender3 V2では最終的に搭載されている4つのFANを全て静音タイプのものに交換しました。
このカスタマイズは非常に良く、出力時でもFANの音に関してはほぼ無音に近い感覚まで落とすことが出来ました。
静音化によって3Dプリンタ自体の精度が特に大きく上がるわけではありませんが(冷却能力は上がります)、造形には時間がかかるものが多くこれが毎回ともなると、受けるストレスは大きく変わってきます。

【Ender3 V2静音化対策その①】電源(PSU)用ファン&メインボード冷却用ファンを交換してみました!効果は非常に大きいのでオススメです!
【Ender3 V2静音化対策その②】ホットエンド冷却用&造形物冷却用ファンを交換してみました!格段にファンの騒音が改善され冷却性能も向上!【Hydra FAN Duct】

KP3SもEnder3 V2なみにFANの音は標準仕様だと大きなものとなっています。
特にノズルまわりの5015ブロアーファンは爆音です。
FANの交換って気になる箇所を交換して静音化させると他のFANの音が気になって・・・Ender3 V2でもそうでしたが結局全て交換なんて話になりそうではありすが・・・
このあたりノズルまわりのFANの交換は別の機会にご紹介できればと思います。

そして今回はKP3Sの電源FANをサイズの大きなものに交換し静音化させる話となります。

注意
電源まわりのカスタマイズなので、いかなる不具合等も自己責任でお願い致します!
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KP3Sの電源(PSU)ボックスのFANを交換し静音化&冷却能力を向上させる!

KP3Sは本体と電源(PSU)ボックスが分離された形状となっています。
Ender3 V2など本体と一体化された機種と比べると電源ボックス単体でのFAN交換作業はやりやすくなります。

Ender3 V2では電源ボックスのFANも非常に爆音だったので標準のものよりサイズが大きなFANに交換し静音化させました。
サイズの大きなFANを使うことによりFAN自体の回転数を下げることができるので大きく静音化することができ、風量もアップさせ冷却能力も向上します。

KP3Sの電源ボックス内の冷却用FANは標準のものには24Vの6015 FAN(60mm×60mm×15mm)が使われています。

これ単体で聞いてみると、まだなんとか我慢できるレベルの騒音だと思います。(ブロアーファンが爆音すぎて普段あまり気付きませんが)
しかしこのFAN、使っていると振動や異音が発生することが多々あります。
標準で付いているお安い中華FAN?なのでしょうがないのですが!

FANサイズの選定

まずFANサイズの選定です。
標準では電源ボックスのFANには6015サイズのものが使われています。
一番簡単な方法として同サイズの静音FANに交換すればいいのですが、このサイズで静音タイプのものってなかなか良さげなものがないんですよねー!

AINEXの静音タイプのFANはこれまで3Dプリンタや電子工作用途でいくつか使ったことがありますが、非常に静音(ほぼ無音です)なFANとなります。
しかし静音6015サイズのFANはないようなので、厚みが5mm小さくなりますが6010サイズFANをまず試してみました。

やはりほぼ無音に近いいいFANなんですが、標準FANより5mm厚みが小さくなるためFANの風量は少し落ちてしまいます!

次にFANサイズのアップ。
60mmサイズより大きなもので電源ボックス内に収めるには、80mmサイズのものまで(または92mmのもの)ならボックス内に綺麗に収めることが出来そうですが・・・
・・・なんですが、KP3Sの電源ボックスでは内部のパーツ(背の高い電解コンデンサとトランス)と干渉するため、どうFANを配置してもこのパーツと干渉してしまいます!(8010 FANを想定していました)

ボックス内にピッタリと収めることが出来れば、先日行った電源ボックスを本体と一体化させるケースにも上手く収めることが出来たんですが・・・残念!

【Kingroon KP3S】邪魔な電源(PSU)ボックスを本体と一体化!機動性が上がり使いやすくなりました

そこで高さ方向に少し出っ張る形状に変更しました。
8025 FAN(または8010など薄いタイプでも使えます)を使う形状です。

Ender3 V2でも同様な方法で電源用FANには8025サイズのものを使いました。
Ender3 V2ではNoctuaの8025静音FANを使いましたが動作時も気付かないレベルにまで静音化でき、さらに風量がかなり上がるため出力時でもFANはほぼ半分くらいは止まっている感じです。

薄々このサイズのFANが最適なんだろうとは感じていましたが・・・おそらく電源ボックス単体でFANサイズをアップさせて静音化させる場合、このサイズが最適だと思います。
さらに大きなFANでは(12cm FANなど)横方向にも飛び出てしまうので使われる環境によっては邪魔になる場面も出てきそうです。

ということでFANサイズは今回8025サイズのものを使いました。
上記の本体と電源ボックスを一体化させたい場合は、一体化ケースの方を少し嵩上げして作り直す必要が出てきましたが・・・。

Ender3 V2でも使ったNoctureのFANを使う予定でしたが、当記事を書いている時に在庫がなく入手出来なかった事からこちらの静音8025 FANを試してみました。

うん、このFANもなかなかグッド!
静音でかなり風量もあるFANです。
コスパの良いFANだと思います。(Noctureの1/3くらいの値段)

カタログスペック的には、騒音値&風量ともに上記Nocture FANとほぼ同等の性能となっている低回転タイプのFANとなります。
12V駆動タイプのFANとなっているので、KP3Sの電源ボックスで使用するにはDC/DCコンバーターを使い降圧(24V→12V)して使う必要があります。

8025 FAN用カバーの作成

というわけでKP3Sの電源ボックスに使用するFANを8025(80mm×80mm×25mm)サイズのものに変更し静音化させるためのカバーを作成しました。
厚みは25mmより薄い8015や8010などのFANでも使うことが出来ます。
シンプルな形状で綺麗に収まるように出来たと思います。

こちらからダウンロード出来るので、FAN交換による静音化を検討されている方はぜひどうぞ!

参考 PSU FAN Cover for KP3S and etc.(80mm FAN)Thingiverse
MEMO
パーツを分割すると強度&見栄えが悪くなるため1パーツ構成のみとしています。
そのためKP3Sでは造形エリアの問題で出力させることが出来ません!(195mm以上必要です)

インフィル形状を生かしエアーの抜けを良くする形状にしています。
3Dプリンターで出力の際は、以下のスライサー設定を行って下さい。

スライサー設定
  • ウォールライン数を4以上に設定
  • 上部レイヤー&底面レイヤーを0に設定
  • インフィル密度を55%前後に設定(お好みで)
  • インフィルパターンをトライアングルまたはトライヘキサゴンに設定(今回トライヘキサゴンで作成しています)
  • サポートはビルドプレートにタッチを選択

FANの固定には、テーパねじ(M5×10)を使うと綺麗に固定できます。(今回使用したFANには付属していませんでした)

降圧するためのDC/DCコンバーターにはLM2596を使います。
M3×5のビスでケース内に固定する事ができます。

VKLSVAN 5個 LM2596 DC-DC降圧コンバータ高効率電圧レギュレータ3.2~46V~1.25~35V可変電源降圧モジュール
VKLSVAN

今回使ったFANはPWM制御出来る4ピンタイプのものとなっていますが、この電源ボックスはPWM制御には対応していないので使う端子は2ピンのみとなります。(赤:プラス/黒:マイナス)

DC/DCコンバーター(LM2596)を介して接続する形となります。
DC/DCコンバーターのノブを回し電源ボックスからの電圧(24V)を12V出力になるように調整して下さいね!
プラグは元のFANから付け替えてもいいかと思います。(2ピンのXHプラグとなっています)

注意
くれぐれもFANの極性には注意して下さいね!

実際に動かしてみるとこんな感じ。
電源ボックス単体で聞いてみるとかなり静音化されました。
標準FANで発生する風切り音みたいなものやこもった音も消えていますね!
風量もかなりアップしています。
KP3Sの電源ボックスのFANは常に一定値で回転する仕様のようですが、かなりFAN風量がアップしているので電圧を少し落とせばさらにFAN音は小さくなりそうですね!

【追記】ノズルまわりのFANを交換し静音化させました!

電源ボックス内のFAN交換に続き、ノズルまわりのFANの交換も行ってみました。

KP3Sの静音化を望むのであればノズルまわりの2つのFAN、爆音となる造形物冷却用の5015ブロアーファンとホットエンド冷却用の3010FANの交換は必須になるかと思います。

【Kingroon KP3S】静音化対策!FANの構成を変えてみる!

最後に!

今回はKP3Sの電源ボックス内の冷却用FANを交換して静音化させてみました。
FANサイズが大きな物を使うことにより、回転数を下げ静音化する事ができ風量もアップします。

なかなか収まりが良いケースとなったと思いますが、KP3S用なのにKP3S自身で出力出来ないのが残念です!
KP3Sって造形エリアが狭いのでこのような制約を受けてしまう場面が多いですね!

また、他機種の電源ボックスなどでも固定穴位置が合えば使えるかと思います。

FANの厚み分ケースが出っ張るため先日行った一体化ケースに収めることが出来なくなりますが(一体化ケースを修正するか考え中です)、電源ボックスを単体で使っている方で静音化をお考えの方は参考にしてみて下さい!

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