自作キーボードやキーパッドの製作でよく使われているのを見かけるRGB LEDに『SK6812 MINI−E』というものがあります。
電子工作で自作基板の製作を始めてから自作キーボードの世界にも興味を持ち、私も最近このLEDをよく使うようになりました。
SK6812 MINI−Eは内部に制御用のチップが内蔵されており、電子工作ではおなじみのWS2812B内臓のネオピクセルLEDなどと同様に信号線を数珠つなぎ(Dout→Din)にして接続することができ、マイコン等と接続した1本の信号線のみで複数のLEDの色や輝度などを制御する事が出来るRGB LEDです。
SK6812 MINI−Eが他のRGB LEDと比べて少し変わっている所は、リード線が浮いた位置にあるため基板(PCB)にホールを開けて実装する必要があるのですが、実装面を変えずに基板の表面または180°回転させれば裏面を点灯させることも出来る便利なRGB LEDとなっているところです。
表面実装パーツとしては少しリード線が長いため他のRGB LEDと比べると実装スペースを取ってしまいますが、実装面を変えずに基板の表面や裏面を点灯させることが出来るので自作キーボードではよく使われているのだと思います。
片面実装で配置出来るのでリフローでの基板実装もでき便利なRGB LEDとなります。
・・・しかし、パーツを反転して実装する事も出来るというのが少し厄介で?
最近製作した自作キーパッドでSK6812 MINI−E部分の配線(フットプリント)を2回ミスしてしまったので、自分への備忘録も兼ね『SK6812 MINI−E』について少し書いておこうと思います。
目次
RGB LED『SK6812 MINI−E』について!
自作キーボードの世界にも興味を持ち、自作初となる『4KeyPad』と『HandyPad15』というシンプルな自作キーパッドを最近製作しました。

共にCAD設計でイメージしていた通りの非常に満足出来るものが出来たのですが・・・
完成までには両基板ともSK6812 MINI−Eのフットプリントや配線のミスがあったため修正基板を作り完成させたという経緯があります。
SK6812 MINI−Eに関する部分で2度も同じ失敗をしてしまったので、扱うときの注意点や実装について少しまとめておきます。
SK6812 MINI−Eの形状について
RGB LED『SK6812 MINI−E』は、テープLEDなど一般的によく使われているWS2812Bが内蔵されたRGB LEDと同等に扱うことが出来る3.2mm×2.8mm×1.78mmと小型な表面実装タイプのLEDです。
動作電圧は5.5Vまで対応しているので、自作キーボードでよく使われているPro Micro[ATmega32U4(動作電圧5V)]やRaspberry Pi Pico[RP2040(動作電圧3.3V)]といったマイコンボードで電圧を変えることなくそのまま使うことが出来ます。
SK6812 MINI−Eの扱いで少し変わっているのはその形状です。
表面実装パーツなんですが、リード線が浮いた位置に取り付けられています。
つまり基板に実装する際にLED本体部分にホールを開けておかないとダメということですね。
実装面を点灯させたい場合はこのように取り付けます。
LED本体部分の高さ半分がホールに埋まる状態でリード線が接続用パッドに接触します。
また背面(実装面の裏側)を点灯させたい場合は、LEDの向きをこのように180°回転させることにより可能となります。
他の表面実装タイプのRGB LEDでは基板の背面を点灯させたい場合は当然背面にパーツを実装する必要があり・・・そうなってくると両面実装基板になる場合では手はんだでの実装は問題ありませんがリフローで実装する場合は難しくなってきます。
実装面を片側に統一して基板の表面または裏面を点灯させることが出来るのがSK6812 MINI−Eを使う最大の利点だと思ます。
またホール部分の位置を合わせて両面に実装するといったことも出来ます。
フットプリントの作成は少し注意が必要(Top View / Bottom View)
SK6812 MINI−Eは片面実装で基板の表面や裏面を点灯させることが出来る便利なRGB LEDなんですが、基板設計時のフットプリントの作成は少し注意が必要です!
私は2度ミスをして修正基板を作る羽目になりました!
接続自体は通常のRGB LEDのようにシンプルな配線になります。
1段目のDin端子(データイン)をマイコン側の制御するGPIO端子に接続し、あとはDout(データアウト)を2段目のDin、Dout→Din・・・というように数珠つなぎにしていくだけです。
接続は非常に簡単なんですが扱うフットプリントは注意が必要となってきます。
実装面を点灯させる場合は問題ないと思いますが、背面を点灯させたい場合はパーツを180°回転させて実装させる必要があります。
フットプリントで使っている接続端子の位置も変わってくるということですね!
頭では分かってはいるのですがPCBを設計している時、これ結構間違いやすいと思います。(私だけかな?)
SK6812 MINI−Eのデータシートには[Top View]と[Bottom View]の端子の配置は書かれているのですが・・・
表面実装パーツでは大抵の場合、実装面つまりデータシートに書かれているTop Viewを見て端子番号や配置を判断することが多いと思います。
SK6812 MINI−Eはパーツ自体を反転させて実装することも可能なので、このような少し珍しい?パーツを初めて扱う場合私のようにミスをしやすいと思います。
SK6812 MINI−Eを使った部分で2度も基板修正をするといった苦い経験をしたので、上記のように3パターンのフットプリント(表面に実装・裏面に実装・両面に実装)を私は作成しました。
これで間違いはもう起こらないでしょう・・・!
リフローでの実装について
SK6812 MINI−Eの実装についてですが、自作キーボードを製作されている方は手はんだで実装する事が多いのでしょうか?
私の場合ですが上記製作した2台の自作キーパッドはリフローでの実装を前提で設計しました。
Pro MicroやRaspberry Pi Picoといった既存のマイコンボードを使うよりATmega32U4やRP2040をPCBに直実装させた方がマイコンボード用の広いスペースを確保する必要もなくPCBやケースの設計もしやすくなるからです。
実際にホットプレートを使い全てのパーツを実装しました。
マイコンチップをPCBに直実装する場合、手はんだよりもリフローによる実装の方が圧倒的に効率が良く仕上がりも綺麗になります。
初めてSK6812 MINI−Eをリフローで実装した時にLED本体の外壁が溶けないか心配だったのですが、全く問題はないようです。
他のRGB LEDでも同様なのですがSK6812 MINI−Eの外壁部分は高温で簡単に溶けてしまいます。
手はんだで実装されたことがある方ならお分かりだと思いますが、小手先が少し当たったレベルで簡単に溶けてしまいます。
SK6812 MINI−Eをリフローで実装する際にこれが一番心配だったのですが・・・
データシートにある図面ではリード線からPCB実装面までは0.840mmとなっています。
通常PCBの厚みは1.6mm厚のものがよく使われます。
リフローの際にホットプレート表面からLED本体までの距離は約0.8mmほど離れていることになるので直接接することはないのですが、220度前後となるホットプレートの上に0.8mmほどのクリアランスである程度の実装時間耐えられるのかな・・・なんて思っていたのですが、実際にやってみるとこれに関しては全く問題ないようですね。
ちなみに自作キーボードでよく使われるホットスワップ用のソケットもホットプレート面から僅かなクリアランスしかないのですが、こちらも問題なくリフローにより実装することが出来ました。
自作キーボード用の基板でリフローによる実装をされている方はあまり見かけませんが、自分で基板を設計する場合は表面実装パーツを使いリフローによる実装を行えば手はんだよりもパーツ実装の効率が良く綺麗に仕上がるのでいいかもしれませんね!
おそらくPCBAといった実装サービスを使ってみなさん実装されているのだと思いますが・・・自分で実装するのも電子工作的には面白いですからね。
リフローによる実装では私はいつもMHP30やMHP50といったミニリフロー装置を使っています。(MHP50に関しては後日MHP30の記事に追記しておきます)

このような治具台も自作しておけばキーパッドくらいのサイズの基板なら対応することも出来るのでオススメです!
キーボードサイズとなるとそこそこ大きな基板になりますが、実装が難しいマイコンチップやUSB端子まわりだけリフローで実装し他のLEDやソケット、ダイオードといった実装が簡単なパーツは手はんだで実装するといったことも出来ると思います。

最後に!
RGB LED『SK6812 MINI−E』は、PCBにホールを開けて実装するためリード線が少し長く取られていて他のRGB LEDと比べると表面実装パーツとしては実装スペースを多く確保する必要があるのですが、片面実装で基板の両面を点灯させることが出来るので自作キーボードに関わらず自作基板の製作で便利に使えそうなRGB LEDだと思います。
自作キーパッドの製作でSK6812 MINI−Eに関係する部分の失敗により2度も修正基板を作るという苦い経験をしたので備忘録的にまとめてみました。
次は間違わないぞー、ということで何かの参考になればと思います。
















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