リポバッテリー駆動のテスト回路をブレッドボードで組む際に毎回面倒な思いをしていたので、電源モジュール基板として製作してみました。
電子工作用途で使用される1セルリポバッテリーは、JST-PH(2mmピッチ)のコネクタが一般的によく使われていると思います。
メス型のPHコネクタがあればブレッドボードに差し込んで使うことも出来るのですが、抜けやすいためテスト用途で使用するには不向きです。
ブレッドボードに繋がったマイコンやその他回路に電源を供給する部分なので、しっかりとマウントして使えないと思わぬタイミングで抜けてしまい電源が切れるといったことも起こりがちです。
ブレッドボードに組んだ回路でリポバッテリーからの駆動テストをする際に毎回面倒だったので、シンプルに使えるリポバッテリー電源モジュール基板を作ってみました!
目次
リポバッテリー用ブレッドボード電源モジュール基板の製作!
工作用途で使われる1セルリポバッテリーは、2mmピッチのJST-PHコネクタが使われているものが多いと思います。
メス型のPHコネクタがあると一応ブレッドボードの2.54mmピッチでも差し込んで使うことが出来ます。
・・・が、これが非常に抜けやすい!
接触具合によっては電源供給が安定しない場合もあります。
電源供給部分なのでしっかりとマウント出来るものが欲しいところです。
ボードコンセプト
ブレッドボードに差し込んでリポバッテリーを使うことを想定しているボードなので、メインで組まれた回路の邪魔にならないよう極力ボードサイズは小さく作りたいところです。
保護回路を入れた別バージョンのものもCAD上では作っていましたが、ボードサイズが少し大きくなってしまうため今回は使い勝手を重視しシンプルな構成でコンパクトなボードとして仕上げました!
これくらい小さなサイズだと、ブレッドボード上に組まれた他の回路の邪魔にもなりにくく使いやすいと思います。
一般的によく使われる片側5列タイプのブレッドボードで、電源レーンにプラスして1列のみ占有するボードサイズにしました。
ブレッドボードの電源レーンに直接電源供給可能
ブレッドボードに差し込んで使う電源ボードなので、電源レーンに直接電源供給が行えると便利です。
上部電源レーン(赤枠)および下部(青枠)の2ヶ所から供給が行えます。
こんな感じですね!
ブレッドボードに組まれた回路によっては電源レーンは他の電圧レベルで使われていることもあるので、基板背面のジャンパーをカットすれば電源レーンへの供給をカット出来るようにもしています。
これはピンヘッダーの取り付けを変えることにより対応することも出来ます。
電源レーンのみに供給を行いたい時は、下部のピンヘッダーを取り付けずに使う。
またブレッドボードの任意の位置に取り付けたい場合は、下部のみにピンヘッダーを取り付ければ対応出来ます。
ピンヘッダーの取り付け位置を変え上記のように3タイプ作っておけば、いろんなパターンに対応出来るかと思います。
400穴(ハーフサイズ)のブレッドボードでは電源レーンの穴位置が半ピッチズレているので、ピンヘッダーの取り付けは上部のみまたは下部のみの取り付けになります!
極性を反転させた端子も用意
1セルリポバッテリーで使われているJST-PHコネクタは汎用コネクタとなるので、厳密に端子の正負(プラス・マイナス)の向きが定められていないようです。
市販されているものでは、このように向かって左がプラス(赤)・右がマイナス(黒)となっているものが多いようです。
しかしバッテリーによってはこれが反転して取り付けられていることもあります。
例えばドローン用のバッテリーでは、右がプラス・左がマイナスとなっているのが一般的?です。
ピンセット等を使い端子の配置を変えるのは簡単ですが、リポバッテリーなので少し怖いですよね。
この作業、結構面倒なのでこれまでこのような反転ケーブルを自作して使っていました。
本ボードでは、両タイプのバッテリーをそのまま使えるように極性を反転させた端子も取り付けることにしました。
バッテリーの端子配置を確認して対応した方に差し込むだけなので簡単です!
2端子にしてもかなり小さなボードサイズに収まるようだったので採用しました。
基板設計
上記コンセプトで当初は極性保護回路を入れたボードで製作を進めていましたが・・・
バッテリーを差し込む向きや極性は確認して取り付ければ問題ないと思うので、ブレッドボードでの使い勝手を優先し無駄な回路を省きコンパクトなサイズになるように仕上げました。
回路構成は非常にシンプルなものです。
コンパクトなボードサイズでシルクプリントも大きく見やすく取れたので使いやすいと思います。
JLCPCBに基板を発注
基板の発注はJLCPCBを使いました。
基板データ(ガーバーファイル)をダウンロード出来るようにしておきます。
興味ある方はぜひ!
JLCPCBでは送料を入れてもワンコイン(500円程度)で製造することが出来ます。
発注項目も見ておきます。
特記すべきところはありませんが、基板製造時に任意の位置に入ってしまう発注番号は現在無料で削除することが出来ます。
小さな基板なので余計なシルクプリントが入ってしまい他の文字が見にくくなることを避けるため、[PCB上のマーク]は[マーク除去]を選択しておくといいと思います。
あと本ボードは37mm×13mmと小さな基板となるため、[デバリング/エッジの丸め]の項目は[はい]を選択しておくといいと思います。
小型ボードの場合フライス加工後にバリが発生しやすくなり、その除去に対する追加オプションとなります。
本ボードでは0.2ドル程度の追加オプション料金がかかりますが、届いた基板は非常に綺麗に製造されていました!
配送方法にOCS NEPを選択すると、送料と合わせたトータルコストは3.2ドル程度となります。(基板5枚です)
非常にお安いですね!
通常のHASLで発注しても全く問題ありません!
JLCPCBの基本的な基板発注方法は、こちらの記事で詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。

パーツの実装
今回他の3Dプリントパーツと同梱で発注していたので時間がかかりましたが、基板のみの発注だとお安い配送方法のOCS NEPを利用しても発注から8日前後で基板が手元に届くと思います。
パーツの実装はサクッとリフローで行いました。
手はんだでの実装も十分可能だと思いますが、0603サイズの抵抗・LEDがあるので少しはんだ作業に慣れていないと難しいかもしれません!
パーツの実装はMHP50というミニリフロー装置を使いました。
いつも自作基板の製作で愛用している非常に便利なリフロー装置です。

綺麗に実装出来ました!
最後にピンヘッダーの取り付けです。
上部の電源レーン部分のピンヘッダー取り付け位置は2.54mmピッチで作っています。
このように中央のピンを抜きハウジング部分を残して取り付けると、単ピンで取り付ける時よりも強度が上がっていいと思います。
基板は5枚セットで届くので、このようにピンヘッダー取り付け位置を変えた3種類作っておけば、いろんな使用パターンに対応出来ていいと思います!
現在製作予定のテスト回路に繋いで動作確認・・・
電源をブレッドボードにしっかりとマウント出来るので、やはり便利ですね!
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使用パーツ一覧
今回使用したパーツの一覧です。
パーツ | 定数 | 入手先 |
JST−PHコネクタ | J1/J2 JST-PH 2P(SMD) | 秋月電子 / AliExpress |
LED | LED1(0603) | AliExpress |
抵抗 | R1 1kΩ(0603) | AliExpress |
スイッチ | SW1 MSS22D18(SMD) | AliExpress |
ピンヘッダー | ーーー | ーーー |
最後に!
リポバッテリーをブレッドボードにしっかりとマウントすることが出来るので、やはりあると便利ですね!
抜けたり、また接触具合によって電源供給が不安定になり動作に支障が出るといったことが無くなります。
このようなブレッドボード用の電源モジュールは簡単に作れる割にあると非常に重宝します!
これまでCR2032やCR1220といったボタン電池が使えるものや、5V/3.3Vレギュレーターを内蔵したもの、またサーボモーター用の電源が取れるものなど結構作っています。
電源まわりはテスト等で一番不具合が出やすい場所なので、自分の環境で使いやすいものを自作しておくと作業効率も上がってすごく良いと思います。



何かの参考になれば・・・。
















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