電子工作で自作基板の製作を始めて以来、JLCPCBを利用することが最も多いように感じます。
ごく一般的な基板設計のものであれば、他社を圧倒する低価格で基板(PCB)を製造してもらえるからです!
趣味用途で初めて利用される方は、まずJLCPCBを試してみるのがおすすめです。
これほど低価格で自作基板が作れるのであれば、ユニバーサル基板を使った試作が面倒に感じてしまうほどです。

そして最近では、パーツの実装までを行ってもらうPCB Assemblyサービス(PCBA)も利用するようになりました。
基板が届いた時点で、すでに部品が実装されているというのは非常に便利です。
細かいチップ部品のはんだ付けや動作テストに至るまでの時間短縮を考えると、その利用メリットはかなり大きなものだと感じています。


一方でPCBAサービスを利用すると、PCB単体での製造と比べてパーツ代金や実装費用などが加わるため、当然その分製造コストは高くなります。
しかしPCBA費用は、発注時ではなく設計段階で決まると言っても過言ではありません!
部品の選び方や種類、実装面の構成、そしてJLCPCB側の在庫状況といった要素が、そのままコストに直結します。
これらを少し意識するだけで、同じ設計のものでも費用は大きく変わってきます。
今回は、JLCPCBのPCBA費用をできるだけ安く抑えるためのポイントを簡単にまとめてみたいと思います。
単なる節約テクニックではなく、パーツ選定や回路設計の段階から意識すべき「安く作るための設計思考」として整理しておきます。
目次
JLCPCBのパーツ実装サービス(PCBA)利用時の費用をなるべく安く抑えるための工夫
JLCPCBのPCBAサービスについては、これまで実際に発注した際の感想や注意点などをいくつか記事にまとめてきました。
本記事では、それらの記事へのリンクも交えながら、PCBA費用をなるべく抑えるための基板設計の考え方や発注時の工夫について簡単に整理しておきます。
- PCBAタイプはなるべく「Economic(エコノミック)」で!
- 使用するパーツはなるべく「Basic Parts」を使う!
①PCBAタイプはなるべく「Economic(エコノミック)」で!
まずJLCPCBのPCBAサービスには、大きく分けて「標準PCBA」と「エコノミックPCBA」があります。
PCBAサービスを利用する際、このPCBAタイプの違いによって製造料金が大きく変わります。
エコノミックPCBAのベース料金(設定料金)は8ドルと非常に安価な価格設定となっています。
対して、標準PCBAになると50ドルと一気に価格が跳ね上がります。
このベース料金に、製造する基板で使用されているパーツ代金や各種オプション費用が加算され、最終的な価格が決まります。
つまり、エコノミックPCBAの条件内に収まる基板設計にしていれば、それだけで製造コストを大きく抑えることが出来るということです。
エコノミックPCBAで製造可能な主な条件をまとめると、以下のようになります。
これらの条件を超える設計になると、自動的に標準PCBA扱いとなります。
- PCBカラー: 緑・紫・赤・青・白・黒(黄色は標準PCBA扱い)
- 表面仕上げ: HASLまたは無鉛HASL(ENIGは標準PCBA扱い)
- 最小パーツパッケージ: 0402までは対応(0201は標準PCBA扱い)
- PCBレイヤー: 片面実装の2層・4層・6層基板まで対応(両面実装は標準PCBA扱い)
- パネル(面付け)形式: マウスバイト(Mousebites)は対応(Vカットは標準PCBA扱い)
基板のデザインや用途によっては、表面仕上げにENIG(金メッキ)を選択することがあります。
また、面付けや捨て基板を付ける際にVカットを入れる場合がありますが、これらは標準PCBA扱いとなります。(マウスバイトはエコノミック対応可能)
さらに、高密度設計などの理由で0201パッケージの部品を使用する場合や、両面実装になる場合も標準PCBA扱いとなります。

その他にも、基板の厚みが0.8mmまたは1.6mm以外の場合は標準PCBA扱いになるなど、ここで挙げた一般的な上記項目以外にも細かな条件がいくつか設定されています。
詳しくはJLCPCBのガイドラインページを参考にして下さい!
参考 PCB製造とアセンブリ能力JLCPCBまた、エコノミックPCBA・標準PCBAの違いに関しては、こちらの記事も参考になると思います。

②使用するパーツはなるべく「Basic Parts」を使う
JLCPCBのPCBAサービスでは、「Assembly Parts Library」から部品を選択し、在庫のある部品を実装してもらうことが出来ます。
そして選択する部品は大きく「Basic Parts」と「Extended Parts」に分かれています。
「BasicParts」は実装ラインに常備されている部品のため、追加の切り替え料金が発生しません。
一方、「Extended Parts」を使用すると、1種類ごとに3ドルのセットアップ料金が発生してしまいます!
特定の型番しか存在しないICチップや特殊なパーツを使用する場合は避けられませんが、使用する部品にExtended Partsが使われているほどセットアップ料金が積み重なり、最終的な価格を大きく押し上げてしまう要因になります。
ある程度のパーツ数を扱う基板になると、結構な価格になってしまいます。
有名メーカー製のパーツを選ぶとExtended Partsになることが多いのですが、設計段階で同等スペックのBasic Partsで置き換え出来ないか?といったことを意識しておくだけでも、PCBA費用は大きく変わってきます。
朝CAD!
BOMを作って確認中・・・👀
PCBAを利用する場合は進捗70%くらいでこれ一度やっとかないと、基板完成後で特定パーツが使えないとなると大改修になっちゃうからね。 pic.twitter.com/3Dy9dJiVoi— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) February 3, 2026
発注段階になってからパーツを変更するのは、実際のところ難しい場合が多いと思います。
代替パーツへ変更すると、ピン配置やフットプリントが異なることがあり、その結果、基板設計そのものを修正しなければならないケースも出てきます。
特に、Extended PartsからBasic Partsへ置き換えようとした場合、単純な差し替えでは済まないことも少なくありません。
そのため、回路設計の段階でAssembly Parts Libraryを確認し、在庫状況やBasic Partsで代替可能かどうかを意識しながら、使用するパーツを選定しておくことが重要になってくると思います。
最後に!
JLCPCBのPCBAサービスは、比較的手軽かつ安価に実装済み基板を製造してもらえますが、基板設計の内容によっては価格が大きく変わってくる場合があります!
発注画面で金額を見てから調整するのではなく、回路設計やパーツ選定の段階でどこまで意識出来ているかが、そのまま製造コストに直結してくると思います。
ごく一般的な基板設計のもので、なるべく製造料金を抑えようとするのであれば、
「エコノミックPCBA」の範囲に収めること!
そして「BasicParts」を中心に部品を選ぶこと!
この2点を意識するだけでも、PCBA費用は大きく変わってきます。
もちろん、用途や仕様によっては標準PCBAを選択せざるを得ない場合もあります。
それでも、こうしたポイントを踏まえて設計しておくことで、最終的なPCBA費用を大きく抑えることが出来ます。
これからPCBAを利用される方や、すでに利用しているものの思ったより高いと感じている方の参考になれば幸いです。












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