11月25日発売 書籍『Arduinoと3Dプリンタでロボットを作ろう』を出させて頂きました!

【電子工作/PCB】技適に対応したWeMos D1 Miniを自作してみました!

使いやすいESP8266開発ボードの中にWeMos D1 Miniがあります。
WeMosはLolinというブランド名に変更されたようで、今ではLolin D1 Miniと言った方がいいのでしょうかね?
D1 Miniに対応したシールドも多数リリースされているので、使いやすく便利な開発ボードだと思います。

これまで製作したものでもいくつかWeMos D1 Miniを使いました。

【電子工作】ESP8266(WeMos D1 Mini)で動かすオープンソースの携帯ゲーム機『ESPboy』が面白い!
ESP8266で動かすミニウェザーステーションの製作!【WeMos D1 Mini】
【電子工作】ESP8266で動かすミニラジコン「Mini Tank」の製作!【WeMos D1 Mini】

個人的に大好きなWeMos D1 Miniなんですが、搭載されているESP8266(ESP-12F)は日本では技適が取得されていません。

D1 Miniにはいくつかのバージョンがあり現在V4タイプのものが最新となります。
全てのバージョンのD1 Miniを持っていますが、ともに技適は取得されていないようです。
便利なESP8266開発ボードなのに・・・技適が取得されていないのは残念なところです!

そこで技適に対応したD1 Miniを自作することにしました。
技適が取得されたESP8266と言えばESP-WROOM-02が使えそうです!

ESP-WROOM-02を使って技適対応したD1 Miniを自作する!

WeMos(Lolin) D1 Miniは現在ボードバージョンがV1からV4までリリースされています。

V1ではESP8285、V2以降ではESP8266/ESP-12Fが使われているなどバージョンによって構成に多少の違いがありますが、内部の回路構成はほぼ同じです!
Amazonでも安価で入手することが出来るV2バージョンのものは、海外でも使われているのをよく見かけます。

ESP8266開発ボード『WeMos D1 mini(Lolin)』の基本的な使い方!

そして、このD1 Miniを技適に対応させるには・・・

ESP8266にはESP-01からESP-14まで多数の種類があるわけですが、V2バージョンではESP-12Fが使われています。
技適対応されたESP8266ではESP-13となるESP-WROOM-02があります。
秋月電子さんなど国内ショップでも入手しやすい技適に対応したモジュールなのでこれが使えそうです!

という事で今回ESP-WROOM-02を使いD1 Miniを技適に対応させようと考えたわけですが、上記写真のようにESP-12FとESP-WROOM-02はモジュールサイズやI/Oピンの位置など異なってくるので取り替えるだけでは当然対応する事が出来ません。

もうこれは1から基板を作るしかないということで、ESP系の回路構成の勉強も兼ねてESP-WROOM-02を使いWeMos D1 Miniの技適対応したボードを自作してみました。

回路構成

WeMos D1 Miniは海外でも非常に人気のある開発ボードですが、日本では技適が取得されていないのが残念なところです!
個人的に大好きなESP8266開発ボードの一つとなり、自作した製作物やテストなどで使う頻度が高いボードです。

ドローンという趣味で以前個人で技適申請(開局)を何度かやったことがあるのですが、D1 Miniでも技適の申請とか出来るかな?と調べたこともあるのですが・・・
最近電子工作で自作基板の製作も始めたことから、これは自作した方が早そう?という事で製作してみることに!

WeMos(Lolin)さんの公式サイトではV4バージョンの回路図は公開されているようです。(ネットを探せば他のバージョンの回路図も見つかると思います)
D1 Miniの回路構成は、ESP8266開発ボードを自作する際にその回路構成を理解する上でも非常に参考になるかと思います。

Core(ESP8266)/電源ライン/USB-シリアル変換/オートリセット(オートフラッシュ)、そしてESP8266のプルアップやプルダウンなどシンプルで分かりやすいお手本ともなる回路構成だと思います。(ごく一般的なESP8266の回路構成です)

参考 D1 BoardsWeMos

そして今回自作した基板の方の回路構成はこのようにしました。
ベースとなるV2タイプのD1 MiniからUSB端子をType-Cに変更し(V3以降のボードではType-Cとなっています)、USB-シリアル変換チップにFT232RL、そしてESP-WROOM-02という構成で組んでいます。

起動モード

簡単に回路構成を見ておきます。

ESP-WROOM-02の起動時のモードは3つのピンによって決定されます。
ESP-WROOM-02を動かすには、IO15/IO2/IO0この3つのピンのプルアップ・プルダウンが必要となってきます。

プログラム実行モード
IO15IO2IO0
LOWHIGHHIGH
プログラム書き込みモード
IO15IO2IO0
LOWHIGHLOW

オートリセット(自動書き込み)

NodeMCU方式と言うのでしょうか?
ESP系の開発ボードの自動書き込み部分には、トランジスタを2つ使い双安定マルチバイブレータのようなこのような回路が使われているのをよく見かけます。

V3以降のD1 MiniボードではUMH3Nというチップでこれを実現しています。
今回0805サイズのパーツをメインとし基板を作っているのですが、基板面積に対してパーツ数が多くなりすべて収まるかな?と製作過程で思っていましたが、パーツ点数を減らせるので便利なチップです。

またRST端子(RESET)のコンデンサですが、開発ボードによっては入っていないものもあります。(古いタイプかな?)
例えば手持ちの互換ESP32-DevKitCではこのコンデンサが組み込まれていないことでRESET端子に手動でコンデンサを接続しないと上手く書き込みが出来ないボードもあります。

最近ちゃんとしたオシロスコープ(RIGOL)を購入したので自動書き込みをする際に使われる各端子波形を見てみましたが、リセットがかかりGNDまで落ちたレベルのVCCまでの立ち上がりを遅らせているのかな?
IDE側の書き込みのタイミングをどのようにしているのかなど含め個別で詳しく検証してみたいところです!

基板製作

基板形状はD1 Mini用の各種シールドが使えるようにオリジナルの基板サイズ&形状に合わせて作っています。

もともとD1 Miniは小さな基板サイズとなり、オリジナルのものからパーツ点数が少し増えUSBシリアルチップもCH340CからFT232RLに変更しチップサイズが少し大きくなっているので基板にすべて収まるかなという不安がありましたが、0805サイズのパーツをベースになんとか収めることが出来ました。(ESP-WROOM-02は基板裏面に配置しています)

そのため実装が大変かな?という事で今回初めてステンシルも発注してリフローによる実装を行ってみました。

基板発注

基板の発注は今回もJLCPCBさんを使いました。

このサイズの基板なら送料を入れても500円程度で作れるのですが、先述のようにパーツ点数が少し多くなり基板密度的に実装が大変そうだったので、今回初めてステンシルも一緒に発注してみました。
ステンシルを使ったリフローは初めてだったので、丁度いい機会になりました!

参考になるか分かりませんが基板データ(ガーバーファイル)をダウンロード出来るようにしておきます。

またJLCPCBでの基板発注方法に関しては、こちらの記事で詳しく解説しているので合わせて読んで頂ければと思います。

【電子工作】はじめての基板製作!JLCPCBさんに基板を発注してみました。ユーザー登録・データ納品・基板到着までの一連の流れをご紹介!

パーツの実装

初ステンシルを使ったリフローだったんですが、何度か練習してコツを掴まないと結構難しいですね!

はんだペーストをヘラを使い伸ばしてパッド部分に載せていくわけですが、ステンシルと基板の間にできた僅かな隙間により上手く載せることが出来ず・・・。
何度か練習してなんとかここまで綺麗に?はんだペーストを載せることが出来ました。

パッド部分から少し漏れているのが気になりましたが、リフローによる実装は一発OKでした!

これまで1箇所ずつ手作業ではんだペーストを載せていましたが・・・、作業効率が大きく上がり仕上がりも非常に綺麗に出来ました。
ステンシルを使ったリフロー、これは便利ですね!

リフロー炉(装置)はミニタイプのMHP30を使っています。
コンパクトでPD電源(最大60W)が使えるので作業スペースの邪魔にもなりにくく、非常に便利なリフロー装置です!

【電子工作】コンパクトボディーで安全設計!ミニリフロー装置『Miniware MHP30』を使ってみる!

またJLCPCBでのステンシルの発注手順やそれを使ったリフローの様子をこちらの記事でまとめています。
合わせて読んで頂ければと思います。

【JLCPCB】初めてステンシルを使ったリフローを行ってみました。JLCPCBでステンシルを発注する手順などを紹介!

使用パーツ一覧

今回使用したパーツ一覧です。

パーツ定数入手先
抵抗(0805)R1/R2/R4/R6/R7 10kΩAmazon / Aliexpress
R3/R5 5.1kΩ
R8 220kΩ
R9 100kΩ
R10/R11/R12/R13 1kΩ
R14 470Ω
コンデンサ(0805)C1/C4 10μFAmazon / Aliexpress
C2/C3/C5/C6 0.1μF
C7/C8 1μF
LED(0805)LED1~4Amazon / Aliexpress
コアU1 ESP-WROOM-02秋月電子
USB-TTLU2 FT232RLAliexpress / 秋月電子
3.3VレギュレータU3 ME6211A33PGAliexpress
トランジスタU4 UMH3NAliexpress
フューズ(0805)F1 500mAAliexpress
スイッチSW1 TSA245G00D-250Aliexpress
USB端子J1 Type-C秋月電子
端子J2/J3 ピンヘッダー or ピンソケット

【追記】自作ESP32開発ボードも作ってみました!

ESP32-DevKitCをベースにした自作ESP32開発ボードも製作してみました!

こちらも合わせて見て頂ければと思います。

【電子工作 / PCB】リポバッテリーからの駆動も出来る自作ESP32開発ボードの製作!

最後に!

WeMos D1 Miniは個人的に大好きなESP8266開発ボードの一つとなり使う頻度も高いので今回ESP-WROOM-02を使って技適に対応したボードを自作してみました。

数百円程度で入手出来るボードなので自作すると手間がかかりコスパも少し悪くなってしまいますが、ESP8266開発ボードの回路構成を理解する事ができ、ステンシルを使ったリフローやKiCadを使った回路設計など今回も多くの経験値を得ることが出来ました!

何かの参考になればと思います・・・。

コメントを残す