KiCadを使った自作基板の製作を始めて最近では表面実装パーツ(SMD)を扱う機会も増えてきました。
自作基板の製作は面白く、電子工作で出来る事の幅も大きく広がります。
SMDパーツの基板実装には、ヒートガンやリフロー装置が使われます。
リフロー装置は最近入手したミニサイズの『MiniWare MHP30』を使っています。
MHP30は手のひらに乗るほどの小型サイズのリフロー装置となりPD電源(最大60W)を使うことが出来るので、コンパクトで作業スペースの邪魔にもなりにくく非常に使いやすいリフロー装置だと思います。
転倒時、自動的に加熱をオフにするなど安全面も考慮された設計で何よりデザインがカッコいいのも特徴です!
初めてのリフロー装置としてパーツ実装で非常に役立っています!

そしてSNSを見て頂いたMiniWareさんから、『他に使ってみたい製品など何かありますか?』というお問い合わせを頂き『DT71 Mini Digital Tweezers』という表面実装パーツの計測等で使えるミニテスターを送って頂きました。
正直この段階までMiniWareとういうメーカーさんの事はあまりよく知らなかったのですが・・・
販売されている製品を見てみるとハンディータイプのオシロスコープやロジアナなど電子工作を始めてからよく見かける製品を多く作られているようですね!
ハンディータイプのはんだゴテとかは、電子工作以外でもドローンを趣味でやられている方などが使われているのもよく目にします!
という事で、MiniWareさんに送って頂いた『DT71 Mini Digital Tweezers』を見ていきたいと思います。
目次
表面実装パーツの計測等で使えるミニテスター『DT71 Mini Digital Tweezers』
表面実装パーツを扱うようになると、実装時にブリッジした箇所や実装したパーツの値が正しいかなどデジタルマルチメーター(テスター)を使ってテストする事はよくあります。
またチップコンデンサのようにパーツ上に数値が書かれていないパーツも多いので、実装前に他のパーツと混ざってしまいテスターを使って数値を確認するなんて作業もよくあります。
パーツの数値等の確認、また実装した回路のテストや計測には先端が細いプローブを使うことが多いと思います。
またパーツ単体で値の確認などしたい場合はこのようなプローブがあると手持ちのテスターに接続するだけで使えるので便利です!
この投稿をInstagramで見る
そして今回ご紹介するMiniWareさんのDT71ミニテスターは、上記のようにテスターにプローブを接続したもののハンディー版的なSMDパーツの計測等で使えるミニテスターとなっています。
以前からこのような専用テスターは欲しかったのですが、用途が限定されるものなので手持ちテスターと簡易プローブという組み合わせで対応していました。
SMDパーツの実装を行う作業では、リフロー装置やヒートガン、はんだゴテや各種パーツなどが作業スペースを占領してしまいがちですが、片手で持てるハンディータイプのテスターなのでスペースの邪魔にもならず1台あると便利に使えます!
付属品一覧
まず付属品一覧を見ておきます。
テスター本体(コントローラー&テストアーム)と交換用チップ・データケーブル・充電ケーブルが付属しています。
簡易的なマニュアル(英語/中国語表記)も付属しますが、MiniWareさんのサイトからダウンロードできるPDFファイルを見た方が詳しく書かれているのでこちらを見た方が使い方や設定方法など分かりやすいと思います。(後述します)
付属ケーブルは公式サイトに記載されているものとは異なるものが同封されていました。
これまでの一体化されたケーブルから充電用とデータ用を分離してそれぞれ個別ケーブルとなっています。
仕様変更がされたようですね。(こちらの方が使いやすいと思います)
テスター本体は、コントローラー部分(上部)とテストアーム部分(下部)に分離できる形状となっています。
バッテリーはテストアーム内に内蔵されていて充電用ケーブルを使い充電します。
2時間の充電で約10時間の連続使用が出来るようです。
またコントローラー部分は付属データケーブルを使いPCと接続する事によりファームウェアのアップデートや基本機能の設定変更等が出来るようになっています。(後述します)
基本操作
DT71の基本的な使用方法を簡単にまとめておきます。
電源のON/OFF
電源の投入は本体を軽く振るとONとなります。
電源投入時、現在使用しているファームウェアのバージョンも確認する事が出来ます。(記事掲載時の最新ファームウェアはV1.15でした)
DT71のコントローラー部分にはセンサーが内蔵されているので、左手で持った時/右手で持った時を検知してディスプレイの表示を反転してくれるので表示は見やすく、これは便利な機能です。(固定することも可能です)
一定時間無操作状態が続くと自動的に電源がOFFとなります。
デフォルトでは60秒でオートパワーオフとなる設定となっています。
モードの切替
DT71には4のモードが用意されています。
コントローラー上部を長押しするとモードが切り替わっていきます。(静電タッチセンサーかな?)
初めてDT71を使う場合、まずキャリブレーションを行います。
キャリブレーションモード
キャリブレーションモードは、先端チップの抵抗値等の計測を行い校正するモードです。
画面表示に従いチップ先端を短絡・開放を行いキャリブレーションを行います。
キャリブレーション後、[Save data?]と表示されたら上部をタップすると校正内容が保存されます。
マニュアルモード(M)
マニュアルモードではVx(電圧)・Rx(抵抗値)・Dx(ダイオード)・Cx(静電容量:コンデンサ)・Lx(インダクタンス:コイル)・Fx(周波数)の計測を個別で行なえます。
上部を軽くタップすると測定モードが切り替わっていきます。
測定方法は通常のテスターと同じです。
テスターの基本的な使い方は本記事では割愛させて頂きます。
測定内容 | レンジ | 誤差 |
電圧 (最大入力電圧 -5V~+50V) | 1mV~100mV | 2%+5 |
0.1V~40V | 1%+3 | |
抵抗値 | 0.1Ω~2MΩ | 0.5%+2 |
ダイオード | シリコンダイオード ショットキーダイオード LED(+0.1V~3V) | 1% |
静電容量 | 0.1pF~400μF | 2%+3 |
インダクタンス | 1μH~50mH | 5%+3 |
周波数 | 10Hz~20MHz | 0.1%+3 |
オートモード
オートモードは抵抗値・静電容量・インダクタンス・ダイオードを自動識別して測定するモードです。
こちらもオートモードが付いている通常のデジタルマルチメーターと使い方は同じですが、電圧測定は自動識別出来ないようです。(マニュアルモードで対応)
デジタルマルチメーターと同様に計測する対象を自動識別して数値を表示してくれるモードです。
この投稿をInstagramで見る
信号発生モード
DT71にはシグナルジェネレーター機能も内蔵されています。
サイン波(SINE)・パルス(PLUSE)・ノイズ(NOISE)・ユーザープリセット(USER)の4つが用意されています。
上部スイッチを軽くタップするとモードが切り替わっていきます。
この投稿をInstagramで見る
それぞれサポートされている周波数は以下のようになっています。
シグナル | サポート周波数 |
SINE | 10kHz/5kHz/2kHz/1kHz/500Hz/200Hz |
NOISE | 100kHz |
USER | 10kHz/5kHz/2kHz/1kHz/500Hz/200Hz |
PULSE | 100kHz/2kHz/1kHz/500Hz/200Hz |
周波数の切り替えは以下の項目、[設定内容の変更]の手順で行います。
設定内容の変更
DT71の基本項目の設定はデフォルトから特に変更しなくても使用できますが、PCと接続して設定ファイルに手を加えることにより細かな設定変更も行えるようになっています。
詳しくはこちらのDT71マニュアルをご覧ください!
付属の簡易マニュアルより詳細な使用方法等が書かれています。
またMiniWareさんに教えて頂きましたが、最新のマニュアルやファームウェア等の確認はフォーラムの方で随時更新されているようです。
参考 DT71フォーラムMiniWare簡単に設定変更出来る内容を見ておきます。
デフォルト設定ではオートパワーオフが60秒と少し短いので、例えば2分や3分に延ばしたい場合などで設定を変更しておけば便利だと思います。
付属データケーブルとコントローラー部を接続してPCに繋げると設定ファイルの確認&変更が行なえます。
PCに接続すると[CAL.INI]という設定ファイルがあるので、このファイルを適当なエディッタで開きパラメーターの数値を編集して設定内容の変更を行います。
パラメーター | 内容 | 設定できるレンジ |
SLEEP_TIME | オートパワーオフの時間(秒) | 30-999(秒) |
DISPLAY_DIRECTION | 左手/右手モード | 0:右手モード/3:左手モード/4:自動切り替え |
OLED_BRIGHTNESS | ディスプレイ輝度 | 0~10 |
TSC_SEN | タッチボタンの感度 | 1:ノーマル/2:敏感 |
SINE_FREQ_OPT | サイン波の周波数 | 0:10kHz/1:5kHz/2:2kHz/3:1kHz/4:500Hz/5:200Hz |
NOISE_FREQ_OPT | ノイズシグナルの周波数 | 100kHzのみ |
USER_FREQ_OPT | ユーザーシグナルの周波数 | 0:10kHz/1:5kHz/2:2kHz/3:1kHz/4:500Hz/5:200Hz |
PULSE_FREQ_OPT | パルスサインの周波数 | 0:100kHz/1:50kHz/2:20kHz/3:10kHz/4:5kHz/5:2kHz/6:1kHz/7:500Hz/8:200Hz |
またユーザープリセットの波形はデフォルトでサイン波の波形が入っていますが、[USER_WAVEFORM]の項目でパターンの変更も出来るようになっています。
数式で計算しHEX(16進数)で指定すれば三角波やのこぎり波など任意の波形形状を作ることが出来るようです。
最後に!
これまで手持ちテスターに簡易プローブを取り付けてやっていた事がこのような専用テスターを使うことによりコンパクトに同様なことが出来るのは便利ですね。
作業スペースの邪魔にもなりにくいのもいいと思います。
ただ専用テスターとなるので表面実装パーツといった特定の電子パーツや部分的な回路のピンポイントの計測では便利なんですが、短絡チェックなど基板上の各所をチェックしていくなどの用途では通常のデジタルマルチメーターを使った方が便利なわけで・・・
今回ご紹介したDT71は1台持っていると他のデジタルマルチメーターとの併用といった便利な使い方が出来ますが、用途が少し限定されるテスターでもあります!
このようなペン型のデジタルマルチメーターとの併用は、SMDパーツ実装といった用途では作業スペースも取らずに便利だと思います。

また通常のデジタルマルチメーターについてはこちらの記事でもまとめています!
テスターの基本的な使い方等についても参考にして頂ければと思います。










コメントを残す