ピッチの狭いICチップやマイコンチップなどを扱う場合、ブレッドボードやユニバーサル基板に直接実装出来るように2.54mmピッチに変換する基板がよく使われます。
いわゆるピッチ変換基板やDIP化基板と呼ばれるもので、自作基板を製作する際のテスト回路を組む時などでよく使われます。
ピッチ変換基板は様々なパッケージのものが市販されているので必要な時に対応したサイズのものを購入すればいいのですが、ESSOP10というちょっと珍しい?パッケージのチップを扱った自作基板を以前何度か製作したのですが、これに対応したピッチ変換基板が市販されていなくて苦労した経験があります。
ESSOP10・・・、あまり見かけませんよね?
ということで、ESSOP10のピッチ変換基板を自作してみました。
ESSOP10 ピッチ変換基板の製作!
自作基板の製作では、そのテスト回路を組む際にピッチ変換基板は何かとよく使います。
大抵のパッケージのものは市販されているのでその都度対応したサイズのものを購入しているのですが、ピッチ変換基板は大抵の場合小さなボードになるので何かとよく使うサイズのものは面付けを行い自作したものを作っておけば安価で大量に作れるのでコスパも良くなると思います。
よく使うパッケージのピッチ変換基板はいくつかKiCadで設計しているのですが、まずESSOP10というパッケージのものを作ってみました。
あまり見かけることがない珍しいサイズになるのでしょうか?
市販されているものをほとんど見かけることがなく、以前製作した自作基板ではこのサイズのピッチ変換基板が見つからず非常に苦労した覚えがあるので今回製作してみることにしました。
ESSOP10
これまでESSOP10というパッケージのもので使った事があるチップは、USB-シリアル変換チップの『CH340K』があります。
また、PDトリガーチップの『CH224K』もESSOP10というパッケージでした。
他にあったかな・・・?
背面にグランドプレーンが付いた1mmピッチのチップとなります。
市販されているピッチ変換基板が見つからず、個人で製作しAmazonで販売されていた方がいたので上記記事のテストをしていた時は助かったのですが・・・
無いなら自分で自作しておこう、ということで今回製作することにしました!
基板設計
フットプリントさえ用意できればピッチ変換基板の設計は簡単ですが、ボードサイズは少し考える必要があります。
ピッチ変換基板なのでブレッドボードやユニバーサル基板に挿して使うことが前提となります。
そのためなるべく最小サイズで作りたいところなんですが、単一基板のサイズがあまり小さすぎると特殊加工扱いとなり製造に結構なオプション料金が加算されてしまいます。
PCB製造メーカーによりこの規定サイズは微妙に異なるので、JLCPCBに発注することを前提で製作しました。
JLCPCBでは単一基板の一辺が15mm未満になると15.2ドルのオプション料金が加算されてしまいます。
チップを90°回転させ配置すると横幅10mmで設計出来るのですが、上記を考慮しピン番号を大きく取れるようにピンヘッダーとチップのパッドとのクリアランスを考え余裕を持って16mm幅にし、ボードサイズを16mm×20mmにしました。(これでも結構小さいですけどね!)
これでJLCPCBで最小単価で製作することが出来ます。
ある程度の数作っておきたく面付け基板として発注する予定なので、このような面付け基板データも一応作成したのですが・・・
JLCPCBでは単一基板データを使い面付けしてもらえるオプションがあります。
100枚程度ではあまり料金が変わらないので、今回は単一基板データを使いJLCPCBに面付け依頼をして製作しました。
JLCPCBに基板発注
JLCPCBに基板を発注します。
必要な枚数によりJLCPCBに面付け依頼をした方がいいのか、または単一基板として必要な枚数発注した方がいいのかが変わってきます。(料金的な話です)
例えば、今回発注した16mm×20mmの基板サイズでは単一基板として50枚発注する場合の料金は8.9ドルとなります。
同じ単一基板データを使いJLCPCBに面付け依頼をする[Panel by JLCPCB]を選択した場合、面付け後の基板サイズが100mm×100mm以内に収まれば基板製造料金やOCS NEPやOCS Expressの送料も非常に安く出来ます。
このサイズに収まるように5×4面付け基板として発注すると実質100枚の基板が6.5ドルとお安く製作することが出来ます。
今回この面付け枚数で製作を依頼しました。
そして5mmのエッジレールも付けておきました。
基板製造番号をエッジレールに逃がす目的で入れています。
5mmのエッジレールを含めても100mm以内に収まっているので、製造番号を削除するオプション(1.5ドル)を使うよりもお安く7.1ドルで製作出来ます。
配送方法はOCS Expressを選択すれば2.01ドルの送料となるので、トータルで9.11ドルということになります。(OCS NEPでは0.96ドル)
基板100枚なので1枚単価で考えると0.09ドルほどとなりコスパは非常にいいですね!
ちなみに、こちらで面付け基板データを用意した場合の価格は6.5ドルとなるようです。
あまり料金は変わらないので、[Panel by JLCPCB]で面付けを自動で行ってもらった方が面付け基板データを作成する手間がかからず楽ですね!
今回はさらに表面処理にENIGオプションを追加してみました。
ENIGはパッド部分の表面仕上に金メッキ加工をするというもので、通常のHASLと比べ腐食等による劣化に優れているというものです。
ENIGはオプション料金として16.5ドルかかるので、送料を合わせたトータルコストは25.61ドルとなりました。
それでも基板1枚あたりの単価は0.25ドル程度でとても安価ですね!
JLCPCBの基本的な基板発注方法に関してはこちらの記事でまとめているのであわせて見て頂ければと思います。
また今回製作したESSOP10のピッチ変換基板のガーバーファイルをダウンロード出来るようにしておきます。
何かの参考になればと思います。
ESSOP10 DIP Conversion(Gerber)
基板の到着
先日JLCPCBでサービスが開始されたカラーシルク基板と一緒に発注したのでこちらの基板製造待ちとなり通常より2日ほど時間がかかってしまったようですが、OCS Expressを選択し基板発注から10日で手元に基板が届きました。
2ドル程の送料ですが製作&到着が非常に早い、これは他社を圧倒していますね!
綺麗な仕上がりです!
デジタルマイクロスコープで見てみると、通常のHASLと比べENIGは表面に凹凸がなく非常に綺麗な仕上がりになっています!
実装
早速CH224KとCH340Kを実装してみました。
パーツの実装はMHP30を使いました。
朝遊んでたやつ😊
シュッと決まるところが気持ちいいよね〜👌 pic.twitter.com/5cOeJSV8GJ— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) April 8, 2024
コンパクトで非常に便利なミニリフロー装置です!
最後に!
ピッチ変換基板は大抵のものは市販されていますが、よく使うパッケージのものや今回のように珍しいサイズのものでなかなか市販品では見つけることが出来ないものは自作しておくとコスパが良く便利だと思います。
100枚程度の数では面付け基板データを用意して発注する場合の価格とあまり変わらないので、単一基板データだけ作っておき他の基板を発注する際に一緒に発注すれば送料も抑えることが出来ていいと思います。
JLCPCBでは他社と比べ基板製作のトータルコストが非常にお安いのが魅力的ですね!
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