Type-C端子から任意の電圧を取り出せるUSB PD(Power Delivery)に対応した製品は数多く出回っています。
Type-Cケーブルを接続しノートPCに12Vや20Vなど対応した電圧を取り出して使えるなど、便利に使える製品が多いですよね!
電子工作用途で使えるPDトリガーモジュールも調べてみると結構販売されているようです。
PDトリガーについて回路構成の勉強のため、いくつかPDトリガーモジュールを入手してみました。
特定の電圧に固定して使うタイプのモジュールやPDで取り出せる5V/9V/12V/15V/20Vをジャンパーで選択したり、またマイコンチップとの組み合わせでスイッチ操作で出力電圧を選択出来るものなどいろいろと販売されています。
安価なモジュールとなりますが電子工作用途やそれ以外にも便利に使えます。
例えば出力電圧によりACアダプタを複数台使い回すのは面倒となりますが、PDに対応した充電器から出力する電圧を切り替えて対応するなど便利に使えます。
ACアダプターはこういうので代用出来ちゃうんだね!
便利👌 pic.twitter.com/22zcKYTXcP— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) February 20, 2023
これらモジュールで使われているPDトリガーチップにはIP2721やFS312、またCH224Kチップが使われたものが多いようです。
回路構成も簡単で、ほぼデータシート通りの接続でUSB PDから任意の電圧を取り出すことが出来るので便利です!
その中でもCH224KというPDトリガーチップを使ったモジュールは便利でマイコンとの組み合わせで制御するのも比較的簡単なので、製作物に組み込んで使うなど応用が出来そうです。
ATtinyのような小型マイコンと組み合わせることにより出力電圧を制御する事も出来るので、自作基板の製作や電子工作用途で便利に使えそうなトリガーチップです。
今回はPDトリガーチップとなるWCH CH224Kについて見ていきたいと思います。
目次
USB PDトリガー(デコイ) モジュールを試してみる!CH224Kについて詳しく解説!
USB PDトリガー(デコイ)モジュールはいろいろと販売されているようです。
冒頭でご紹介したように試しにいくつか入手してみましたが、どれも小型なモジュールとなりジャンパーの切り替えやスイッチ操作によりPDに対応した電源から5V/9V/12V/15V/20Vといった任意の電圧を取り出すことが出来る便利なモジュールです。
モジュール回路のメインとなるPDトリガーチップには、FS312やHUSB238、IP2721、CH224Kが使われているものが多いようです。
その中で特に便利だったのがCH224Kチップを使ったモジュールです。
こちらはCH224Kを使ったPDトリガーモジュールで、DIPスイッチにより出力電圧を切り替え出来るタイプのものです。
またこちらも同様にCH224Kチップを使ったモジュールですが、スイッチ操作で出力電圧の切り替えが出来るようになっています。
タクトスイッチを押すごとに出力電圧が5V→9V→12V→15V→20Vといった具合に切り替わっていき使いやすく便利なモジュールです!
この2つのモジュールはベースとなる回路構成は同じですが、上記のモジュールはDIPスイッチの操作を16ピンのチップ(型番が?)で制御しているようです。
ATtinyなどの小さなマイコンとの組み合わせによりこのモジュールと同様なものは簡単に作れそうです!
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今回はこのCH224K PDトリガーチップの基本的な使い方やArduinoなどのマイコンボードを使って出力電圧を制御する方法などを簡単に見ていきたいと思います。
WCH CH224K PDトリガーチップ
こちらがPDトリガー(デコイ)チップとなるWCH製のCH224Kです。
PDに対応した充電器などのPDソースと通信して最大20V 5A(100W)まで必要な出力電力をネゴシエートするPDコントローラーチップです。
このCH224K相当のチップとしてCH224Dや代替品として使えるCH221KやIP2721などもありますが、今回はCH224Kについて見ていきたいと思います。
CH224Kは表面実装タイプのチップとなりDIP形状のものは無いようなのでテスト等で使用する場合、DIP化出来る変換基板があると便利です。
ピンピッチ1mm→2.54mmに変換出来る基板が必要となりますが、CH224KはGND端子がチップ裏面に配置されているので注意が必要です。(GNDも取らないともちろん動作しません)
このピンピッチで裏面GNDが取れる変換基板は市販品としてなかなか見つからないと思いますが、CH224Kチップ用に作られたこちらの変換基板が販売されていました。(ちょっとお高いですが)
これでブレッドボード等を使ったテストで使えます。
PD機器とのテストなので、各対応端子が取れるType-CコネクタDIP化基板もあると便利です!
Type-Cコネクタから電源ライン(VBUS/GND)およびCC端子(CC1/CC2)、そしてデータ信号線となる(DP/DM)が取り出せるDIP基板です。
CH224Kは最大20V 5AまでのPDソースをコントロースする事ができ、PD3.0/2.0、BC1.2やその他の急速充電プロトコルもサポートしています。
また最大電力100WのVconnやE-Markチップの自動検出もサポートしていて、過電圧保護や加熱保護などの機能も内蔵されているようです。
詳しくはこちらのデータシートでも確認して下さい!
参考 CH224K Datasheet laskakit.czCH224Kの端子構成
CH224Kは10ピン+背面にGNDが取られた計11ピンのチップとなっています。
対応した端子をType-Cと接続するだけなので結構簡単に使えます!
ピン番号 | ピン名 | 説明 |
0 | GND | GND |
1 | VDD | 駆動電源 |
4/5 | DP/DM | USBデータライン |
6/7 | CC1/CC2 | Type-C CCデータライン |
2/3/9 | CFG1/CFG2/CFG3 | 構成端子(電力レベル設定) |
8 | VBVUS | VBUS電圧検出端子 |
10 | PG | パワーグッド端子 |
CH224Kの使い方① 固定出力(電圧)で使う
固定出力で使用する場合、3本の構成端子(コンフィギュレーション端子)となるCFG1/CFG2/CFG3のうちCFG1端子に接続する抵抗値により出力電圧が決定されます。
データシートに記載されているこのようなシンプルな接続で動かすことが出来ます。
CH224Kチップの駆動電源端子(VDD)にVBUSから直列1kΩの抵抗と1μFのデカップリングコンデンサの接続、電圧検出用のVBUS端子に10kΩの抵抗を接続する基本接続となる構成に、CFG1端子に接続された抵抗値により出力電圧を切り替えるというものです。
CH224Kの駆動電源VDDは3.0~3.6Vとなっています。
上記回路図通りCFG1端子に6.8kΩの抵抗を繋げて9Vの電圧を取り出したのがこちらです。
CFG1端子に接続する抵抗値により他の出力電圧を取り出すことも出来ます。
簡単な構成で固定電圧を出力できるのは便利です!
市販されている固定電圧タイプのDCジャックケーブルなどはこのような構成になっているのでしょうね!
CH224Kの使い方② マイクロコントローラーで制御する
上記のような固定出力(電圧)ではなく、CFG1/CFG2/CFG3端子のHIGH/LOWの組み合わせで出力電圧を切り替えることも出来ます。
抵抗値といったアナログ入力で切り替える以外にデジタル設定が出来るのは便利です。
これならマイコン等でこの3つの端子を制御して出力電圧を任意に切り替える事が出来ますね!
基本接続は先程と同じで、3つの構成端子CFG1/CFG2/CFG3を使用します。
この3つの端子の状態(HIGH or LOW)によって出力電圧が決定されます。
上記接続は12V出力の例です。
CFG3をHIGH(VDDレベル)にして他のCFG1/CFG2をLOW(GNDレベル)にしています。
3つの構成端子のHIGH/LOWの組み合わせにより5V~20Vまで任意に出力電圧を切り替えることが出来ます。
また上記2つの回路には使われていませんが、CH224KのPG端子(10番ピン)は要求された電圧がUSB PD電源と正常にネゴシエートされるとLOW(GND)レベルとなるオープンドレインとなっています。
LEDを接続して正常にネゴシエートされている時に点灯させたり、接続したMCUからステータスを問い合わせるといった用途で使えます。
試しにスイッチを押すごとに順次出力電圧を切り替える構成のものをArduino(ATmega328P)やESP8266を使って組んでみました。
電流センサーも接続し、出力側のリアルタイム負荷を表示出来るようにしています。
出力電圧を切り替えるためのCFG1/CFG2/CFG3端子をデジタルピンのHIGH/LOWで制御しているだけですが、基本回路は上記データシート通りの接続で上手く機能してくれます。
また接続する電源の能力によっては出力できない電圧も出てきますが(出力の低いモバイルバッテリーなどと接続した場合)、PG端子の状態から設定している電圧で上手くネゴシエートして出力出来ているかの確認もしています。
なかなか便利ですね!
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これをベースにATtinyやATmega328P等のチップを使い自作基板の製作を考えていますが・・・
CH224Kは扱いやすいPDトリガーチップで応用次第で電子工作用途で便利に使えそうですね!
WCH CH224K USB PDトリガーチップの特徴
最後にデータシート及び実際にテストしてみたCH224K PDトリガーチップの特徴をまとめておきます!
- PD3.0/2.0、BC1.2およびその他の急速充電プロトコルに対応
- 過電圧保護および過熱保護機能を内蔵
- USB Type-C PD、プラスとマイナスの挿入検出と自動切り替え
- 最大電力100WのVCONNおよびE-Markチップの自動検出をサポート
【追記】CH224Kを使ったUSB PD電源モジュールを自作してみました!
PDトリガーモジュールが非常に便利だったので、CH224Kを使ったUSB PD電源モジュールを自作してみました。
電流センサー(INA219)との組み合わせで負荷側の電圧・電流・電力をディスプレイにリアルタイム表示出来るようにしています。

最後に!
PDトリガー用のチップはいろいろとあるようですが、いくつかモジュールを入手し使ってみてCH224Kチップは扱いやすく便利だったのでまとめてみました。
CH224Kチップは自作基板の製作などで扱いやすく、またこのチップを使ったモジュールも安価で販売されているので電子工作用途で便利に使えると思います。
他のPDトリガーチップに関しても別記事でご紹介できればと思います。








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