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【自作基板 / JLCPCB】フル結線(24P)タイプのUSB Type-C端子(プラグ・レセプタクル)ブレークアウトボードの製作!

ブレッドボードなどで回路の試作を行う際にType-C端子を扱う場合、ピッチ変換基板(DIP化基板)がよく使われます。

細かいピンピッチのコネクタを扱いやすい2.54mmピッチへ変換できるため、手軽に電源ラインやUSB信号線などを引き出せる便利なボードです。

一般的によく使われるUSB2.0対応のType-C端子では、フル結線(24ピン)のものから実際には使用しないTX/RXラインが省略され、16ピン構成となっているものが多く見られます。(VBUS/GNDは表裏で共通のため、実質12ピン構成となります)

16ピンタイプのピッチ変換基板は様々なものが安価に販売されているので、1つ持っておくと何かと重宝します。

また、自分の環境に合わせて使いやすい形状や構成で自作しておくのもオススメです!

【電子工作 / PCB】ブレッドボード・ユニバーサル基板で便利に使えるType-Cコネクタ変換基板(DIP化基板)を自作してみました!

そして今回は、USB Type-C端子で使用される全24ピンをフルで引き出せるボードを製作しました。

市販品もいくつか手元にありますが、使用頻度の高いピンのみが配線されていたり、VBUSやGNDがあらかじめ内部で結線されているものもあり、用途によっては自由度に欠ける場面がありました。

そこで、プラグ(オス)とレセプタクル(メス)の両方について、USB Type-Cの全24ピンを完全に独立した状態で引き出せるブレークアウトボードを製作することにしました。

フル結線(24P)タイプのType-C端子(プラグ・レセプタクル)ブレークアウトボードの製作!

これまでの自作基板の製作では、16ピンタイプのType-C端子を使用することがほとんどで、24ピンフル結線タイプの端子を採用する機会はあまりありませんでした。

そのため、Type-Cコネクタが本来持つ全信号を意識する場面は少なく、CCラインやTX/RXラインなど、表裏で重複する信号構成について深く検証する機会はほとんどありませんでした。

そして現在、Type-Cコネクタの短絡チェッカーを製作しているのですが、製作過程においてフル結線をシンプルに引き出せるボードが手元になく試作段階で少し苦労したので、ブレークアウトボードとして使いやすいものを自作してみることにしました。

【自作基板】実装済み基板でも安全に検査!USB Type-C ブリッジ(短絡)チェッカーの製作【①全体構成を考える】

USB Type-Cコネクタの24ピンフル結線では、このようにピンが配置されています。
表面(上段)と裏面(下段)が対称になるように配置されていて、ケーブルを挿し込む向きを反転させても正しく動作するように設計されています。

そして、プラグ(オス型)とレセプタクル(メス型)では役割が異なるため、ピンの位置や接続関係が微妙に変わってきます。

例えば、レセプタクル側ではCCピン(CC1 / CC2)のどちらかに接続されることで、ケーブルの挿入向きや電源供給能力の通知を判別しますが、プラグ側では固定された位置(CC)を持っています。

また、USB2.0規格の差動信号ペア(D+ / D-)や高速差動ペア(TX / RX)についても、表裏(AB面)で対称に配置されていて内部でスイッチングされる前提の構成となっています。(画像引用)

全24ピンを引き出したシンプルな構成で設計

今回製作したブレークアウトボードは、VBUSやGNDなどの共通ピンを内部でまとめることはせず、USB Type-Cコネクタの全24ピンをそのまま個別に引き出す、極めてシンプルな構成としました。

あくまで、コネクタの各ピンをそのまま観測・配線出来ることを目的とした検証用のボードです。
全てのピンを完全に独立させることで、必要に応じて任意の配線や回路を自由に組めるようにしています。

ピン配置は、ボード単体での配線作業やブレッドボードでの使用も想定し、2.54mmピッチで引き出しています。

特に170穴のミニブレッドボード上で扱いやすいサイズ感となるように基板寸法やピン列の間隔を調整しています。

全24ピンを個別に引き出しているため、VBUSやGNDなど共通ピンを結線したい場合は、ボード後方に設けた4列分のスペースを活用出来るボードサイズとし、コンパクトで扱いやすい設計になっていると思います。

また、プラグ(オス)側のボードについては、実際の使用状況を想定し、トップ面とボトム面の両方でピン配置を確認出来る仕様としました。

USB Type-C端子は、基板実装時や検証時にどちらの面を上にして扱うかによって見えるピン配置の感覚が変わります。
レセプタクル(メス)側は基板実装時の向きがほぼ固定されますが、特にプラグ側は表面(A)と裏面(B)の関係を視覚的に把握しづらいという側面があります。

そこで本ボードでは、トップ面にA面基準のピン配置を、ボトム面にB面基準のピン配置をそれぞれシルク表示しました。

これにより、ピンヘッダー(またはピンソケット)を取り付ける面を変えることにより、表裏の対応関係を直感的に確認でき、ケーブル挿入方向を意識した検証もやりやすいのではないかと思います。

JLCPCBに基板を発注

基板の製造は、いつものようにJLCPCBを利用しました。

基板データ(ガーバーファイル)をダウンロード出来るようにしておきます。
何かの参考になればと思います。

基板発注の際の注意点も少し見ておきます。

今回使用した24ピンフル結線タイプのType-Cコネクタ(プラグ / レセプタクル)は、両面実装タイプのコネクタとなっています。
基板エッジ部分に挟み込む構造になっているため、基板厚の指定には注意が必要です!

一般的な1.6mm厚のPCBでは物理的に取り付けることができないため、発注の際は0.8mm厚の基板を選択する必要があります。

それ以外の選択項目は特記すべきところはありません。
4ドルほどで製造することが出来ます。

MEMO
両面実装タイプのUSBコネクタを使用しているので、通常のリフローによる実装は行えません!
そのため、コネクタの実装は手はんだで行うことになります。

パーツの実装

配送方法にOCS Expressを選択し、発注から10日ほどで基板が手元に届きました。

今回、表面仕上げにENIGを選択しました。(別途オプション料金がかかります)
仕上がりも綺麗で、シルクの視認性も良好です。

それでは、パーツを取り付けてボードを完成させます。

今回使用したType-Cコネクタは両面実装タイプで、さらにピンピッチも非常に狭いため、はんだ作業に慣れていない場合は少し難しく感じるかもしれません。

コネクタは基板のエッジ部分に挟み込む構造のため、基板背面よりも端子部分がわずかに出っ張ります。
そのまま作業すると不安定になるため、余った基板などを下に敷いて軽く嵩上げすると、作業がしやすくなります。

はんだ付けの際は、ピンピッチが非常に狭いため、あらかじめフラックスをたっぷり塗布してから作業を行います。

こて先にはあらかじめ少量のはんだをのせておき、ピンに軽く当てながら横方向へなぞるように動かしていきます。
いわゆるドラッグはんだの要領で、はんだをピンへ流していくイメージですね。

両面のはんだ付けが完了したら、IPA等を使い洗浄します。
綺麗に仕上がりました!

【電子工作】基板のフラックス汚れを強力に洗浄。IPA(イソプロピルアルコール)を使ってみる!

プラグ側端子は、外側のシールドピンと隣接するGNDピンとの間隔が非常に狭くなっているので、はんだブリッジが発生しやすい箇所です。

何度かやり直しましたが、ブリッジしてしまった場合でも、フラックスを追加して吸い取り線で丁寧に除去すれば問題ないと思います。

通常、Type-Cコネクタのシールド部分はGNDへ直結して使用するのが一般的ですが、本ボードではシールド部分も含めて全てのピンを完全に独立して引き出しています。

シャーシGNDとして扱う場合やフェライトビーズや抵抗、RCを介して接続・検証するといったことも想定されるためです。

そして、レセプタクル側にはCC1 / CC2ピン用のプルダウン抵抗を接続するパッドもあるので、必要なら5.1kΩ抵抗を取り付けます。
最後にピンヘッダーを取り付けてボードの完成です。

実際に使ってみる

フル結線ボードという性質上、実際に使用する際は複数のワイヤーを同時に接続した状態で使うことになると思います。

特に170穴サイズのミニブレッドボードに装着して使うと、取り回しをコンパクトにし検証出来るので便利に使えると思います。

プラグ側とレセプタクル側をこのようにペアで使用し、両者を並べて接続関係や信号の流れを確認&検証出来るのも便利です!

実際、上記短絡チェッカーの試作段階でこのようなボードが手元にあれば、検証作業をもう少しスムーズに進められたのにな……と少し思ったりもしています。

また、自作基板の製作でよく使う16ピンタイプのType-Cコネクタ周りでブリッジが発生することも少なくありません。
ピンピッチが狭いため、見た目では問題なさそうでも実際にはショートしていることがよくあります。

そのため、はんだ付け後にはテスターを使って1ピンずつ導通チェックを行うことになりますが、各ピンに直接アクセスできるため、確認作業がスムーズに出来るので便利です!

実際のところ、この確認作業をもう少し効率化出来ないか?と自動で行えるように製作しているのが、先に紹介した短絡チェッカーなんですけどね・・・。

使用パーツ

今回使用したパーツです。

パーツ入手先
Type-C 24P PlugAliExpress
Type-C 24P ReceptacleAliExpress
抵抗(0603) 5.1kΩAliExpress
その他 ピンヘッダー or ピンソケットーーー

最後に!

今回、USB Type-Cコネクタの全24ピンをフルで引き出せるブレークアウトボードを製作しました。

これまで16ピンタイプのコネクタを使うことが多く実用上はそれで十分でしたが、フル結線での検証が行えるボードがあることで、より踏み込んだ確認や実験が可能になります。

全てのピンを独立して引き出すというシンプルな構成なので、検証用途としての自由度は大きく、様々な場面で便利に使えると思います。

市販のブレークアウトボードも多数販売されていますが、自分の環境や使用用途などにより、より使いやすいように最適化出来るのは自作の良いところですね!

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