はんだ作業であると便利な道具(アイテム)を以前こちらの記事でご紹介しました。
一般的な電子工作用途で行うはんだ作業では、これくらいの道具があると便利に作業する事が出来ると思います。
『エンジニアさんのはんだ吸取器(SS-02)もあると便利だよ!』というお問い合わせメールを頂いたことから試しに購入してみましたが、これも非常に便利に使えるアイテムでした!
そして今回は、はんだ付けの際に残ったフラックスを綺麗に洗浄するために『IPA(イソプロピルアルコール)』を試してみました。
フラックスクリーナーとしてサンハヤトさんの小瓶タイプ(FL-L15)のものはいつも愛用しています。
付属のハケで塗るだけで処理ができるので、ピンポイントにフラックスを洗浄&除去したい場合には非常に重宝します。
基板サイズがこれくらいな小規模のフラックス洗浄では便利ですが、大きな基板で広範囲ともなると少し面倒となる事もあります。
上記サンハヤトさんのフラックスクリーナーはスプレータイプのものも販売されています。
こちらは試したことがありませんが、IPAは安価で大容量なものが入手出来るのでフラックス除去の範囲が広い場合にはドバっと塗って(吹き掛けて)一気にフラックスを洗浄できるIPAはとてもコスパがよく便利だと思います!
IPA(イソプロピルアルコール)を使いフラックス汚れを強力に洗浄する!
はんだ付けの際にフラックスはよく使われます。
フラックスは簡単に言うとはんだ付けの促進剤みたいなものです。
基板に電子パーツをはんだ付けする際に、溶けたはんだの表面に酸化膜があると上手くいかないため(常にコテの温度で表面は酸化していきます)それを取り除いたり、溶けて液体状になったはんだの表面張力を低下させて拡がりやすくしてしっかりと接合する事が出来るなど、フラックスを使うことによりはんだ作業がしやすくなります。
そしてはんだ作業の際に残ったフラックスを洗浄&除去するためにフラックスクリーナーやIPA、無水エタノールなどはよく使われます。
フラックスクリーナーは、冒頭でご紹介したサンハヤトさんの小瓶タイプのものを私は愛用しています。
ちょっとしたフラックスのクリーニング&除去には、本体に付いているハケを使って塗るだけなので手間がかからず簡単に行うことができます。
少し基板にベタつきが残りますが、他社製品と比べクリーニング後に白くなったりせずお手軽で便利に使えるフラックスクリーナーです。
一般的な電子工作用途で使われる小さな基板サイズのもの、特にピンポイントでのフラックス除去には非常に便利に使えます。
そして基板に残ったフラックスを洗浄する用途にIPA(イソプロピルアルコール)も使われ事が多いと思います。
少し手間はかかりますが、かなり強力にフラックスを洗浄する事ができ綺麗に仕上げることが出来ます。
広範囲のフラックスの洗浄に便利に使うことが出来ます!
IPA(イソプロピルアルコール)とは?
IPA(イソプロピルアルコール)は洗浄に使われるアルコールです。
車の燃料タンクに入り込んだ水分を取り除くための「水抜き剤」の主成分としても使われているもので、ネットショップやホームセンターなどでも安価で売られていて入手もしやすいものとなります。
基板のフラックス洗浄を行う際にIPAやエタノールが使われることは多いようですが、IPAはエタノールよりも安価で入手する事ができ、綺麗に仕上がるので使われている方も多いと思います。
基板(フラックス)を洗浄すのるにIPAやエタノールを使われる方も多いと思いますが、ドラッグストアの消毒用エタノール(76.9~81.4vol%)は純度が低く、逆性石鹸で消毒の性能を高めた物も多いので基板には不向きです。「工業用」「試薬用」を選びましょう。#はんだ萌え #はんだ付け講座 pic.twitter.com/jSgQT3UhxV
— はんだ付け職人「はんだ付けに光を!」 (@Godhanda13) March 28, 2019
こちらは480mlの容量で販売されているIPAです。
大抵のものはこのような大きなボトルとして販売されている物が多いので、はんだ作業で実際に使う場合は小さなボトルを用意してこれに少量入れて使うのが使いやすいと思います。
あまり薬品に関しては詳しくありませんが、調べてみるとIPAは金属ならステンレスやアルミニウム、ゴムなら天然ゴムなど、プラスチックならポリエチレンやポリプロピレンなどと耐性があるようです。
IPA自体は危険な薬品というわけではありませんが、一応ボトルに入れ替えて使う場合は確認しておいた方がいいかもしれませんね!
100均などでこのようなミニボトルはいろいろと販売されています。
先端が細いニードルタイプのものはピンポイントで部分的にフラックスを洗浄したい場合に適しています。
綿棒やクリーニングブラシなどを使って仕上げるのがいいと思います。
また霧吹きタイプのものは基板全体を一気に洗浄したい時に使えます。
あとボトル選びの注意点ですが、IPAはアルコールなので揮発性が高いため密閉性が悪い容器だとすぐに蒸発して無くなってしまうので注意が必要です!
実際に基板に残ったフラックスを洗浄してみる
それでは実際に基板を洗浄するのに使ってみます。
これくらいの規模の基板ならフラックスクリーナーを使った方が手っ取り早いのですが・・・
フラックスクリーナーを使うと少しベタツキが残りますが、IPAだと非常に綺麗に基板を洗浄することが出来ました。
試しに少し大きな基板にフラックスを塗ってテストしてみたいと思います。
フラックス跡が目立つようにこちらの黒レジスト基板を使い、よく使われるホーザンとサンハヤトの2種類の鉛フリー用のフラックスを塗ってテストしてみました。
このタイプのフラックスは乾いてもベタベタが残り、はんだゴテの熱で黒くなったヤニなどもよく残ります。
このような大きな基板で広範囲を一気に処理するなら、霧吹きタイプのものを使うと便利です!
またキムワイプに直接IPAを染み込ませて拭き取るのもいいかと思います。
IPAに溶けたフラックス成分はIPAが気化してなくなると基板に残ってしまうので、再付着しないようにIPAを何度か塗り直して数回拭き取れば、非常に綺麗にフラックスの除去が出来ました。
実際の基板ではパーツ付けしたはんだの凸凹があるので、なかなか簡単に拭き取ることは出来ないと思います。
細かいパーツのはんだ付けはフラックスを多めに塗って作業しますが、はんだ作業終了後にはこのようにベタベタしたフラックスが残ります。
これを同様にIPAを使って洗浄してみました。
拭き取るというよりは、IPAを吹き掛けてフラックスを溶かして浮き上がらせ、再度IPAを吹き掛けてそれを洗い流すといった感じでやると綺麗に仕上がります。
はんだ付けしている部分、特にICやマイコンなどの足はピッチが狭いので拭き取るという作業がしにくいため、このような部分はクリーニングブラシや歯ブラシなどを使ってゴシゴシとフラックス成分を浮き上がらせて再度IPAを吹き掛けて拭き取ったり洗い流すと綺麗に仕上がります。
IPAが蒸発するとそれに溶けていたフラックス成分が基板に残ってしまうようなので、サイズが大きな基板を一気に仕上げようとするとどうしても一度では処理できないため何度か行う必要がありますが、かなり綺麗に仕上げることが出来ます。
最後に!
ピンポイントのフラックス洗浄では小瓶タイプのフラックスクリーナーは非常に重宝します。
そして大きな基板を一気に処理しようとすると手間はかかりますがIPAを使った方が効率がよく綺麗に仕上げる事も出来ると思います。
スプレータイプのフラックスクリーナーも販売されていますが、処理後のベタベタも残りにくいIPAはコスパも良く便利な基板洗浄方法だと思います
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