自作基板の製作を始めてからLEDの電流制限抵抗の値を意識することが多くなりました!
特に表面実装(SMD)タイプのLEDはスルーホールタイプのものより結構明るく点灯するため1kΩや2kΩ、またもっと高い4.7kΩといった抵抗を接続することもあります。
他の方が製作したPCBを見ることもあるのですが、接続している電流制限抵抗の値はいろんな値のものが使われているようです。
同じ電圧・抵抗値で点灯させても、赤色は明るいのに対して緑や黄色では比較的暗く点灯したりとLEDは色によって明るさ(輝度)が結構変わってきますし、サイズによっても明るさの見え方は異なってきます。
通常、赤色LEDの順方向電圧(VF)は約2.0V前後に対し青色LEDは約3Vほどと高くなっており、これはLEDの色により変わってきます。
LEDに接続する理想的な抵抗値はデータシートから順方向電圧や定格電流を調べ簡単にオームの法則から求めることは出来るのですが・・・
複数色のLEDを点灯させる場合に各色が点灯する明るさ(輝度)を合わせたり、また好みの明るさに点灯する時の抵抗値を求めるのは少し面倒な作業になるかと思います。
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そこで簡単に抵抗値を求めることが出来るボードを製作してみました!
目次
好みの明るさにLEDを点灯させたい!簡単に電流制限抵抗を計測出来るボードを製作してみました
冒頭でお話したようにLEDに接続する最適な電流制限抵抗を求めることはオームの法則で簡単に出来ます。
しかしLEDの明るさの調整、例えば自作基板で複数色のLEDを使っている場合などで電源用の赤色LEDは明るすぎるので少し暗めに調整し、シリアルのライン(TX/RX)で使っている青や緑のLEDは明るく輝度も統一させて点灯させたいといった事があると思います。
駆動する電圧(5Vや3.3Vなど)や表面実装タイプのLEDでは0805や0603といったチップサイズでも明るさの感じ方はかなり異なってきます。
自作基板の製作を始めて1年ほどが経ったのですが、私なんかはこれが結構気になる方で・・・
回路図上ではどの色のLEDも大体1kΩと書くのですが、パーツを実装する際は経験値的に赤や青は明るいので抵抗値を高めにし、黄色やオレンジなどはその逆に少し小さな値のものを使うなどしています。
LEDのデータシートを詳しく見ると順方向電圧や定格電流、また明るさに関しては定格輝度(光度)がmcd(ミリカンデラ)という単位を使い記載されているのですが・・・
ポテンショメーター(可変抵抗)を使い抵抗値を変えながら実際にLEDを点灯させればお好みの明るさに対する抵抗値を簡単に求めることが出来るので、視覚的に分かりやすいアナログ的な測定を行うボードを製作してみました。
LEDの電流制限抵抗の値について
LEDの電流制限抵抗はオームの法則を使い簡単に計算することが出来ます。
例えば5V電源に赤色LEDを接続する場合を考えると、赤色LEDは順方向電圧(VF)が約2.0V前後で定格電流20mAくらいになっているのが一般的で、これは製品により異るので詳しくはデータシートを見るのが確実です。
抵抗値の計算は、オームの法則(I=E/R)から抵抗値R=E/Iで計算することが出来ます。
上記数値を当てはめると、R=(5-2.0)/0.02=150Ωとなりこの値よりも大きな抵抗値を選んでおけば問題ないことになります。
今回製作したボードでは、LEDが好みの明るさに点灯するようにポテンショメーター(半固定抵抗)を調整しその時の抵抗値をテスターで計測するというものです。
表面実装タイプのLEDはスルーホールタイプのものより明るいので10kΩのポテンショメーターを使いました。
数値的には5kΩまででもいいかな?とも思いましたが、ブレッドボードで実際に複数色のLEDの点灯テストをしてみると設定する明るさによっては他の色と明るさを合わす場合に5kΩ以上の抵抗値になる色のLEDもあるようなので10kΩとしました。
またポテンショメーターが最小の時は抵抗値がほぼ0ΩとなりLEDの破損につながるので200Ωの固定抵抗も付け、200~10kΩの範囲で計測出来るこのような構成にしました。
想定する電圧を印加してLEDが好みの明るさになるようにポテンショメーターを調整し、その際の抵抗値をテスターで計測するというものです。
CAD設計
今回製作したボードは表面実装タイプの0402/0603/0805/1206サイズのLEDの測定が出来るボードにしました。
各サイズでよく使われる、赤・緑・青・白・黄・オレンジの6色のLEDの計測が出来ます。
私の用途ではよく使う0603や0805サイズのLEDがメインとなりますが、実際の実装でまだ使ったことがないさらに小さな0402サイズの実装テストも兼ねて製作しました。
ボードサイズはPCB製造メーカーで格安で作れる10cm以内に収まるサイズにしています。(約86mm×53mm)
全体の回路構成はこのようになっています。
上手く10cm以内の基板に収めることが出来ました。
JLCPCBに基板発注
基板の発注はJLCPCBを使いました。
送料区分にOCS NEPを選択すればトータル500円ほどで製作することが出来ます。(基板5枚)
安い送料にもかかわらず1週間から10日ほどで手元に届きます。
基板データ(ガーバーファイル)をダウンロード出来るようにしておきます。
何かの参考になればと思います。
発注時の項目は特に変更する必要はありませんが、基板製造時に任意の位置に入ってしまう基板製造番号(発注番号)は目立たない基板裏の隅に入るように位置を指定しています。
[Remove Order Number(発注番号の削除)]の項目は[Specify a location(場所の指定)]を選択するとJLCPCBでは無料で発注番号を指定位置に持っていくことが出来ます。発注から8日で基板が届きました。
小さなサイズの基板に綺麗にまとまったと思います。
パーツの実装
ピンヘッダーやピンソケット、ポテンショメーターなどスルーホールパーツの実装が多いので通常の手はんだでの実装は簡単だと思いますが、0402サイズのLEDは非常に小さいので少し難しいかもしれません。
1206から0603までのサイズなら手はんだでも比較的簡単なんですが、0402サイズはほんと小さいですね!
不要なら実装する必要はありませんが、基板サイズに余裕があったのと私自身まだ実装したことがない0402サイズの実装テストも兼ねて入れてみました。
また200Ωの固定抵抗は0805サイズのものを使っています。
表面実装タイプとなるLEDおよび抵抗の実装は全てミニリフロー装置MHP50を使って行いました。
ホットプレートサイズがMHP30より大きくなった後継機となるMHP50ですが、作業スペースの邪魔にもなりにくく非常に使いやすいリフロー装置です。
MHP50のレビューはMHP30の記事に後日追記しておきます。

0402サイズのLEDも問題なく実装することが出来たのですが・・・
チップサイズが非常に小さいためLEDのどちら側がアノード?カソード?
スマホで拡大してみても認識しづらく全て逆に実装していました!
さて、スマホで拡大してなんとか見れた0402 LEDですが・・・
普通緑ラインが入った方がアノードで、そこから1本ラインが出る方向にカソードがあるやん!
これ右がアノード?
でも右方向にラインが微妙に延びてる気もするし?見えねー👀👁️ pic.twitter.com/UbENIGssJW
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) March 5, 2024
0402 LEDだけ部分リフローで全て実装しなおしました。
MHP50専用のこのようなスタンドPCBを以前製作したのですが、これ非常に便利なのでMHP50ユーザーの方にオススメです!

0402 LEDだけ再実装し無事完成しました!
計測方法
使い方は非常に簡単です。
計測したいLEDの色(RED/GREEN/BLUE/WHITE/YELLOW/ORANGE)・サイズ(0402/0603/0805/1206)を選択しその部分をジャンパーピンで短絡させます。
スイッチを[LED]側にし、[VIN]端子に想定している電圧(5Vや3.3Vなど)を印加するとLEDが点灯するのでポテンショメーターを回しLEDが好みの明るさになるように調整します。
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明るさが決まったらスイッチを[R]側にして[R Value]端子にテスターを接続し抵抗値を計測します。
PCBを製作する際に計測した抵抗値のものを使えば同じ明るさで点灯するということになります。
複数色を同時に点灯させ比較しながら明るさを合わせたり、特定の色を明るくまたは暗くするなどしたい場合に簡単に抵抗値を割り出せるので便利です!
表面実装タイプのLEDは結構明るいので、例えば自作ボードで複数のLEDを使っている場合に常に点灯している電源LEDの赤色は少し控えめに点灯させ、データラインといった重要なインジケーターLEDは明るめに調整するといった抵抗値を事前に確認、または実装時に簡単に確認することが出来るので便利だと思います。
使用パーツ一覧
今回使用したパーツ一覧です。
パーツ | 入手先 |
LED サイズ:0402/0603/0805/1206 色:赤/緑/青/白/黄/オレンジ | AliExpress |
抵抗 (0805)200Ω×6 | AliExpress |
ポテンショメーター 10kΩ×6 | 秋月電子 |
スイッチ 2.54mmピッチ6ピンDPDT×6 | 秋月電子 |
端子 ピンヘッダー/ピンソケット | ーーー |
ジャンパーピン | 秋月電子 |
基板固定用ビス ※必要ならM3ビス&スペーサーを使って下さい! | ーーー |
最後に!
スルーホールタイプのRGB LEDの赤・緑・青、それぞれのLEDに接続する抵抗値が同じだと微妙に輝度が異なるため明るさを合わせようと思うと抵抗値を変える必要があるといったことを以前ブログで書いた記憶があります。
もちろんデータシートを見れば定格光度(mcd)やそのグラフなども詳細に記載されているのですが・・・視覚的に抵抗値を確認することが出来れば簡単で用途によっては便利に使えると思います。
WS2812BやSK6812といったマイコンチップが入ったLEDではもちろんプログラムで調整出来るわけですが、ボードに実装する電源LEDやデータライン確認用LEDといった単一のチップLEDでは感覚的にアバウトな値にする事が多いと思うので、LED実装時にこのようなテストボードがあれば便利な場面も多いと思います。
何かの参考になればと思います。
















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