最近のデジタルマルチメーター(テスター)は、機能が充実し精度が良いのにもかかわらず安価な価格で入手する事が出来ます。
電子工作を趣味としてやっている身としては非常にありがたいですね!
デジタルマルチメーターは電子工作を始めた時に購入したKAIWEETS HT118Aを長らく使っています。
KAIWEETS製品はサポートの対応もよく、使いやすいデジタルマルチメーターです。
個人的に一番気に入っているのは、計測する対象(電圧や電流、抵抗値など)によりプローブを挿す位置をLEDが点滅して知らせてくれる機能です。
あまりデジタルマルチメーターを使ったことがない電子工作初心者の方でも安心して使える機能です。
デジタルマルチメーターは電圧や電流など計測する対象によりプローブを挿す位置を変える必要がわけですが、扱いに慣れてきた時でも作業中のゴタゴタした状態の時に何気に重宝する機能です。
最近のデジタルマルチメーターはエントリークラスの比較的安価なものでも精度が良く機能も充実しており、同価格帯のものを探せば非常に多くの機種が見つかります。
機能や精度的な面から言えばほぼ大差はないため、KAIWEETS製のデジタルマルチメーターは付加機能としてこのプローブを挿す位置を知らせてくれる機能が付いていることから私は好んで使っています。
またデジタルマルチメーターにはこのようなペン型のものも販売されています。
小型なペン型となり小回りがきくため、連続して各所計測したい時などに手元で計測した数値の確認が出来るため便利に使えます。
そしてこのペン型のデジタルマルチメーターにはオート機能が搭載されています。
計測したい対象をマニュアル操作で切り替えなくても、電圧や抵抗値、導通チェックを自動で判別して行ってくれる機能となり作業中にはこれも重宝する機能となります。
電子工作用途でデジタルマルチメーター(テスター)は1台は持っておかないと成立しない必須アイテムとなりますが、初めて購入してみようと考えると非常に多くの機種が販売されており、その価格帯や機能など非常に迷われると思います。
最近新しいデジタルマルチメーターを使うようになったのですが、比較的安価な割に非常に使いやすいものだったのでご紹介したいと思います。
もちろん今回もKAIWEETS製のデジタルマルチメーターとなります。
『KAIWEETS KM601』は大きなカラーLCDディスプレイ搭載で計測数値の確認がしやすく、またオート機能も搭載されています。
そしてプローブを挿す位置をLEDの点滅により知らせてくれる機能も搭載され、非常に使いやすいデジタルマルチメーターとなっています。
KAIWEETS KM601 9999カウントデジタルマルチメーター
こちらがKAIWEETS KM601です。
9999カウントのデジタルマルチメーターとなります。
本体サイズは付属シリコンカバーを付けた状態で実測値が約165mm×83mm×24mm、重量は約265g(電池込み)となり片手より少し大きなサイズ感となっています。
1台目のデジタルマルチメーター購入時に知ったのですが、KAIWEETSは2018年に登場した新しいブランド(メーカー)のようですね!
そしてKM601デジタルマルチメーターは、2022年の新商品となるようです!
付属品
デジタルマルチメーター本体の他にシリコンカバー、テストリード(赤・黒)、Kタイプ熱電対、単4電池×6本、取扱説明書、専用収納ケースが付属しています。
デジタルマルチメーターの専用収納ケースは大抵の場合オプション販売となりますが、KAIWEETS KM601では専用収納ケースが付属しているので持ち運び等される事が多い方にもいいですね。
私は電子工作の作業部屋のみの使用となるので、あまり使うことはないと思います。
KAIWEETS KM601はAmazonなど国内サイトでも購入する事が出来ますが、私は海外サイトのKAIWEETS Official Storeから購入しました。
KM601の付属シリコンカバーは、標準のブラック以外にブルーとレッドもあります。
私が購入した時はAmazonではブラックのみしか扱われていませんでしたが、現在はブルーやレッドのバージョンも販売されているようです。
カッコいいので付属シリコンカバーはレッドを選択しましたが・・・最近はカバーを付けずに使っています。
海外サイトからの購入なので取扱説明書は日本語表記ではありませんでした。
・デジタルマルチメーター本体
・シリコンカバー
・専用収納ケース
・テストプローブ(赤リード・黒リード)
・熱電対
・取扱説明書
・単4電池×6
ハードなシリコンカバーが付属
KAIWEETS製のデジタルマルチメーターには、シリコンカバーが付属しています。
KM601ではカバーを付けた状態で実測値約165mm×83mm×24mmのサイズとなります。
ズレたり自然に外れたりすることはないのでハードに計測作業で使われる方には良さそうで、またシリコンカバーを外して少しコンパクトに使うことも出来ます。
KM601の使用には単4電池3本を使用します。
電池を入れる際に本体背面カバーを外す必要がありますが、シリコンカバーはかなりピッタリに作られているため外すのはちょっと大変です!
これだけ本体にフィットしていれば作業中にズレたり外れたりする事は皆無です。
背面カバーは1ヶ所ビズ止めされています
電化製品に付属している乾電池はあまり信用していないので、エネループなどの充電できるタイプのものを用意して使うのがいいかもしれませんね!
単4エネループのストックがなかったので、Amazonベーシックの充電池を初めて使ってみました。
外観(デザイン)チェック
KAIWEETS製のデジタルマルチメーターと言えば、結構ゴツいシリコンカバーが付属しています。
G-SHOCKを連想させるような外観となります。
起動には本体上部の電源スイッチを長押しします。(電源オフも同様です)
横に付いている黒丸部分はNCV(非接触検電)のセンサーとなっています。
左サイドのライトボタンを押すと背面のLEDライトが点灯します。
右サイドのAPOボタンは自動電源オフ機能ON/OFFの切り替えボタンです。
自動電源オフ機能が有効になっている場合ディスプレイに[電源マーク]が表示され、15分間使用しないと自動的に電源がOFFとなります。
プローブ差し込み位置確認インジケーターLED
テストリードを挿し込むコネクタは本体下位置にあります。
KAIWEETS製デジタルマルチメーターの特徴の一つとなるプローブ差し込み位置を知らせるインジケーターLEDが内蔵されています。
プローブ差込ジャックの確認です。
左から、電流10A用(赤)・電流<600mA用(赤)・COM(黒)・電圧・抵抗・導通・静電容量など共用(赤)、の4つのポートがあります。
デジタルマルチメーターでは計測する対象によりテストプローブを適した位置に差し込む必要があります。
KM601ではオートモードやマニュアルによる切り替えにより計測対象を切り替え出来ますが、その際に適したプローブ差し込み口のLEDが点滅して知らせてくれるので非常に便利となります。
初心者でもマルチメーターを破損させてしまう心配もなく扱うことが出来ます。
ファンクションスイッチ[AUTO/FUNC]を押し計測対象を切り替える際にインジケータLEDが数回点滅して適切なプローブ差し込み位置を確認する事ができます。
ただプローブ差し込み口が下位置にあるので、立て掛けて使いたい場合にプローブのコネクタ部分が邪魔になるため何かしらの工夫をする必要があります。
そのような用途での使用を想定される場合は、差し込み口が横や上に付いた機種を選択される方がいいかもしれませんね!
操作スイッチ & ディスプレイ表示
一般的なマルチメーターではモードを切り替えるダイヤルノブがありますが、KM601では正面にある[AUTO/FUNC]ボタンを使います。
そして[RANGE][REL/HOLD][SEL][MAX/MIN]ボタンを使って細かな調整も行えます。
計測時に使用するボタンはこの5つとなり、測定対象の選択(AUTO/FUNC)・測定範囲の設定(RANGE)・測定値の保持(HOLD)・測定値の最大値と最小値の取得(MAX/MIN)を行います。
そしてデバイス前面の約半分を覆う大型カラーLCDディスプレイがこの製品の特徴の一つとなります!
かなり綺麗な表示で数値などはっきりと見やすくなっています。
ディスプレイにはデジタルマルチメーターが計測できる全ての項目が表示され、現在使用している測定対象は針で示されています。
測定値の他に温度やデューティサイクルなどの二次データも表示されます。
またディスプレイの下側にはアナログメーターを模したバーグラフも表示されます。
オートモード(SMART)での計測
本体上部にある電源ボタンを長押し(約2秒)すると電源が入ります。
電源投入時の初期モードはオートモード(SMART)で起動し、ディスプレイ中央に「Auto」、左上に「SMART」と表示されます。
このオートモード(SMARTモード)では、ディスプレイのダイヤルは電圧・抵抗・導通チェックの3つのアイコン間を移動する表示となり、これら3つの項目を自動判別して計測することが出来ます。
あまりこのモードでは関係ありませんが、二次データとして室温も表示されます。(17.1℃)
またプローブを挿す位置はインジケータLEDが点灯するので、この位置に2本のプローブを挿し込めばオートモードで計測する事が出来ます。
それではオートモードでの計測を試してみます!
オートモードでは以下3つの項目を自動識別して計測してくれます。
電圧の計測
直流安定化電源からの電圧を計測、かなり精度はいいようですね!
交流電圧では二次データとして周波数も表示されます。
抵抗値の測定
抵抗値の測定です。
低い抵抗値の測定では、マニュアルで抵抗値測定モードに切り替えておくと短絡ブザー音は鳴らなくなります。
短絡・導通チェック
先程の抵抗の測定のように低い抵抗値(短絡状態)では、上部LEDが点灯&ブザー音が鳴り短絡や導通チェックを行うことができます。
これら電圧・抵抗値・導通チェックはオートモード(SMART)では自動識別して計測することが出来ます。
もちろん、これらモードを個別でマニュアル設定して計測することも出来ます。
マニュアルによる測定方法
[ATUO/FUNC]ボタン
上記のようにKAIWEETS KM601はオートモードで3つの項目を自動判別して計測する以外に、もちろんマニュアルによる測定も出来ます。
測定対象を切り替えるには[ATUO/FUNC]ボタンを使います。
このボタンを押すごとに測定対象が切り替わっていきます。
測定対象によりプローブ差し込み口が変わりますが、インジケーターLEDが点滅して適切な差し込み位置が分かるのが便利です!
[RANGE]ボタン
マニュアル操作で必要に応じて[RANGE]ボタンを使用して測定レンジを手動で設定することも出来ます。
例えば電圧測定で見てみます。
電圧測定モードで計測する電圧を上げていくと10V付近でバーグラフが最大となり、10Vを超えるとレンジが自動的に切り替わります。
基本的にオートレンジで自動的に切り替わりますが、[RANGE]ボタンを押すと[MANUAL]と表示されレンジを手動で切り替えることが出来ます。
[RANGE]ボタンを長押しすると解除され自動でレンジ切り替えが行われる設定に戻ります。[REL/HOLD]ボタン
[REL/HOLD]ボタンは、一度押すと現在の計測内容がホールド(キープ)されます。もう一度押すと解除されます。
[SEL]ボタン
一部の測定モードでは複数のモードがある場合があります。
例えば電圧の測定では、直流(DC)・交流(AC)がありますよね。
マニュアルでの計測では、これらを適切に設定する必要があります。
[SEL]ボタンを押すことにより切り替えることが出来ます。[MAX/MIN]ボタン
[MAX/MIN]ボタンを使うと、測定した最大値と最小値を確認する事ができます。例えば [MAX/MIN]モードで電圧を測定している時に測定電圧が変化した場合、その最小値[MIN]および最大値[MAX]が常に記録されます。
[MAX/MIN]ボタンを押すごとに表示が[MAX][MIN]と切り替わります。さらに電圧が上げると[MAX]の値が更新され、逆に電圧が下げると[MIN]の値が更新されていくということです。
何かしら値が変化するものの測定や平均値を取りたい場合などで使えます。
通常の測定値表示に戻すには[MAX/MIN]ボタンを長押しして戻します。
電流の計測
デジタルマルチメーター(テスター)を使ったトラブルは、電流を計測する時に起こることが多いと思います。
例えば電流計測モードにしたまま誤って電圧を測ろうとしてしまう事はよくやってしまいます!
基本的にデジタルマルチメーターには内部にヒューズが入っていて保護されています。
KM601本体内にも2つのヒューズ(600mAおよび10A)が入っていて保護されているので、ヒューズが切れてしまった場合は交換すれば復帰は可能となりますが、最悪の場合デジタルマルチメーターの内部回路の破損にもつながります。
KM601の電流計測モードにはさらに便利な保護機能が付いています。
電流計測モード(mAまたはA)に切り替えると、適切なプローブ差し込み位置のLEDが点滅します。
これは他の測定モードでも同様です。
電流計測モードでは、正しい位置にプローブを差し込まないとディスプレイに「LEAD」メッセージが表示され計測できないようになっています。(上部のLEDも赤く点灯します)
正しい位置にプローブが挿し込まれた時点で、はじめて電流計測が出来るようになります。
また電流計測モードで使う位置にプローブが差し込まれた状態だと、[AUTO/FUNC]ボタンを押しても他の測定モードに移行出来ないようにもなっています。
さらに他の計測モードなのに電流計測で使う位置にプローブを差し込んでしまった場合、自動的に電流計測モードに切り替わります。
これはあまりデジタルマルチメーターを使い慣れていない方には非常にありがたい機能となります。
慣れた方でも気を抜くとよくやってしまいがちな項目なので、この保護機能は非常に便利だと思います。
KAIWEETS KM601 その他の機能
KAIWEETS KM601の基本機能や操作方法を見ていきました。
オートモード(SMART)による電圧・抵抗値・導通チェックが行えるのに加え、それら項目も含め電圧・電流・抵抗値・静電容量・ダイオードのドロップアウト測定など各測定項目はマニュアル操作により測定することも可能となっています。
またKM601ではこれら基本的な計測項目に加え、温度計測やNCV(非接触電圧)計測、ライブ電圧計測、周波数やデューティサイクルの計測を行うことも出来ます
少し見ておきます。
周波数 & デューティ サイクルの計測
周波数やデューティサイクル(デューティ比)の計測は、電子工作用途では何気に便利な機能です!
熱電対による温度計測
オートモード(SMART)では室温(℃)が表示されますが、ダイヤルを温度計測モードにすると華氏表示もされます。
また付属の熱電対素子を使用して温度計測を行うことも出来ます。
NCV(非接触検電機能)
KM601の電源スイッチ横にあるNCV検出部分を対象に近づけると、活線かどうかの判別ができます。
接地側では音は鳴りませんが、活線では「—H」と表示され上部のLEDが赤く点灯しブザーが鳴ります。
KAIWEETS KM601 特徴まとめ
マニュアルでの操作以外にオートモード(SMART)での計測が可能で、電圧(DC/AC)や抵抗値・導通チェックを自動判別して計測することが出来るのは便利ですね!
電流測定時の保護機能はデジタルマルチメーター(テスター)初心者の方に便利な機能となり、もちろん使い慣れている方でも重宝する機能です。
またテストリードを差し込む位置をインジケーターLEDの点滅により知ることが出来るのは非常に便利な機能です。
デジタルマルチメーターの扱いに慣れた方でも作業中のバタバタでうっかり間違って・・・なんて事もなくなるので重宝する機能ですね!
- 表示が綺麗で見やすい大型カラーLCDディスプレイ搭載
- オートモード(SMART)での計測も可能
- プローブ差し込み位置を知らせるインジケーターLED搭載
- 電流測定用の個別の接続(10Aおよび600mA)、さらに保護機能も付いている
- 専用収納ケースが付属し持ち運びにも便利に使える
- プローブ差し込み位置が下にあり立て掛けでは使いづらい
KAIWEETS KM601 主な製品仕様 | |
カウント数 | 9999 |
SMARTモード(オートモード) | 電圧・抵抗・導通チェックを自動判別 |
自動電源オフ機能 | 15分 |
温度計測 | -40°C~+1000°C |
その他機能 | LEDライト / テストリードインジケータLED |
電圧(DC) | 99.99mV/999.9mV; 9.999V/99.9V/1000V ±(0.5%+3) |
電圧(AC) | 99.9mV/999.9/mV; 9.999V/99.9V/750V ±(0.8%+3) |
電流(DC) | 9.999mA/99.99mA/999.9mA ±(0.8%+3); 9.99A ±(1.2%+3) |
電流(AC) | 9.999mA/99.99mA/999.9mA ±(1.0%+3); 9.99A ±(1.5%+3) |
抵抗値 | 999.9Ω/9.999k/99.99k/999.9kΩ ±(0.8%+3); 9.999m/99.99mΩ ±(1.2%+3) |
静電容量 | 9.999/99.99/999.9nF/9.999/99.99/999.9uF ±(4.0%+3); 9.999mF/99.99mF ±(5.0%+5) |
周波数 | 99.99/999.9/9.999k/99.99k/999.9kHz/ 9.999mHz ±(1.0%+3) |
デューティ | 01.%-99.99% ±(1.0% +2) |
【追記】立て掛けスタンドを作ってみました!
本記事でご紹介したように、あえてKM601の欠点をあげるとしたらプローブ差し込み口が本体下位置にあることです。
立て掛けて使いたい場合、プローブが邪魔になりスタンドに立て掛けて使うことが出来ません。
そこでこのようなスタンドを3Dプリンタで作ってみました。
KM601ユーザーの方で興味ある方は、ぜひ作ってみて下さい!
【追記】使いやすいデジタルマルチメーターなので、もう1台増えました!
最後に!
機能面および価格面から見てエントリークラスのデジタルマルチメーターとしては非常にコストパフォーマンスが高く使いやすい製品だと思います。
プローブ挿し込み位置をLEDの点滅で知らせてくれる機能は便利で、さらに電流計測モードでの保護機能などデジタルマルチメーターに不慣れな方でも安心して使える機能が搭載されているのはいいですね!
この価格帯で9999カウントなのは素晴らしく、大型カラーLCDディスプレイは綺麗で数値も見やすく便利に使えるデジタルマルチメーターだと思います。
あえて言うならプローブ差し込み口が本体下位置にあることから、立て掛けて使ったりスタンドなどを使う際には工夫する必要があります。
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