以前製作した自作無線コントローラー『Arduino Controller』のパネルを製作してみました。
PCB製作時にパネルデータもCADで設計していたのでそのうちアクリルパネルで製作しようと考えていたのですが、 最近JLCPCBの3Dプリントサービス『JLC3DP』を利用するようになったので、透明レジンを使った3Dプリントパーツとして製作してみました。
JLCPCBの3Dプリントサービスは他社と比べ圧倒的に安価で製造してもらうことが出来るのですが、レジンを使った面倒な後処理などもしっかりとやってくれ非常に満足出来るパネルとして仕上げることが出来ました。
このようなケースやパネルの製作が出来れば、アクリルでは出来ない凝った形状のものも製造できPCBの製作で出来ることの幅も広がってくるので面白いですね!
この投稿をInstagramで見る
目次
自作コントローラー用のパネルをJLC3DPで製作!
電子工作でPCBの製作を始めて1年ほどが経ったのですが、製作したPCBで使うパネルやケース、プレートなども製作してみたいと前々から思っていました。
ある程度のものなら自宅にある3Dプリンタ(FDM機)で製作することは出来るのですが、透明マテリアルやレジンを扱った3Dプリントパーツは光造形機が必要で、自宅で製作するには後処理などのことも含めると手間がかかりちょっと面倒になってきます。
単純な形状のものならアクリルパネルで製作出来るのですが、ちょっと凝った形状のものを作ろうと考えるとどうしても3Dプリントパーツの方が望ましく、そのためPCB製作時にCADデータとしては作っていたけど実際に製作の過程まで行けずに保留にしていたものが結構あります。
今回製作した自作無線コントローラー用のパネルデータも同様で、エッジ部分の面取りやPCBに実装したパーツとの干渉部分に切れ込み(溝)を入れるなどアクリルパネルではこういった加工は難しくなりそう?ということで長らく保留にしていたものです。
最近JLCPCBの3Dプリントサービスを利用するようになり寸法精度や仕上がり等のテストを兼ねていくつか発注していたのですが、これならイメージしていたものが作れそう・・・ということで製作してみました!
CADのイメージ
PCBを製作した時にアクリルプレートで作ることを想定してトップとボトムのパネルデータは既に作成しており、電池ボックスをマウントするために自宅の3Dプリンタでボトムプレートだけ作り取り付けて使っていました。
この投稿をInstagramで見る
コントローラーなのでトッププレートも付けてある程度嵩上げすることにより操作性がアップすることは分かっていたのでアクリルプレートで製作しようかとも考えていたのですが・・・データを少し修正し、3Dプリントパーツとして製作してみることにしました。
アクリルパネルでは出来ない形状も3Dプリントパーツなら安価で製作出来る?
こちらはInstagramで交流のある海外の方が同コントローラーに興味を持ってくれ製作してくれたものです。
PCB製作後にトップとボトムプレートも作ってみたいということでパネルのCADデータもお渡ししたのですが、綺麗なアクリルプレートとして製作して頂いたようです。
大学にあるCNC加工機といった機械を使えるので簡単に作れたよとのことでした。
羨ましい!
詳しい方だったのでアクリルパネルの加工のことなど伺ったのですが、私がやりたかったエッジ部分に面取りやフィレットを入れ滑らかに仕上げたり、特定の部分に溝や切れ込みを入れるといった加工も出来ないことはないようですが、業者に発注するとそこそこの料金を取られるかもね・・・、そういう形状を作りたいなら透明レジンを使い3Dプリントパーツとして仕上げるのも手かもしれないねとのことでした。
パネルやプレートなどアクリルでの加工では難しくなってくる形状のものも作ることが出来れば、PCB製作にも利用出来そうです!
ということでJLCPCBの3Dプリントサービスを利用して製作してみたのですが・・・
非常に綺麗な仕上がりで満足できるプレートが出来ました!
レジンを使った造形ってこんなに綺麗に出来るんですね!
他にも同サービスを利用してPCBのパネルを製作してみたのですが、どれも素晴らしい!
レジンを使ったこのようなパネルやプレートを製作出来るのが分かったので、これまでPCB製作でイメージしていたものを形にすることができ大いに活用できそうです。
JLC3DPに3Dプリントパーツを発注
今回製作したパネルを例にJLCPCBの3Dプリントサービス、JLC3DPの利用方法なども簡単に書いておきます。
PCBの発注でJLCPCBを利用されている方も多いと思いますが、3DプリントサービスとなるJLC3DPへの発注はPCBとの同梱発注が出来ないのでその点だけ注意して下さい!
3Dプリントサービスの発注はJLC3DPからとなります。
参考 JLC3DP トップページJLCPCB今回製作したパネルデータをダウンロード出来るようにしておきます。
何かの参考になればと思います
Arduino Controller Panel(STL)
STLファイルやSTEPファイルなど、対応した3D CADデータを[3Dファイルの追加]からアップロードします。
あとは製造するマテリアル(材料)を選択するだけです。
トップパネルは[8001レジン]で[透明]を選択しました。
サンディングやオイルスプレーといった面倒な後処理もJLCPCBでやってもらえます。
またボトムプレートは[黒レジン]を選択し表面仕上(後処理)ありを選択し製造しました。
造形物のサイズ(体積)により製造料金が決まります。
今回製作した2プレートの価格は、トッププレートが7.48ドル、ボトムプレートが12.59ドルでした。
お安いですね!
JLCPCBの3DプリントサービスJLC3DPの発注方法などはこちらの記事で詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。
到着
8001透明レジンは製造に120時間と結構時間がかかります。
発注から5日で2プレートともに製造が完了&出荷され、OCS Expressで5日のトータル10日程で手元に届きました。
透明レジンの仕上がり、非常に綺麗ですね!
面取りしたエッジ部分も綺麗に処理されています。
面取りですが、後処理でサンディング処理(磨き)されているので角は少し丸まって仕上がってくるようです。
ブラックというより少しグレーに近い仕上がりになるようですね。
こちらも積層やサポート跡が見えなくなるまで磨きの処理が入っているようで、表面はツルツルに仕上がっています。
寸法ですが、今回製作したプレートではCAD寸法より最大で0.2mm程度厚みが薄くなっていました。(ホール部分も同様)
おそらく磨きの処理で削られているのでしょうね!
自宅にあるFDM方式の3Dプリンタではこれ以上の収縮は発生するので、私の使用用途としては精度的に全く問題ないといったところです!
今回の発注はそのあたりのことを確かめるためのテストも兼ねて発注したものでもあるのですが、JLC3DPのガイドラインにあるモデル許容範囲や穴公差の記載値に収まる数値だったので、精度的には全く問題なさそうで安心して利用できるサービスだと思います。
参考 3D Printing Design GuidelineJLC3DPインサートナットの挿入が・・・!
ボトムプレートには電池ボックスを固定するためにインサートナットを挿入するためのホールを開けていたのですが、熱圧入によるインサートナットの挿入がなかなか上手くいかず・・・
熱圧入式のインサートナットは、はんだゴテの先端にこのような専用のヒートインサートチップを装着して行い、FDMのフィラメントではスルッと簡単に挿入することが出来ます。
しかし、光硬化性樹脂の液体(リキッドフォトポリマー)のSLAパーツは溶けないためあまり望ましくない?ようですね!
ボスの直径をインサートナットの最大直径になるように設計して接着剤を塗布して挿入&固定するのがいいようです。
参考 光造形方式で3Dプリントされたパーツへのネジの取り付けについてYOKOITO Formalabs Shopインサートナットの直径5.4mmに対して5mmのホールで作っていたのですが、何とか圧入して入れることが出来ました。
レジンを扱った造形物をこれまで作ったことがなかったので一つ勉強になりました。
次回の製作にこれは活かせそうです!
この投稿をInstagramで見る
最後に!
ちょっとしたきっかけでJLCPCBの3Dプリントサービスを利用するようになったのですが、PCBのパネルやプレート・ケースといったものを作ることが出来るのが分かったのでこれから大いに活用出来そうです!
PCBに関わらず既に3Dプリンタをお持ちの方でもJLCPCBの3Dプリントサービスは比較的安価な価格で試せるので、試作を経てプロトタイプの製作に利用するといったことにも便利に使えると思います。
コメントを残す