以前ESP32(ESP-WROOM-32)で動かすファミコン(NES)エミュレータのゲームコンソール基板を製作したのですが、そのパネルをJLCPCBの3Dプリントサービス(JLC3DP)を利用して製作してみました。
ESP32を使いエミュレータを動かしファミコンのゲームをプレイするという試みは非常に面白く、ブレッドボード上で動かしてみて良かったので自作基板を製作するに至りました。
NESCATというNESエミュレータでは有名なオープンソースのプロジェクトを使わせて頂いたのですが、コンパイルを通しブレッドボード上でテスト動作&プレイすることが出来るようになるまでには多くの時間を費やした、大変でそして得るものが多かったプロジェクトでもあります。
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ブレッドボード上で動かすだけでも面白いプロジェクトなんですが、片手に収まるサイズ感でファミコンのゲームをプレイすることが出来れば・・・
そんな事から自作ゲーム基板としても製作してみました。
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そして今回は、このNESゲームコンソール基板用のパネルを製作した話となります。
基板製作時にアクリルパネルで作ることを想定してパネル用のCADデータも作成していたのですが、発注には至らず時間が経ってしまい・・・
JLCPCBの3Dプリントサービス(JLC3DP)を試させて頂く機会があったので、透明レジンを使いトップパネルとボトムパネルを製作してみました。
結果から言いますと大満足!
全体的に非常にいい仕上がりになったと思います。
こっちのパネルもすごくいい🤩
スイッチの高さ分パネルで嵩上げしてるので操作もしやすい!背面は8001レジンの半透明で後処理してないので表面は少しザラザラ!
自分でやるのは大変だな📝ここまで出来るならPCBに活用出来ますなぁ👌 pic.twitter.com/G5tsMrfzBp
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) April 27, 2024
JLCPCBの3Dプリントサービスを試す。透明レジンでPCBのパネルを製作
JLCPCBと言えばPCB(プリント基板)の製作で利用されている方も多いと思います。
標準的な基板サイズのものなら数百円程度から製作することが出来ることから、私も自作基板を製作する際によく利用しています。
JLCPCBではPCBの製作以外に3Dプリントサービス(JLC3DP)も行っています。
FDM方式の3Dプリンタを既に数台所有していることからある程度のものなら自宅で製作出来てしまうので、このような3Dプリントサービスにはあまり興味がなかったのですが・・・
今回透明レジンを使いPCB用のパネルを製作しました。
レジン系は後処理に手間がかかり、また家庭用の3Dプリンタでは造形が難しい高強度や耐熱素材、メタル素材といったものを扱った造形物の製造も出来るようですね!
利用させて頂く機会があったのでテスト的にPCBのパネルを発注したのですが、これが予想以上に良い出来で仕上がってきました!
CADデータの作成
基板製作時にアクリルパネルで製作することを想定してパネル用のCADデータは既に作成していたのですが、今回3Dプリントパーツとして発注するのでデータを少し修正しました。
トップパネルは基板に密着させて取り付けたかったので、基板に実装されているボタンやLED部分に空ける穴の形状を修正しました。
SMD(表面実装)タイプのパーツを使っているため、実装するためのパッド部分にはんだの出っ張りが出来ています。
こういった部分ですね。
これにパネルが干渉すると基板から浮いてしまうため、少しヘコミを入れました。
単純に穴サイズを全体的に大きくしてもよかったのですが、アクリルパネルでは加工が困難となる?このような形状のものをJLCPCBで製造する3Dプリントパーツでどれくらいの精度で再現することが出来るのかテスト的に入れてみたものです。
このトップパネルは透明レジン、そしてボトムパネルは半透明で製作するイメージで設計を進めていきました。
JLCPCBに発注
トップパネルとボトムパネルの2枚をJLCPCBに発注しました。
トップパネルは[SLA(Resin)]の[8001レジン]で[透明]を指定しています。
造形後のサンディング処理とコーティング処理(オイルスプレー)の後処理が標準オプションとして付いています。
自宅で行うには手間がかかる後処理だと思いますが、非常に安価な価格で製造してもらうことが出来ます。
またボトムプレートは同レジンの[Translucent(半透明)]を選択しました。
上記後処理をカットしたものとなります。
今回製作した2枚のパネルデータ(STL)をダウンロード出来るようにしておきます。
何かの参考になればとお思います。
またJLCPCBの3Dプリントサービス、JLC3DPの発注方法はこちらの記事でまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。
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ちなみにThingiverseにも同テータをアップしているので、他のモデルデータとともに見て頂ければと思います。
参考 Plate for NES GamepadThingiverseパネルの到着
配送方法はOCS Expressを選択し、発注から10日ほどで手元に届きました。
透明レジンは製造に120時間と結構時間がかかるのですが、製造完了&発送から5日で手元に届きました。
2ドルほどの送料ですが、ほんと到着が早いですね!(製造物の重量により料金が変わってきます)
他のものも同梱で発注したのですが、今回製作したパネル2枚だと送料を入れて約7.3ドル程で製造出来ます。
非常に安いです!
緩衝材でしっかりと保護された状態で届きました。
こちらが製作したパネルです。
[透明]を指定して発注したトップパネルは、非常に綺麗な仕上がりです。ボタンまわりの形状も上手く再現出来ています。
レジンを使った造形物は初めてだったのですが、こんなに綺麗に造形出来るんですね。
そして[Translucent(半透明)]を指定したボトムプレートは、上記透明タイプの後処理をカットしたものですね。
表面が少しザラついています。
サンドペーパーが付属していたのでヤスリがけをしてみました。
少しムラがありますが何とかいい感じに出来ました。
もう少し磨いてムラを無くし、さらにアクリルスプレーなどを使って処理するのがいいのかな?
レジン系は使ったことがないのですが、後処理って結構大変なんですね!
完全にクリアに仕上げたい場合はこの後処理は結構な手間になるので、トップパネルのように[透明]を指定してJLCPCBに後処理もやってもらった方がよさそうです!
料金も安価ですからね。
あとビスの穴径にどれくらいの公差を入れようか設計時に迷ったのですが・・・
M3ビスを使っていますが、貫通穴だとPCBの場合3.2mmの穴径を作ると思います。
しかし3Dプリンタではフィラメントの収縮があります。
自宅のFDM方式の3Dプリンタではフィラメントの収縮を考え、3.2mmに対して公差を0.1mm(または0.2mm)入れて3.4mm程度の穴サイズにするようにしています。
そうしておかないと引っかかりが出てしまい、ヤスリ等で削ったり、ドライバーで押し込む形になってしまいます。
JLCPCBのレジンを使ったものがどれくらいの寸法精度で仕上がってくるのか?
初めてだったのでPCBの寸法に合わせてビス穴は3.2mmで発注してみました。
最悪削ればいいかなと考えていたのですが、引っかかりもなく上手く貫通穴として再現出来ていました!
自宅でレジンを扱った3Dプリントをやったことがないのでレジンの収縮率とか詳しくないのですが、他のマテリアルも含めいくつか発注してこのようなデータを取っておこうと思います。
JLCPCBの3Dプリントサービスは今回のようにPCB製作に必要なケースやパネルを作るといった用途で今後活用していこうかと考えています。
最後に!
JLCPCBの3Dプリントサービスを使いPCBのパネルを製作してみました。
初めての利用でどんな仕上がりになるのか楽しみにしていたのですが・・・、大満足です!
基板設計時に操作性のことなども考慮しこのようなパネルも設計していたのですが、実際に製作して付けてみると自作基板としての完成度も大きくアップしたように感じます。
また自作キーパッド用のスペーサーパネルも製作してみたのですが・・・こちらも非常に良い仕上がりになりました!
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JLCPCBの3Dプリントサービスは他社の同サービスと比べ格段に安いので、PCBの製作とともにケースやパネルを作るなど大いに活用出来そうですね!
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