USB Type-C端子に対応したマイコンボードやモジュール、PD充電器といった製品が身の回りに増えてきましたが、Type-A to Type-Cケーブルでは使えるのにType-C to Type-Cケーブルでは使えない!といった製品が稀にあります。
みなさんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
電子工作で普段私が使っているものだと、例えばこのマイコンボード(Arduino Pro Micro)USB端子がType-Cになっているので便利なんですが・・・
PCとType-A to Type-Cケーブルで接続すると問題なく使うことが出来るのですが、Type-C to Type-Cケーブルで接続すると全く使えません。
電子工作用途でよく使っているリポバッテリーの充電モジュールなども同様にC to Cケーブルでは使うことが出来ないものがあります。
電動ドライバーといった電化製品にもType-C端子になっているのにケーブルによっては使えないものがあったりします!
USB Type-C端子(規格)はケーブルの裏表関係なく使えたり、USB PDでは5V以外に9Vや12V/15V/20Vの電圧(3A or 5A)を取り出すことが出来たりと非常に良く考えられて作られています。
Type-C規格では5V 3Aまで扱うことができますが、上記のような不具合?が起こるのはType-C端子のCCピン(Configuration Channel)にプルダウン抵抗が接続されていないために起こるようです。
そこでCCピンにプルダウン抵抗を加え上手くネゴシエート出来るようにするこのような小さなアダプターがあれば便利かな?
製品化されているものがないか探してみたのですが、無いようなので自作してみました!
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目次
CCピンにプルダウン抵抗(5.1kΩ)を入れたType-Cアダプターの製作
冒頭でご紹介したようにType-C to Type-Cケーブルで使えないといったものは結構手元にあります。
マイコンボードで言えば互換ボードに多いのでしょうかね?
Type-C端子になっているのにC to Cケーブルでは使えないArduinoやESP32ボードをいくつか持っています。
マイコンボードは基本的にPCまわりで使うのでType-A to Type-Cケーブルで使うというのはまだいいのですが、私の環境ではType-Cハブに接続しC to Cケーブルで使うことが多いので結構不便です。
また、特に不便になるのが充電関係ですかね!
PD充電器ではType-C端子以外にType-A端子が用意されているものもありますが、その都度ケーブルを用意する必要があり面倒になります。
アダプターのイメージ
そのようなことから小さなアダプターみたいなもので中継し対応出来ればと前々から思っていたのですが、探してみても製品として販売されているものが無いようなので製作してみました。
Type-C端子のCCピンにプルダウン抵抗(5.1kΩ)を取り付け対応出来るようにするという、このようなオス-メス形状になったType-Cアダプターのイメージです!
こういうやつ!
以前探したけど売ってないのよねー!
あると便利そうだけどね😆 pic.twitter.com/6MMnT9PPl7— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) January 13, 2024
製品化はされていない?ようですが、基板発注後にAdafruitさんのX(Twitter)で同じようなコンセプトのイメージ投稿を見つけました。
メス-メスタイプのアダプターで両コネクタのCCピンにプルダウン抵抗を取り付けどちらの向きに差し込んでも使えるといったものだと思います。
PCB of the day! Requiem for a 5.1K CC resistor 🔌💡🔧
We have a few gadgets around the house that, despite having a USB type C connector, do not abide by the USB C power delivery specification! They leave off or mis-connect the two 5.1K resistors required to tell a USB PD wall… pic.twitter.com/rCOoCbEy5S
— adafruit industries (@adafruit) August 17, 2023
製作時にこの構成のものも考えたのですが、このボードの場合、間に1本ケーブルを挟む必要があり使い勝手はどうだろう?
私はオス-メス端子の形状になったこのようなアダプターとして今回製作しました。
中継アダプターなので小さいほど使用時の邪魔にならずにいいかな?と製作当初は約15mm×10mmくらいの極小基板としていましたが、あまりPCBのサイズが小さくなりすぎると発注の際に結構大きな追加料金がかかることから、2本の指を使い抜き差ししやすいサイズ感(20mm×16mm)のボードサイズで製作しました。
これでも指先に乗るサイズなので結構小さいんですけどね!
回路構成
回路構成は非常に簡単です。
Type-Cケーブルを接続する側は16ピンのメス端子を使い5V電力を取り出せるようにCCピン(CC1/CC2)に5.1kΩのプルダウン抵抗を取り付けています。
また、USB2.0互換でデータのやり取りも出来るようにDP/DNのデータラインを24ピンのオス端子に接続するという非常に簡単な構成となっています。
Type-C端子の各ピンについて以前まとめた図があったので載せておきます。
24ピンフルのType-C端子(コネクタ)のピンの配置ですね。
コネクタに差し込まれたプラグの向きを判別したり、接続されている機器間の電圧/電流また給電の方向といったことを判別する他のUSB端子にはないCCピン(Configuration Channel)がType-C端子では追加されています。
今回想定しているアダプターではType-C端子から5Vのみ取り出せればよく、またデータラインもUSB2.0互換で行うDP/DNを接続したというものです。
余談になりますが製作時にInstagramに投稿してみなさんにご意見をうかがったところ、折角なら24ピンメス端子-24ピンオス端子としてUSB3.0のデータラインも繋げた方がいいかも?といったご意見をいくつか頂きました。
USB3.0(Super Speed)のやり取りを行うTX+/TX-ラインも結線しておくというものだと思います。
これ必要か?というのと、このあたりのType-C規格に対する私の理解が浅く実際にテスト出来る環境がなかったので後日このようなブレイクアウトボードを購入しました。
これでType-C端子のピンをフルで取り出せるのでテスト等出来そうです・・・。
【JLCPCB】基板の発注
基板の発注はJLCPCBで行いました。
そして今回製作した基板は使用パーツの関係で0.8mm厚のPCBで製作しています。
まず今回使用したパーツ一覧です。
パーツ | 定数 | 入手先 |
抵抗(0603) | R1/R2 5.1kΩ | AliExpress |
Type-C端子 | メス(16P) | AliExpress |
オス(24P) | AliExpress |
使用した直挿し出来るオス型のType-C端子は0.8mm厚PCBに対応したものとなります。
基板発注は通常の1.6mm厚ではなく0.8mmで発注しないと取り付けられないので注意してください!
今回製作したアダプターの基板データ(ガーバーファイル)をダウンロード出来るようにしておきます。
JLCPCBで発注する際に通常料金で作れるように基板サイズを調整しています。
何かの参考になればと思います。
USB-C Male-Female Conversion
発注項目の選択はこんな感じです。
基板の厚み(PCB Thickness)は0.8mmを指定して下さい!
あと製造番号を目立たない位置に入るように[Remove Order Number]の項目は[Specify a location]を指定している以外は特に変更する必要はありません。
送料込み(OCS NEPを選択)でトータル500円ほどで基板を作ることが出来ます。(基板5枚)
発注から8日で手元に届きました!
JLCPCBでの基板発注方法に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
あわせて見て頂ければと思います。
パーツの実装
パーツの実装は手はんだでも可能ですが、新しく来たMHP50のテストを兼ねて半分リフローで行いました。
いつも使っているミニリフロー装置MHP30の後継機でホットプレートのサイズが大きくなったMiniwareさんの新製品です!
非常に使いやすいリフロー装置なので後日こちらもブログでまとめようと考えています。(MHP30の記事に追記しておきます)
オス型のType-C端子はPCBに挟み込み固定する両面タイプのパーツとなりリフローでの実装が出来ないため手はんだでの実装になります。
0.8mm厚基板なので薄いのと真っ直ぐに取り付けるのが結構難しかったです!
コツとしては表と裏のシールド固定部分(端の太いリード線)をまずはんだで仮固定して真っ直ぐになるように調整し、他のリード線をはんだ付けするといった感じです!
端子がPCBに対して真っ直ぐ取り付けられていないと他の細いリード線がパットにうまく接続されない(浮いてしまう)ので注意してください!
動作確認
手元にあったものをいくつか使い動作確認。
Type-A to Type-Cケーブルでは使えるけどType-C to Type-Cケーブルでは使えないものたちです。
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問題ないようですね。
マイコンボードへの書き込みも特に問題なく出来ました。
成功です!
最後に!
CCピンのプルダウン抵抗が入っていないためにType-C to Type-Cケーブルでは使えないといったマイコンボードや家電製品などをお持ちで不便だなと感じることがある方は、簡単にこのようなアダプターで対応する事が出来るので1つ作っておくと便利ではないでしょうかね?
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