基板設計の最終段階に電源インピーダンスを下げて動作を安定させる等の目的でGNDなどのパターンをベタに塗りつぶしますが、このベタ塗りに『ハッチングパターン』というものがあります。
完全にベタで塗りつぶすのとは違い、網目状(格子状)にベタパターンを描くというものです。
タッチスイッチ(静電容量センサ?)用のパターンを作成する時などでこの網目状のハッチングパターンでGNDベタを作ることが推奨されているという記述を見たことがあります。
電気的な特性に関してはあまりよく分かっていませんが、基板製作としては視覚的に面白いGNDパターンですね!
以前、自作Arduinoを製作していた時にInstagramで交流のある海外の方が同様に自作したArduinoでこのハッチングパターンを使った例を紹介してくれました。
面白いベタ塗りパターンで基板によっては通常のベタ塗りで作成するより格好良く見えたりもします!(画像引用:Instagram)
【KiCad】ベタGNDのハッチングパターンを試してみる!
ベタGNDは基板の多くの面積を占める場合もあるので、単なるベタで作成するよりハッチングパターンを使うと基板の見た目や印象も大きく変わってくるようですね!
前々から少し気になっていたので、現在製作している自作基板でテスト的に試してみました。
1キーのみのシンプルなキーボードを製作しているのですが、見える表面(スイッチ実装面)が単なるベタGNDによる塗りつぶしだとなんだか味気ない・・・そう言えばハッチングパターンってのがあったな!
という事でパーツ実装面(裏面)は通常のベタGNDによる塗りつぶし、そして表面はハッチングパターンを使い製作してみました。
ハッチングパターンを使うことによりどのような効果があるのか?
といった電気的な特性など専門的なことは今の私のスキルではよく分かりませんが、単純に視覚的に基板を楽しむという目線で言うと大きくイメージが変わってくるので面白いですね!
この基板ではボトムプレートも作成しているのですが、比較出来るようにこちらは通常のベタGNDとして製作しました。
こうやって比べてみると、同じ色(レジスト)で発注した基板なのですが全く印象が違ってきます!
この1Key Keyboardではトップ基板の裏に2つのRGB LEDを取り付けています。
まだパーツ実装はしていないのですが、LEDが点灯してボトム基板の表面を照らした際の見え方も大きく変わってくるようです。
この基板ではハッチングパターンによる塗りつぶしが非常にマッチしているので、ボトムプレートだけ再発注しようかと考えています。
製作が完了したら改めてこちらの方も詳しくご紹介できればと思います。
今後自作キーボードやマクロパッドといったものの製作も考えていますが・・・いい感じに使えるテクニックではないでしょうか?
基板アートとかって、こういうテクニックを使っているのかな?
名刺基板とかにも使えそうですよね!
ハッチングパターンの作成
ハッチングパターンでのベタ塗りつぶしは、KiCadの「塗りつぶしゾーン」のオプション項目として用意されています。
古いバージョンのKiCadでは使えなかった機能のようですが、KiCad6以降のバージョンでは標準で使えるようになっています。
「塗りつぶしゾーンの追加」からゾーンを選択し「導体ゾーンのプロパティ」を開きます。
ベタパターンにしたいネットリスト名を選択(通常はGNDや電源)、「塗りつぶしタイプ」から選択します。
あとは[ハッチング幅]や[ハッチングの間隔]などの数値を調整していくだけです。
この基板では[向き]の項目は[0°]としてハッチングパターンが基板に対して水平/垂直方法に入るようにしました。
冒頭でご紹介したArduinoのように角度を付けて斜め方向に入れるのも面白そうです!
最後に!
KiCadでの基板設計を始めて1年ほどが経ちKiCadの扱いや設計等に関してある程度は慣れてはきたのですが、基板設計は奥が深く何か製作するごとにまだまだ迷うことの方が多く感じます。
実際に製作していろいろと試してみないと分からない事の方が多いので基板製作時には疑問に思っている項目(まだまだ結構あります)を何かしら毎回1つは取り入れて製作するようにしています。
ハッチングパターンを使ったベタ塗り、視覚的に面白いので用途によってこれから使っていこうかと考えています。
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