電子工作ではんだ作業を行うことはよくあります。
電子工作用途ではんだゴテは1台は持っておきたい必須アイテムですよね!
はんだゴテにはいくつかタイプがありますが、一般的によく使われるものはACコンセントに差し込んで使うタイプのものだと思います。
白光のFX600は加熱スピードが早く簡易的な温度調整も出来ることから非常にメジャーなはんだゴテとなり使われている方も多いと思います。
私もコテ先を変えて作業しやすいように2台所有しています。
またステーションタイプのはんだゴテは、正確な温度調整や一時的にコテ温度を上げるブーストなど機能が豊富なので、よりはんだ作業を便利に行うことが出来ます。
はんだゴテは大きく分けると主にこの2タイプのものに分類されると思います。
そして新たなタイプのはんだステーションになるのでしょうか?
Miniwareさんがちょっと珍しいタイプのはんだステーション『Miniware TS1C』の販売を開始しました。
ステーションタイプのはんだゴテとなりますが、ステーションとはんだゴテ本体との接続を無線(Bluetooth)で行うコードレスタイプのものとなります。
ステーションタイプとなり正確な温度調整やブーストモードなどの機能が使え、そしてメインとなるコテ本体とステーションとの間にはワイヤーが付いていないので完全フリーなコードレスで使えるステーションタイプのはんだゴテとなります。
目次
【Miniware TS1C】珍しいコードレスタイプのはんだステーションを使ってみる
一般的によく使われているはんだゴテはACコンセントから駆動するタイプのものだと思います。
白光のFX600は加熱スピードが早く簡易的となりますが温度調整も出来ることから使われている方多いと思います。
またステーションタイプのはんだゴテでは正確な温度調整が出来るほか、一時的にコテ温度を上げるブーストモードや自動スリープやスタンバイ機能など多くの付加機能が付いているのではんだ作業では非常に便利に使えます。
ステーションタイプのものはKSGER T12を愛用しています。
白光のT12互換のチップが使えるなど非常に便利なはんだステーションです。
そしてMiniwareさんがこの市場では初となる?
コードレスタイプのちょっと珍しいはんだステーションの販売を開始しました。
MiniwareさんのTS80やTS101といったハンディータイプのはんだゴテは有名で、ドローンなど現場で修理等を行う用途で使われているのをよく見かけます。
TS1Cは既に販売されているハンディータイプのはんだゴテをステーションタイプにアップグレードした製品になるかと思います。
ステーション側と無線接続して温度調整や電源(バッテリー)の監視等を行えるというものです。
コテ本体をステーションに差し込めば自動的に本体への充電も開始されます。
一般的にハンディータイプのこのような製品の電源にはリポバッテリーが使われることが多いのですが、TS1Cのコテ本体内には高容量のスーパーキャパシタが使われているようです。
そのためバッテリーと比べ充電速度が圧倒的に早くなっています。
付属品一覧
まずMiniware TS1Cの付属品一覧です。
はんだゴテ本体、ベースステーション、コテ先(1本)、スポンジホルダー、USB-Cケーブル、マニュアルが付属しています。(コテ先が複数セットになったバージョンもあるようです)
付属しているコテ先は、標準タイプとなる円錐形のものが付属しています。
コテの接続部分の形状は特殊で、3.5mmオーディオインターフェイスチップとなっています。
交換用のコテ先も販売されているようで、Miniware TS80/TS80P用のチップと交換が可能となっています。
製品仕様
製品仕様 | |
加熱温度範囲 | 100‐400℃ |
最大加熱電力 | 36W(USB PD) |
インターフェイス | USB Type-C |
内蔵電源 | 750F スーパーキャパシタ |
充電時間 | 約7分 |
無線接続 | Bluetooth 4.2 |
コテ先 | TS-B02付属 ※3.5mmオーディオインターフェースはんだコテ先(TS80/TS80Pシリーズ) |
ディスプレイ | OLED(128×64ピクセル) |
サイズ | 44.5mm×122mm×73mm(ステーション) 23mm×133mm(はんだゴテ) |
コテ本体
TS1Cは操作系を含め非常にシンプルな構成となっています。
まずコテ本体を見ていきます。
コテ本体に付いている操作系スイッチはブーストスイッチのみというシンプルな設計となっています。
このブーストスイッチは押している間だけ設定温度とは関係なくコテ温度を最高温度となる400℃までブーストして加熱します。
大きな端子の取り付けやベタGNDなどコテの温度が伝わりにくい(逃げやすい)部分のはんだ付けで一時的にコテ温度を設定温度から大きく上昇させたい場合にあると便利な機能です。
コテ本体に付いている操作スイッチはこのブーストスイッチのみとなり、設定温度の変更や各種設定は全てベースステーション側で行い、コテ本体とはBluetoothで接続されているので即反映されます。
コテ先端にはステーションに差し込んだ時に充電を行うための接点が付いています。
この接点が合う向きに上手く差し込まないと充電が行われないので、ステーションに差し込む際に毎回意識する必要があり・・・これは少し使いにくいポイントになります!
またステーション自体は金属製で出来ていますが前面のディスプレイ周りはプラスチックで出来ているようで、誤ってコテ先端を触れてしまうと溶けてしまう可能性がありそうなのも残念なポイントです!
そして本体後部にある磁気で引っ付いているエンドキャップを外すとUSBポート(Type-C)があります。
このポートはコテ本体に直接電源供給を行いたい場合に使えるほか(USB PD電源が必要です)、PCと接続してファームウェアのアップデートにも使用されます。
操作ステーション
ステーション正面には操作スイッチ[A][B][回転ノブ]の3があります。
コテ温度の調整やスタンバイ/スリープ時の温度、スリープ/アイドルタイムなど各種設定が行なえます。
ディスプレイにはコテ本体のバッテリー残量や現在のコテ温度が無線接続によりリアルタイムに表示されます。
ステーションの駆動は背面のType-C端子から行います。(USB PD 36Wに対応)
コテ本体とはBluetoothで接続され、温度調整等ステーション側から全ての設定を行います。
付属のスポンジホルダーは左右または前方の3ヶ所に取り付けが可能となっています。
コテ本体のバッテリー持続時間
TS1CはUSB PD(Power Delivery)から電源供給が行えるので便利です!(最大36W)
基本的な使用はこのようにステーション側にUSB PDから電源供給を行い、コテ本体を差し込んでいる時に充電するといった使用方法となります。
コテ本体が完全に充電された状態でのコードレス使用は連続使用で実測約5分といったところです。
1度の作業でこれだけの時間連続ではんだ作業を行うことはそう滅多にあるものではないので十分だと思います。
温度調整に関しては全く問題なし、普段使ってるT12のはんだステーションと変わりなく使える👌
ただ連続稼働は5-6分ってところ。
ステーションに挿しとけば勝手に充電されリポじゃなくスーパーキャパシタ使ってるみたいだから充電は早い🔋引っ張り技使いにくいからK4あたりのコテ先を買おう📝 pic.twitter.com/E6ok2yKiCO
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) August 8, 2023
実際の作業ではこまめにステーションに差し込みその都度コテ側に充電を行うという形になるかと思います。
完全に内蔵電源を使い切った状態での満充電までの時間は実測で約7分程度とかなり早いものとなっています。
Miniware TS1Cにはリポバッテリーではなくスーパーキャパシタが使われています。
一般的なリチウムイオンバッテリーなどと比べ充電時間が早く、充電サイクルも格段に多いので長寿命を実現しているようです。
電源供給はコテ本体のType-C端子から直接行うことも出来るようになっています。
コードレスの良さが失われますが、長時間連続稼働させたい場合に有効です。
この場合もステーション側には電源供給を行う必要があります。
基本的にステーションと無線接続して温度調整等の操作は全てステーション側で行う必要があるためです。
コテ単体での使用が出来ないのは残念なところではあります!
温度調整は優秀なようで、オーバーシュートすることなくほぼ設定温度を一定に保ったまま作業が行なえます。
基本的な使い方
電源のON/OFF
TS1Cには電源スイッチが付いていません!
ステーション側にUSB端子を差し込み電源供給を行うとステーションが立ち上がり、自動的にコテ本体とのペアリングが開始されます。
電源を切りたい場合はステーションに接続しているUSB端子を外す、または設定したアイドルタイムを経過すると自動的にシャットダウンします!
各種設定
各種設定はステーションの[B]ボタンで行います。
コテ温度・プリヒート温度(予備加熱)・スリープ時の温度・スリープまでの時間・アイドルタイム・ディスプレイのバックライト輝度の調整・ファームウェアバージョンの確認等が行なえます。
プリヒート温度はデフォルトで250℃に設定されています。(自由に変更可)
コテ本体をステーションに差し込んだ状態ではプリヒート温度で予備加熱された状態で充電しながら待機します。
プリヒート状態(250℃)からコテを取り出し設定温度370℃までの加熱にかかる時間は約7秒ほどと加熱スピードは結構早いです!
コテ本体をステーションに差した状態で設定したスリープタイムが経過するとスリープ温度までコテ温度を下げて待機します。
さらにアイドルタイムで設定した時間が経過すると自動的にシャットダウンします。
加熱&使用
コテの加熱は[A]ボタンで開始します。
ステーションにコテ本体を差し込んだ状態ではプリヒート温度まで加熱し(デフォルト250℃)待機状態、コテを取り出すと設定温度まで加熱されます。
370℃設定で連続ではんだ付け作業を行うと約5分間駆動することが出来ます。
これだけ長い時間連続ではんだ作業を行うことはあまりないとは思いますが・・・通常作業ではこまめにステーションに戻すことで自動的に充電されるので、実作業的にはあまり駆動時間を気にすることなく使えると思います。
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Miniware TS1Cの特徴
Miniwareさんに製品を送って頂き2ヶ月ほど使ってきましたが、何が一番便利かと言うとやはりケーブルレスではんだ作業が行えるのは便利ですね!
ステーションのディスプレイでリアルタイムの出力状態や電池残量などの確認ができ温度設定も無線接続でコテ側に即反映される、またスタンバイ状態からの復帰も早く電源を切り忘れても自動的にスリープ・シャットダウンに移行するなど・・・ステーションタイプのハンダゴテとして一通りの機が揃っています。
PD電源に対応しているので、モバイルバッテリーなどからの駆動も可能で場所を選ばず使えるのも便利だと思います。
ただステーション側から全ての制御を行うためステーションとセットで使うのが大前提となります。
このあたりがハンディータイプのもので既に販売されているTS80といった製品との違いになってくるかと思います。
以上、Miniware TS1Cの特徴を挙げるとこんな感じでしょうか!
- コードレスでステーションタイプ
- 無線接続でリアルタイムコントロールが可能
- 正確な温度調整・ブースト/スタンバイ/スリープモードなどの機能が使える
- コテ温度やバッテリー残量などリアルタイムで更新され分かりやすい
- スーパーキャパシタが使われ充電が早い
- 一部プラスチック製ボディーのステーション
- コテ単体では使えない
- コテ先は専用チップ仕様
- 連続稼働時間は約5分程度
- 販売価格が高い
最後に!
はんだゴテはステーションタイプのものを含め既に数台持っており作業デスクで据え置きで使用する事が多いのでハンディータイプのものは私の用途ではあまり使う必要性が無いかな?と考えていましたが・・・
ケーブルレスではんだ作業が出来るのは用途によっては便利に使える場面は多いと思います。
ステーションを含めてもコンパクトに仕上がっているので、作業スペースを取らずサクッとはんだ作業が行えるのは便利です!
自作基板のパーツ実装をする際にリフロー後にブリッジした部分のちょっとした修正をするなど、スペースの邪魔にならずケーブルレスなので助かっています。
ここ最近Miniware製品を使うことが多くなってきたのですが、他のMiniware製品に関してこちらでまとめているので合わせて見て頂ければと思います。
また、はんだ作業であると便利なアイテムなどこちらの記事でまとめています。
こちらも合わせて読んで頂ければと思います。
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