PCBを設計する前段階として毎回ブレッドボードやユニバーサル基板を使いテスト回路を組んで動作確認を行い、不具合等が無いことが確認出来ればPCBの設計に移行するのですが・・・
極力PCBに実装する予定のパーツを使って回路を組み動作テストをするようにしてはいるのですが、なかなか難しい場合も出てきます。
ICチップといったパッケージサイズが分かっているものはピッチ変換基板を使い回路を組むことが出来るのですが、全てというわけではありません。
そのため、ある程度回路が組まれパッケージ化されている市販のモジュールを代替品として使うことが結構あります。
SDカードモジュールやUSB-シリアル変換モジュール、電圧レギュレータといったものたちです。
実基板で実装予定のパーツを使ったテストが出来ない場合にはそのようなモジュールを使って回路を組みテスト等を行うのですが、実際の基板で実装したパーツや回路と異るため不具合が見つかったなんてこともあります。
極力PCBに実装予定のパーツを使いバラで回路を組むようにしているのですが、それも全てとなるとなかなか難しくなってきます!
これまでPCB製作のテスト段階で多かった不具合を思い返してみると、私の場合電源に関係するものが多かったように感じます。
電圧レギュレータで使われるチップは様々なものがありるため、データシートを参考に入力電圧や出力電圧、またドロップアウト電圧や出力電流といったもの考慮し製作するPCBの構成に合うものを選ぶわけですが、チップサイズも様々で入手性のことなどもあるためテスト段階では実チップを使ったテストが出来ない場合が多くあります。
そのため汎用的なチップやモジュールを代替品として使うこともあり、テスト回路は組めたけど動作が不安定になる、またはテスト回路では問題なかったのに実際に製作した基板では不具合があった・・・、その原因を探すのに苦労したといったことをこれまで何度か経験しました。
電圧レギュレータはこれまで製作した基板で使いやすかったものや最近のマイコンボードでよく見かけるものなどいくつかリスト化しています。
自作基板製作で電源まわりのトラブルが何度かあったので、基板製作前のテスト回路を組む際に使えるLDOテストボードを作ってみることにしました!
電圧レギュレータ(LDO)テストボードの製作
冒頭でお話したようにPCBを製作する際にテスト回路を組んで動作確認等を行うのに電源関係のトラブルがこれまで多かったことから、数種類の電圧レギュレータ(LDO)を使ったテストが出来るボードの製作を考えています。
動作が安定しない原因が分かった!
テストで使ってたレギュレーターだった。
ESP32って何気に電気食うやつ。
ちょっとスッキリした! https://t.co/JxxOLimIa0— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) February 25, 2024
使用するLDOチップに関してはこれまでのPCB製作で使った各種電圧に対応したものやこれからテストで使おうと考えていたものなどいくつかピックアップしていたので、近々個別基板で製作してみるのもいいかな、なんて考えていたのですが・・・
たなかまさゆき先生が先日Twitterに投稿されていた、1枚のボードに数種のLDOをまとめたテストボードを見かけ、これを参考に製作してみることにしました。
レギュレーターの実験ってこんな感じでやればいいのかな?
0.8mm厚の基板だったら頑張れば切れる??? pic.twitter.com/yvlavh3Np9— たなかまさゆき (@tnkmasayuki) December 9, 2023
上記は個別チップの詳細(特性等)をテストするためのボードとして製作されているようですが、私の用途としては先述のようにPCB設計前にテスト回路を組み実際に使用するLDOチップで問題なく動作するのかを確認するためのボードとしてイメージし製作を進めています。
LDO(Low Drop Out)とは?
まずLDO(LDOレギュレータ)とは何なのかを簡単に説明しておきます。
LDOは[Low Drop Out]の略となり、入出力電位差が小さくても動作することが出来るリニアレギュレータです。
リニアレギュレータは入力電圧よりも低い一定の電圧を出力することが出来る電源用のパーツ(チップ)で、入力電圧の変動に関わらず3.3Vや5Vといった一定の出力電圧を作ることが出来るのでマイコンボードなどに使われているのをよく見かけるかと思います。
レギュレータ内(チップ内)で一定の損失があるので出力電圧よりも高い入力電圧が必要となりますが、その電位差[ドロップアウト電圧(出力電圧ー入力電圧)]が低いものをLDOと呼びます。
特に何Vといった規定は無いようですが、一般的にはドロップアウト電圧が1V未満のものがLDOと呼ばれるようです。
ボードのイメージ
テストで使えるLDOチップとしてこれまでのPCB製作で使って想定通り使えたものや入手性がいいもの、また最近のマイコンボードで使われているものなど16種類ほどピックアップしたのですが、これらをすべて組み込んだボードにするとサイズが大きくなり実際にテストで使用する際の使い勝手も悪そうなので、とりあえず8つのチップが試せるボードサイズを考えています。
PCB製造メーカーで格安で製作してもらえる10cm以内に収まるサイズで作れるのが理想的です。
製作してみて使い勝手が良ければ、同じボードサイズ&形状で他のチップや電圧が異なるバージョンのものも作ってみようかと考えています。
面付け基板として個別に分離して使えるボード構成にしようかとも考えたのですが、8種の異種面付け基板となると結構な製造料金となってしまうので独立した個別回路を1ボードに収める構成で考えています。
各LDOチップのブロックごとに[入力電圧:VIN][出力電圧:VOUT]、またチップによっては[ENピン(シャットダウンさせることが出来ます)]をそれぞれ作りテスト回路に個別で接続して使う構成になっています。
それらLDO個別ブロックとは別に電源入力ブロックも作りました。
安定化電源などから入力電圧を取れるようにDCジャックを配置し、PCBの製作ではリポバッテリーから駆動させるボードを作ることも多いことからJSTコネクタ(PH2.0)も取り付ける予定です。
5V LDOチップもいくつかリストアップしていましたが、今回は3.3Vのものに限定したボードにする予定です。
3.3V LDOのテストボードなので仮にESP32で使うことをベースに考えるとドロップアウト電圧や出力電流の関係で現状ピックアップしているチップとは若干異なってきますが、ArduinoやATtinyといったAVRを使うことも私は多いのでこのような選定に今のところしています。(変更するかもしれませんが!)
【追記】自作LDOボードが完成しました!
チップ構成は少し変わりましたが、自作LDOボード完成しました!
使い勝手は良さそうなので、他のLDOチップを使ったバージョンも製作してみようかと考えています。
最後に!
自作基板を製作する際に実際の回路構成で組んだもので事前にテスト等出来れば問題箇所や不具合など発見しやすいのですが、なかなか全てというわけにもいかず・・・
実チップを使ったテストを行う環境がなく代替品として使った汎用的なパーツやモジュールが原因でトラブルになったということが何度かあり、特にマイコンを使った回路では電源まわりの問題が多かったことからこのようなLDOテストボードを製作してみようかと考えています。
製作するPCBの回路構成やボードサイズなどにより使用するLDOも変わってくるので、このようなテストボードをいくつか作り電源まわりのテストが出来るようにしておけば便利だと思います。
選定しているチップの構成を少し変更しようかな?といったことを考えているのですが、基板を発注し実際に製作した時にまた詳しくご紹介できればと思います。
[…] […]