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【自作基板 / 電子工作】JLCPCBのパーツ実装サービスPCBAを試してみました!自作基板の製造からパーツ実装までをおまかせ発注

電子工作で自作基板を製作するようになり、ホットプレートでのリフローやヒートガンを使った手作業による部品実装にもだいぶ慣れてきました。
ある程度複雑な回路やパーツ数の多い基板、0402サイズのような小さなチップ部品を使った基板でも、手作業で問題なくこなせるようになってきたところです。

これまで自分で設計した基板は、部品を調達してひとつひとつ手作業で実装してきましたが、設計時に配置のクリアランスを気にしたり小さな部品をピンセットで並べたりと毎回なかなか気を使う作業ではあります。

そこで「そろそろ実装も外注してみてもいいかも?」と思い立ち、JLCPCBPCBA(部品実装サービス)を初めて利用してみました。

PCBAを使えば、実装上の制約(パーツ間のクリアランスや実装難度など)をあまり気にせず設計が出来るという点も魅力のひとつだと感じました!

コスト面では基板単体での発注に比べると当然ながら高くなりますが、その分製作や作業の効率が大きく向上する場面も多い思います。

今回初めてのPCBA体験ということで、設計データの準備から発注、そして実装済みの完成基板が届くまでの流れを自分用の記録も兼ねてまとめてみようと思います。

JLCPCBのパーツ実装サービスPCBAを試してみました!

基板製作を始めたばかりの頃にSNSでPCB関係の方から、PCBAサービスは完璧ではないのでブリッジ等が発生した場合やパーツの配置に誤りがあった場合などで、自分で修正することが出来るスキルが出来てから利用した方がいいよといったアドバイスを頂いたことがあります。

自作基板の製作を始めて2年ほどが経ち、ある程度のパーツなら自分で実装することが出来るようになったと思います。

自身でパーツを用意するのが大変な場合や実装するパーツ数が多い基板を製作する際などでPCBAサービスを利用すれば、基板到着後すぐにプログラムやファームウェアの作成に取り掛かるといったことも出来るため、得られるメリットも大きいかなと今回初めて利用してみて感じました。

前回、オープンソースで公開されている基板を使いテスト的にPCBAサービスを利用してみました。

【電子工作 / PCB】JLCPCBのパーツ実装サービスPCBAを利用してマルチカラー基板『ColorEasyPico2-RP2350』を作ってみた話!

ある程度の流れが把握できたので、今回は自設計の基板を使いPCBA発注で必要となるBOMやCPLなども1から作り発注&製作してみることにしました。

JLCPCBでは基板を単体で作るだけでなく、LCSCの安価な部品を使いそれを実装までしてくれるPCBAサービスがあります。
JLCPCBでのPCBA発注の流れは、大きく以下のような流れになります。

KiCad等の基板設計ソフトを使いいつものように基板データ(ガーバーファイル)を作り、さらにPCBAで必要となるBOM(部品表リスト)CPL(部品配置データ)を作成すれば、あとはJLCPCBのサイト上での設定やパーツ選択、確認等の話になるので初めてでも比較的簡単に発注まで出来ました!

JLCPCBのPCBA発注の流れ
  1. 基板設計ソフト(KiCad等)でガーバーおよびBOM・CPLファイルを準備
  2. JLCPCBにガーバーファイルをアップロード
  3. PCB組み立て設定
  4. BOM・CPLをアップロード
  5. 実装パーツの確認&変更
  6. 実装パーツの配置(向き)の確認
  7. 確認&発注
  8. エンジニアによるレビュー後、部品配置等の確認
  9. 製造開始~到着!

それでは順を追って見ていきたいと思います。

①基板設計ソフトでガーバーおよびBOM・CPLファイルを準備

今回こちらの自作ボードをJLCPCBのPCBAサービスを利用して製作してみました。
リポバッテリーからの駆動も出来るRaspberry Pi Pico2互換ボードです。

2層の小さなボードサイズ(約25mm×52mm)に少しパーツを詰め込んだ感がある基板です。

PCBAを利用せずこれまで同様、手作業での実装も十分可能な基板なのですが、RP2350といったパッド間隔が狭いチップを使い0402サイズの小さなパーツをベースにしてパーツ間のクリアランスも狭いため、手作業では結構大変な実装になる基板だと思います。

この基板を例に、JLCPCBでのPCBAを利用した発注の流れを見ていきたいと思います。

PCBAで発注するには、基板データ(ガーバーファイル)以外にBOM(部品リスト)CPL(パーツ配置情報)が必要となってきます。

KiCadプラグイン『JCLPCB toolkits』の導入

まず基板設計ソフト(こちらではKiCadを使っての説明となります)で、BOM(部品表リスト)CPL(部品配置リスト)を作るところからです。

BOMファイルおよびCPLファイルの作成方法はいろいろとあると思いますが、JLCPCBを利用される場合KiCad用の便利なプラグイン『JLCPCB toolkits』があるのでこれを今回使いました。

まずKiCadでこのプラグインをインストールします。
KiCadを立ち上げ[プラグイン&コンテンツマネージャー]を開きます。

[プラグイン&コンテンツマネージャー]の右上にある[管理]を選択します。

[+]ボタンからリポジトリ追加画面が表示されるので、以下URLを追加します。

追加するURL
Bouni’s KiCad repository https://raw.githubusercontent.com/Bouni/bouni-kicad-repository/main/repository.json
[プラグイン&コンテンツマネージャー]のタブに[Bouni’s KiCad repository]が追加されるのでこれを選択すると、目的のプラグイン[KiCad JLCPCB tools]が出てくるのでインストールをクリックします。

[保留中の変更を適用]をクリックするとインストールが開始されます。

インストール後、KiCadのPCBエディターを開くとインストールしたプラグインのアイコンが追加されています。

基板の設計が完了していれば、このJLCPCB toolsを使いパーツの関連付けを行います。

フットプリントにLCSCパーツを割り当てる

JLCPCBではLCSCパーツの型番で部品が管理されています。(Cから始まる番号)

KiCadの設計で使用している各部品(フットプリント)にこのLCSC番号を紐付けていきます。

変更したいパーツを選択し「Assing LCSC number」を押し検索画面に移行。

割り当てる部品を検索し「Select part」で割り当てていきます。

検索はinch表記を使います。
0603 1k」や「0402 100n」といった具合です。

ここでパーツのタイプには、Basic(標準)拡張(Extended)があります。
これは後述しますが、拡張(Extended)タイプのパーツでは機械実装の際にマシンへのパーツセットが必要となり1パーツにつき3ドルの拡張コンポーネント料金がかかります。

検索の際に「Basic」チェックボックスを選択し、極力拡張パーツを使わない方がPCBA料金はお安くなります。

お目当てのパーツ検索が上手くいかない場合は、JLCPCBのWebサイト「Assembly Parts Lib」の方でも検索や詳細確認が出来るので併用するのもいいかと思います。

目的パーツが見つかればLCSC番号(JLCPCB Part #)をコピーし、右クリックで貼り付けて関連付け出来ます。

基本的にこの作業を繰り返し各パーツをLCSC番号に関連付けていきます。

また、「Select alike parts」をクリックすると同一フットプリントが使われたものが全て一括で選択されるので、同一パーツの割り当てで便利です!

あとJLCPCBが抱えるLCSCパーツの在庫は[Stock]で確認できます。

このパーツ関連付けの作業は、基板によっては結構な時間がかかります。
ある程度在庫数が多いパーツを選択しておかないと、いざ発注する際に在庫が無くなっていたということも起こります!

実装したい全てのパーツのLCSC番号への割り当てが完了したら、画面左上の[Generate]ボタンを押してPCBAで必要な発注ファイルを生成します。

現在KiCadで設計しているプロジェクトフォルダ内に[jlcpcb]というフォルダが新たに作成されています。

この中にある[production_files]フォルダ内に、PCBAに必要なガーバーファイル(zip)・BOM・CPLファイルが作成されます。

上記のように『JCLPCB toolkits』内でパーツの選択や変更が出来ますが、これはJLCPCBのサイト上でも出来るので、ある程度完成したらサイト上でやってしまうのもいいと思います。

上記製造に必要な3つのデータをJLCPCBのサイトにアップロードして、PCBAの発注に進みます。

②JLCPCBにガーバーファイルをアップロード

PCBAに必要な3つのファイル(ガーバー・BOM・CPL)の用意が出来ました。
ここから発注までの流れは、全てJLCPCBのサイト上で完結することが出来ます。

JLCPCBのサイトからガーバーファイル(zip)をいつものようにドラッグ&ドロップしてアップロードします。

選択項目は発注する基板により変わってきますが、特になければデフォルト設定のままで問題ないと思います。

JLCPCBの基本的な基板発注方法に関しては、こちらの記事に詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。

【電子工作 / 基板製作】これから始める自作基板。JLCPCBでの基板発注ガイド(2025年版)

今回部品実装サービスPCBAを利用するので、下にある[PCB組み立て]をアクティブにします。

③PCB組み立て設定

PCB組み立てに関する項目選択です。

PCBAタイプ

JLCPCBのPCBAには、エコノミック(Economic)標準(Standard)の2タイプがあります。

〜抜粋〜
エコノミックPCBA:(片面配置)
異なった顧客からの受諾された順序は結合され、PCB、ステンシルおよびアセンブリを含んで一緒に作り出される。
利点:低コスト。
$8のセットアップ料金のみ。
最小基板寸法は10×10mmです。

標準PCBA:(片面および両面配置)
標準PCBAの場合、ステンシルとアセンブリは別々に処理されます。
メリット:両面配置とVカットによるパネル化が可能です。
PCBの数量や仕様に制限はありません。
最小基板寸法は70×70mmです。
PCB設計にはエッジレールが必要です。

標準(Standard)タイプのPCBAになると、そのセットアップ料金だけで50ドルかかってしまいます。(エコノミックでは8ドル)

趣味用途で製作する基板ではこれだけで結構な料金になってしまうので、なるべくエコノミック(Economic)になるようにしておきたいところです。

具体的にエコノミック(Economic)で製造出来る範囲を超え標準(Standard)タイプのPCBAになってしまうのは、両面実装基板になる場合や特定のPCBカラー(黄色)、またPCBの厚さが0.8mm以下や1.6mm以上の場合、そして表面仕上にENIGを選択した場合などがあげられます。

組立サイド

組立サイドはパーツ実装面になります。
今回発注した基板では、トップ面の実装なのでこれを選択します。

ツーリングホール

ツーリングホールは、PCBA製造過程において基板を固定するピンや穴の位置決めを正確に行うためのガイドとして利用されます。
これの指定をJLCPCB側にお願いするか、また自身で指定するかの選択です。

初めてのPCBAではJLCPCBにお願いするのがいいと思います。
今回製作した基板では、基板内に意図しないホールが入っている事はありませんでした。

また前回テスト的に発注した基板では、エッジレール(捨て基板)が入りそちら側に入っていました。

JLCPCB側でやってもらう場合、製作する基板によっては意図しない位置に入ってしまうことも想定できます。

デザイン的にそれが許されない場合では、設計段階でツーリングホールが入った捨て基板を自身で付けるなど対応する必要がありそうです!

PCBAによるツーリングホールに関してはこちらが参考になると思います。

参考 How to add tooling holes for PCB assembly orderJLCPCB

部品配置の確認

発注後JLCPCBのエンジニアさんがパーツの配置&極性確認を行い、その結果をメールで知らせてくれます。

今回の発注では、一部パーツの向きが正しいのか確信が持てないので確認してね!といった添付画像付きのメールが送られてきました。

製造前のパーツを配置した画像が送られてくるので[はい]を選択しておき、それを確認後製造に進むという方が安心かもしれません!

前回の発注ではチェックを入れてなかったのですが、配置に疑わしき部分があり確認メールが来ました。

部品の選択

部品の選択を自身で行うか、JLCPCBにお願いするかの選択です。(オプション料金がかかります)
自分で設計した基板でパーツ構成も把握しているので、今回は[いいえ]を選択しました。

詳細オプション

基本設定以外に、詳細オプションも多数用意されています。(抜粋)
今回発注したものは全てデフォルト設定で発注しました。

  • Photo Confirmation: 実装後の実物写真が送られてくる
  • Conformal Coating (cleaning included): 実装後にアクリル系コンフォーマルコーティングや基板洗浄が行われる
  • Packaging: 発送の際の梱包方法の選択
  • Solder Paste: 使用するはんだペーストにより高温リフローまたは中温リフロー温度の選択

項目の選択が出来たら[次へ]へ進みます。
先ほど選択した[PCBタイプ][組立サイド][PCBA数量]の確認です。

問題がなければ[次へ]へ進みます。

④BOM・CPLをアップロード

BOMとCPLファイルをアップロードします。
ファイルのドラッグ&ドロップで行えます。

アップロードが完了したら、[BOMとCPLを処理する]へ進みます。

その際にこのようなエラー画面が表示されることがあります。
R16やJ3といったパーツがCPL(部品配置)にありませんよ、といった内容のエラーです!

これはKiCadのプラグインJCLPCB toolkitsでBOMデータとCPLデータを作成した際に、後で自分で取り付ける予定のピンヘッダーなど意図的に実装パーツから外していたためエラーが出たものです。
問題ないので次へ進みます。

⑤実装パーツの確認&変更

BOMファイルから読み取った関連付けられているLCSCパーツが表示されます。

ここで関連付けられているパーツのサイズや定数などが正しいかのチェックを行うのですが、これがPCBA作業では一番面倒となり時間がかかる部分になるかと思います。

プラグインを使いそのまま出したBOMデータでもほぼパーツの選択は問題なく、また不明なものもJLCPCB側でもある程度予想して選択されているようです。

全てのパーツをチェックしていくのですが、ここで最も重要なのが[部品タイプ]になります。
部品タイプには、[ベーシック(Basic)]と[拡張(Extended)]があります。

[ベーシック]パーツは機械実装する際のマシンに標準でセットされているものとなり、追加料金がかからずお安く実装出来るパーツです。

対して [拡張]パーツは、実装マシンにセットされていないパーツとなり、マシンへのセットを人が行う必要があるためその人件費がプラスしてかかります。
拡張パーツを使うごとに3ドルの追加料金がかかってしまいます

製作する基板(回路構成)などにより変わってきますが、いかに[ベーシック]パーツを選択出来るかで最終的なPCBA料金が大きく変わってきます

抵抗やコンデンサといったごく標準的なパーツは、ベーシックパーツになるように変更しておくのが良さそうです。

パーツを変更する

選択されているパーツを変更したい場合は、パーツ横にある虫眼鏡マークをクリックして検索します。

例えばこのショットキーダイオードは[拡張]パーツが選択されていましたが、型番や定数などで検索しベーシック(基本パーツ)があったので変更しておきました。

拡張パーツが一つ減ったので、これだけでトータル料金は3ドルお安くなります!

マイコンチップやピッチの狭いICなど実装が難しくなるものは拡張パーツとしてのみ扱われているものもありますが、抵抗・コンデンサ・ダイオード・LEDといったごく標準的なパーツはベーシックパーツを選択しておくのがいいと思います。

パーツ点数が多い基板では結構大変な作業になりますが、パーツのサイズや定数なども含め全てのパーツで選択に問題ないかの確認を行います。

ちなみに検索する際のパッケージはinch表記(EIA)で検索します。(例 mm表記で”1608″はinch表記では”0603″となります)

0603 10k」や「0402 100n」のように、inch表記したパッケージサイズに定数をプラスして検索するといった感じです。

あとパーツの入手先であるLCSCの方で在庫が無い場合もあります。
在庫が確保されるまで発注を待つか、そのパーツのチェックを外して発注し基板到着後そのパーツのみ自身で実装するかの選択になります。

本記事執筆時は在庫が復活していましたが、発注時に在庫が無かったJ2の端子はチェックを外して実装パーツから除外して今回発注しました。

全てのチェックが完了したら、[次へ]をクリックして進みます。

実装が不要、または在庫が無く選択されていないものがある場合このような警告が出ますが、[配置しない]を選択して次へ進みます。

⑥実装パーツの配置(向き)の確認

最後に基板にパーツが配置されたプレビュー画面が表示されるので、部品の向きが正しいかの確認を行います。

ダイオードやLEDなど極性がある部品や、ICチップの向き(1番ピンの位置)が正しいかの確認がメインになると思います。
向きが合っていないパーツが結構出てくるので、修正していきます。

パーツの向きを調整するには、パーツを選択し右クリックで回転する角度を指定するか、またはスペースキーを押すと90°ずつ回転させることが出来ます。

全てのパーツを確認し、合っていないものは正規の向きに修正していきます。

全てのパーツの向きを確認&修正し、問題がなければ[次へ]進みます。

MEMO
J2 端子は在庫がなかったため未実装となっています!

⑦料金の確認 & 発注

以上でPCB+PCBAの製造料金のトータル価格が表示されます。
今回の発注では、基板5枚で送料を入れると約100ドルとなるので1枚あたりのコストは20ドルほどとなりました。

内訳を見てみると、拡張コンポーネント料金が大きくなっています。
RP2350まわりのパーツ選択でラズパイ公式さんが推奨されているパーツを多く選択したことや、リポバッテリーの充電チップや保護チップなど拡張パーツでしか扱われていないものが多かったためです。

拡張パーツを選択すると1パーツあたり3ドルの拡張コンポーネント料金がかかってしまします。

PCBAを利用する際は、PCBAタイプに[エコノミック]を選択できる基板構成にし、さらに[拡張パーツ]を使わずいかに[ベーシックパーツ]で構成できるかがコスト削減のカギになると思います!

料金を確認し、問題がなければカートに入れて発注を行います。
カートから発注の流れは通常のPCB発注の時と同じなので、こちらの記事も参考にして下さい。

【電子工作 / 基板製作】これから始める自作基板。JLCPCBでの基板発注ガイド(2025年版)

通常のPCBのみの発注と異なるのは、PCBのみの発注だとレビュー後に料金を支払う[後払い]を選択することも出来ますが(いつも私は選択しています)、PCBAでは先払いのみとなります。
発注段階で料金を支払う必要があり、支払いが完了したらエンジニアによるレビュー(データチェック)が開始されます。

⑧レビュー後、部品配置等の確認

料金を支払い発注が完了したら、JLCPCBのエンジニアによるファイルチェック(レビュー)が行われます。
通常数時間でレビューは完了し、添付画像と共に確認メールが届きました。

(メール内容)
申し訳ございませんが、U2部品の極性が正しいかどうかの確信が持てません。
添付写真で部品の極性と配置が正しいかご確認いただけますでしょうか。
早めの返信を頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

このU2チップはメーカー作成のデフォルトフットプリントを使ったのですが、1番ピンの位置が分かるシルクが入っていなかったためチェックしたエンジニアさんが向きが正しいのか確信が持てなかったため確認したいとのことでした。

チップの1番ピンには、通常ポッチやラインにより向きが分かるようにシルクが入っていますが、このフットプリントを確認してみると入っていないようですね。
シルクからちゃんと確認して頂けるのは、ありがたいことです!

そして発注履歴画面を確認すると、こちらのリアクション待ち状態となっていました。

本来は[部品配置の確認]をクリックして、パーツが配置されたプレビュー画面を確認し問題がなければチェック済みで製造に進んで下さいといった表示がされるのですが、今回その表示がなく・・・

メールに返信すると、チェックボタンを押す必要がありますとのことだったのですが、そのボタン自体がなく・・・
何度かやり取りしてJLCPCBさんに調べてもらったところ、日本語表示にした際のバグのようでした。

言語設定を英語に変更すると、このように確認画面が表示されるようになりました。
配置に問題がないので、[Yes,please proceed to production]をクリックして製造に進んでもらいました。

MEMO
JLCPCBさんの回答では、日本語サイトの最適化を行ってくれるとのことです!

⑨製造開始 〜 基板到着

PCBAでの発注にまだあまり慣れていないこともあり今回は製造に進むまでにそのやり取りで時間がかかってしまいましたが、製造が開始されると進捗は非常に早い印象を受けました。

PCBの製造は通常通り1~2日程度、そこからパーツの実装が始まるのですがこれも1~2日ほどで完了し、配送方法にOCS Expressを選択しトータル12日で手元に実装済み基板が届きました。

今回は製造までのやり取りで2日ほど取られてしまったので、通常であれば10日ほどで届くことになると思います。
思ってた以上に早い印象です!

今回の発注ではリポバッテリー用のPHコネクタの在庫が無かったので、基板到着後にこのパーツのみMHP50というミニリフロー装置で取り付けました。

コンパクトでPD電源で使える非常に便利なリフロー装置です。
自作基板の製作ではいつも愛用しています。

【電子工作 / PCB】ミニリフロー装置『Miniware MHP50』を使ってみる!加熱性能や安全設計はMHP30から全て引き継がれ使い勝手がさらに向上した便利なリフロー装置です

プログラムの書き込み&動作確認は全ボード問題なく行えました。

JLCPCBのPCBA利用のポイント

PCBAタイプはエコノミックで製造出来る構成で!

JLCPCBのPCBAタイプには、エコノミック(Economic)標準(Standard)があります。

両面実装基板や特定のPCBカラー、またPCBの厚さなどによりエコノミック(Economic)で製造出来る範囲を超えてしまう場合、標準(Standard)扱いとなってしまいます。

セットアップ料金がエコノミックの8ドルから標準では50ドルに大きくアップしてしまうので、趣味用途ではエコノミックで出来る構成で基板を設計&製作するのがよさそうです!

なるべくベーシックパーツを使う!

扱われている部品は、[ベーシック]パーツと[拡張]パーツがあります。

拡張パーツを使うとPCBAでは1部品につき拡張コンポーネント料金3ドルが追加されてしまいます。

設計する回路構成にもよりますが、可能な部分は極力ベーシックパーツを選択しコストを下げたいところです!

ストックが多いパーツを選択する

JLCPCBが抱えているLCSCパーツの在庫数は[Stock]という項目で確認できます。
常に変動しているので、なるべく在庫数が多い部品を選択しておく方がよさそうです。

パーツの関連付けは基板によっては結構時間がかかります。
いざ発注しようとしたら在庫が無くなっていた、というのが今回何度もありました。

最後に!

自分で設計した基板を使い今回初めてJLCPCBのPCBAサービスを利用して実装済み基板の発注&製作をしてみました。

今回製作した基板では1枚あたりのコストは約20ドルほどとなるのでそう考えるとお安いとは思いますが、手持ちパーツでも組むことが出来たのでそういう意味ではコスパは悪かったかな?とも思います。

しかしPCBAで実装することを前提に2層基板でこれまでよりかなりクリアランスを詰めて設計していたので、手作業での実装ではかなり手間がかかる基板だったとは思います。

自作基板製作ではパーツを実装する楽しさもありますが、今回のように実装難度を考えずに設計が出来たり、また基板到着後すぐにプログラムやファームウェアの作成に取り掛かるといったことが出来るのは、PCBAを利用する大きなメリットだと感じました。

これから活用していこうと思います。

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