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【自作基板 / 電子工作】ブレッドボードの電源レーンに直接挿し込んで使えるミニサイズの電源ボードを製作してみました!

以前、ブレッドボードの両サイド電源レーンに挿して使える電源ボードを製作したことがあります。
5V/3.3Vを個別で供給出来たりと、今でも便利に使っています。

このような電源ボードがあれば、ちょっとしたテストやプロトタイプ回路を組む時に安定化電源などを用意する必要がなく手軽に電源供給が行えるので重宝しています。

【電子工作】テスト回路を組む際に便利なブレッドボード電源モジュールの製作!

しかし、テスト回路を組む際に片側6列タイプのブレッドボード(サンハヤト製)を使うこともよくあるのですが、6列タイプのものではレーン幅が合わず使うことが出来ません!

ブレッドボードの種類に限らず主に動作確認用として使える小型な電源ボードがあればと感じる場面が多々あったことから、ミニサイズの電源ボードも製作してみることにしました。

ブレッドボード用ミニ電源モジュールの製作!

USB Type-Cからの入力で、3.3Vまたは5Vを出力できるブレッドボード専用の小型電源ボードを製作しました。

ブレッドボード専用の電源モジュールはこれまでいくつか製作したことがあるのですが、今回はブレッドボード上に組む回路スペースを極力広く取れるよう、省スペースな片側差し込みタイプのボードとして設計してみました。

一般的によく使われる片側5列タイプのブレッドボードや6列タイプのものでも使え、電源レーンに直接挿し込んで電源供給を行うことが出来ます。

基板設計

今回製作した電源ボードのコンセプトは、ブレッドボードの電源レーンに直接挿し込んでマイコンまわりで使える3.3V or 5Vの電源供給が行えるといったもので、ブレッドボード上に組む回路スペースを広く取れるようにボードサイズは極力コンパクトに作りました。

電源レーンに挿し込んだ際に列表記のプリントが隠れないように、また一般的によく使われる片側5列タイプのブレッドボード以外に6列タイプのものでも使いやすくなるように、3D CAD上でボードサイズやピンヘッダーの位置を決めてから基板設計に移りました。

私がよく使うブレッドボードにサンハヤト製の6列タイプのものがあります。
通常の5列タイプと違いマイコンボードを挿し込んで使う場合などで、ワイヤーを挿せるピンを多く取れるので便利なブレッドボードです。

6列タイプのものにも使え電圧切替が出来る簡易電源ボードが手元になく不便に感じることが多かったことから、ちょうどいい機会だったので今回製作してみることにしました。

3D CAD上で理想的なボードサイズを決め、この限られたスペースに収まるように使用するパーツ構成は何度か見直しを行いました。

ボードサイズが約37mm×16mmとかなり小型になるため、当初はTPS63000という可変電圧の出力が出来るバックブーストコンバータ(DC-DC)チップを使う予定でボードサイズを想定していたのですが・・・

以前製作したTPS6300xの評価ボードでテストしてみたところ、通電中にフィードバック抵抗の値を変えて出力電圧を可変させる当初考えていた構成では動作が安定しない事が分かったので、少し構成を変えて回路を組むことにしました。

【自作基板 / 電子工作 】TPS6300xを使った昇降圧DC-DCコンバータ評価ボードを製作してみました!

TPS6300xシリーズにある5.0V固定出力タイプのTPS63002を使い、3.3V出力はそこからリニアレギュレータを介する構成で組むことにしました。

5V出力側をUSB端子のVBUSに直接接続する構成では接続するPCやUSBハブなどによっては出力電圧が5Vを下回る場合がありますが、昇降圧が出来るバックブーストコンバータを介すことで5V出力を安定して取り出すことが出来ます。

この構成でなんとか想定していたボードサイズに収まりそうなので、この回路構成で基板設計を進めていきました。

データシートの定格上、3.3Vおよび5V出力は最大で1Aほど出力できますが、物理スイッチを介して出力電圧の切り替えを行っているので、実際はスイッチ側の最大定格により500mAほどまでの使用となるかと思います。

電子的に切り替えを行えば物理的なスイッチ定格は問題にならないのですが、ボードサイズの問題で上記のような回路構成にしました。(V1.21ボードとしています)

PCBWayに基板を発注

基板の製造は、PCBWayを利用しました。

動作確認では問題なく使えるようなので、基板データ(ガーバーファイル)をダウンロード出来るようにしておきます。(V1.21ボード)
何かの参考になればと思います。

PCBWayへの発注方法も少し見ておきます。

PCBWayでの基板発注は、[概算の見積価格の確認(仮発注)] → [データチェックを受け最終価格が決定] という流れで進めていきます。

発注項目の選択は特記すべきところはなくデフォルトで選択されている項目から変更する必要はありませんが、小さな基板となるため[Remove product No.]に[Yes(extra+$1.5)]を選択し、基板製造時に任意の位置に入ってしまう発注番号を削除するオプションを選択しました。

レジスト(基板カラー)はお好みで選択して下さい。

MEMO
本記事でご紹介している基板は、[表面処理]に[無電解金フラッシュ(ENIG)]を選択して金メッキ加工しています。(オプション料金がかかります)
通常の有鉛はんだレベラー(HASL)で発注しても特に問題ありません!

またパーツの実装はリフローで行うことを想定していたので、メタルマスク(ステンシル)も一緒に発注しました。

バックブーストコンバータチップTPS63002の実装は、チップ背面にサーマルパッドがあるので手はんだでの実装はおそらく難しいと思います。
ヒートガンやリフローでの実装になるかと思います。

[枠なしメタルマスク]を選択し、そして実装面は[表面のみ]となります。

以上、基板のオプション項目およびメタルマスクを選択し基板を発注しました。

ここからガーバーファイルをアップロードしてデータのレビューが行われ、最終価格が決定された後に本発注への流れとなります。

PCBWayでの基本的な基板発注方法は、こちらの記事で詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。

【PCBWay】初めてPCBWayで基板を発注してみました。ユーザー登録から基板発注までの手順をご紹介!

基板の到着

今回配送方法にOCSを選択し、発注から6日で基板が手元に届きました。

一週間かからずに製造された基板が手元に届いてしまう、ほんといい時代ですね!

そして今回も基板と一緒に注文していた、ギフトショップで0 Beans(実質無料)で扱われていたモジュールも届きました!

サイズ&重量が小さいものなら、基板発注のタイミングで一緒に頼んでおくとお得に入手することが出来ます!

PCBWayのユーザー限定で使えるギフトショップは、お得なアイテムが多数扱われているので、基板を発注するタイミングで覗いてみるのはオススメです!

【PCBWay】PCBWayの『ギフトショップ』を利用してみました!基板と一緒に頼めばお得&格安パーツも手に入る!

パーツの実装

それではパーツの実装です。
今回の実装で難しいパーツは、TPS63002だと思います。

以前、評価ボードを製作した際に何度か実装したので今回は特に気になりませんでしたが、VSON-10(3×3mm)パッケージでパッド幅が0.24mmと非常に小さなチップとなります。

実装がシビアになってくるパーツはこのTPS62002だけですが、ステンシルを使いこのレベルではんだペーストを塗布出来ていれば問題なく一発でリフローは完了しました。

ちなみに、ステンシルを使ったはんだペーストの塗布ではいつもこれを使っています。

パーツの実装は、MHP50というミニリフロー装置を使いました。
PD電源が使えコンパクトで作業スペースの邪魔にもなりにくい、自作基板の製作でいつも愛用している非常に便利なホットプレートです!

【電子工作 / PCB】ミニリフロー装置『Miniware MHP50』を使ってみる!加熱性能や安全設計はMHP30から全て引き継がれ使い勝手がさらに向上した便利なリフロー装置です

本基板はMHP50のホットプレートサイズ(50mm×50mm)に収まる基板サイズなので、加熱温度を段階的に上げていくリフロープロファイルを使い実装を行いました。
MHP50の便利な機能の一つです!

一発で綺麗にパーツを実装することが出来ました!

基板表面のSMDパーツの実装が完了したら、スイッチと背面にピンヘッダー(SMD)を手はんだで取り付けます。

背面のピンヘッダーはブレッドボードに挿し込む部分となるので、ピッチがズレないように仮固定を行い、なるべくパッドのセンター位置になるように取り付けます。

以上で完成です!

動作テスト

ひとまず無負荷での動作テストを行ってみました。
入力電圧が多少低下しても出力電圧は一定となっているので問題無さそうです!

テスト回路を組む際に入力電圧の低下が気になる(影響する)ものなどは安定化電源を接続してテストすることはよくありますが、簡易的なテストでは面倒なのでこのようなコンパクトな電源ボードが使えれば便利な場面も多いと思います!

基板製作を行う際に、このような感じでブレッドボード上にテスト回路を組むことがよくありますが、スペースを占有することなく便利に使えそうです!


注意
本ボードは、ブレッドボードの電源レーンに挿し込んで電源供給を行うものです。
電源レーン以外の場所に挿し込むと短絡状態となってしまうので、使用には注意して下さい!

使用パーツ一覧

今回使用したパーツの一覧です。

パーツ定数入手先
コンデンサ
(0603)
C1/C6 100nF
C2/C3/C4/C5/C7/C8 10μF
AliExpress
ヒューズ
(1206)
F1 1.0AAliExpress
USB端子J1 Type-C端子(16P)AliExpress / 秋月電子
インダクタL2 2.2μH(4mm×4mm)AliExpress
LED
(0603)
LED1/LED2AliExpress
抵抗
(0603)
R1/R2 5.1kΩ
R3 1kΩ
R4 100R
R5 10kΩ
AliExpress
DC-DCU1 TPS63002AliExpress
3.3V LDOU2 TLV75733PDBVRAliExpress
ピンヘッダーJ2/J3 2×3P(SMD 2.54mmピッチ)AliExpress
スイッチSW1/SW2秋月電子

最後に!

今回製作した電源ボードは、限られたスペースの中に昇降圧DC-DCとリニアレギュレータを収め、ブレッドボードでの使いやすさを重視したコンパクトな設計としました。

USB電源だけで安定した動作電圧を得られ、ブレッドボードの回路スペースを極力妨げないサイズ&形状のため、ちょっとした実験や開発時に便利に使えそうです。

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