基板(PCB)の製作でJLCPCBを利用されている方多いと思います。
ごく標準的な設計で作られた基板であれば、他社を圧倒する低価格かつ短納期で製造してもらえるため、趣味用途や個人製作のプロジェクトでは非常に重宝します。

そんなJLCPCBですが、基板の製造以外にもさまざまなサービスを提供されています。
中でも私がよく活用しているのが、3DプリントサービスとなるJLC3DPです。
JLC3DPでは、樹脂系(SLA/レジン)やナイロン系(SLS)など多くのマテリアル(素材)が、こちらも驚くほどリーズナブルな価格で提供されています。
プロトタイプの試作や少量ロットの生産でも気軽に利用できるのが魅力です!
製作した基板にフィットするケースやパネルを作るなど、この1年かなりの頻度で利用させて頂いています。
最近JLC3DPにハマってる理由その③🤩
これまで自宅の3DPで出力する事を前提で設計していたものから、サポートやオーバーハング等々気にせず作れるようになってリミット解除された感じ🔓 pic.twitter.com/9jPFPgpLi4
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) January 29, 2025
JLC3DPの3Dプリントパーツの製造は他社と比べかなり安価で利用できるため、基板や3Dプリントパーツを発注する際に気になる素材のものをサンプルとして毎回少しずつ試していました。
これまで何度かに分けてテスト的に製造していたマテリアルサンプルなのですが、比較出来る数揃ってきたので今回簡単にまとめてみたいと思います。
JLC3DPのサイトには各マテリアルに関する特性や参考写真などが掲載されていますが、実物を見てみないとその色味や質感・手触り、仕上がりの違いなどは分かりにくく、このような小さなモデルだと数ドル程度と非常に安価な価格で製造出来るので、JLC3DPをよく利用される方は作っておくと発注の際に大変便利だと思います!
目次
JLC3DPのマテリアルサンプルを作り比較してみる!
JLC3DPでは、SLA(光造形)やSLS(粉末焼結積層造形)など複数の製造方式とそれに対応する豊富な材料(マテリアル)が用意されています。
しかし実際に発注する際は、サイトで紹介されている材料の特性やサンプル写真などだけではイメージしにくいことから、小さなモデルを使い定期的にマテリアルサンプルを製作していました。
製作したPCBに取り付けるプレートやエンクロージャー、またパーツ単体で使用するものもそうなのですが、実際に製造された実物の色味や質感などを確認出来るものがあると発注の際に便利です。
JLC3DPでは、造形方式や材料の選択肢が豊富なのが特徴です。
例えば、精細な造形に強いSLA(光造形レジン)をはじめ、高強度なナイロン造形が可能なSLS(粉末焼結)やMJF(多射流溶融)、さらには金属造形に対応したSLM(金属レーザー溶融)やBJ(バインダージェッティング)、簡易試作に便利なFDM(熱溶解積層)、フルカラー出力も可能なWJP(ワックスジェットプリント)など、多くの造形方式に対応したマテリアルが用意されています。
中でも、SLA(レジン)方式は選べるマテリアルの種類が最も多く価格も手頃なことから、製作したPCB用のケースや自作キーボードのケース作成などで私自身これまで最もよく利用しています。
滑らかな表面仕上げと高精度なディテール表現が可能で、外装パーツやケースなどの製作に適しています。
そしてこのような小さなモデル(以前自作したものです)を使い、主にレジン系マテリアルのサンプル一覧をコツコツと製作していました。
参考 Mini Container with PET Bottle Cap SizeThingiverseこれくらいのサイズのものなら1個2~3ドル程度の価格で製造出来るので、作っておくと色味や質感等の確認が出来るのでJLC3DPに発注する際に非常に重宝します!
ある程度マテリアルサンプルとして数が揃ったので、簡単ではありますが比較してみたので参考になればと思います。
またJLC3DPの基本的な発注方法などに関しては、こちらの記事で詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。

まずは、JLC3DPの中で最もバリエーションが豊富な『SLA(光造形) レジン』から見ていきます。
基本的にSLA(Resin)での製造は、表面仕上げにサンディング処理が入るのでサポート跡などが残らず造形物の表面は滑らかな仕上がりになります。
細かい造形が得意なSLA方式はJLC3DPでは比較的安価な価格で製造できるので、見た目重視のパーツや少し大型なケース製作にもぴったりだと思います。
9600 Resin / SLA(Resin)
[9600 Resin]は、JLC3DPの中で最もベーシックで安価なレジン材料となり、SLA(Resin)方式を選んだ際の「デフォルト」マテリアルとして選択されます。価格が非常にリーズナブルなのに対し綺麗な表面仕上げでそれなりの強度もあるため、コストを抑えて試作したい時に適していると思います。
カラーはマットなホワイトになります。
レジンには他にホワイト系の[LEDO6060]や[CBY Resin]がありますが、一番白に近い色合いになります。(他は少し黄色がかっています)
可動部品や負荷のかかる構造のものでは試せていませんが、造形精度も問題なくフィット感が求められるケース類や装飾部品といったものでは十分な強度・耐久性があると思います。
スプレー塗装が可能(オプション)
JLC3DPで扱われているレジン系マテリアルでは、この[9600 Resin]と[LEDO 6060 Resin]のみオプションで用意されているスプレー塗装(Spray Painting)を選択することも出来ます。
高い強度や耐熱性が要求されるものでなければ、安価な[9600 Resin]を選択し数ドル程度のオプション料金でスプレー塗装を行いカラーで仕上げることが出来ます。
自作キーボード用のケースといった少し大型なものでも、思った以上に安価で製造出来てしまうのでオススメです!

Black Resin / SLA(Resin)
[Black Resin]は、他の黒系マテリアル([Imagine Black]や[JLC Black Resin])と比べるとグレーに近いブラックになります。光を当てるとほんのりと反射する、やや光沢のあるセミマットといった仕上がりです。
あとこれは表面仕上げの問題なのかな?
他の黒系マテリアルと比べると、擦りキズなどが目立ちにくい印象を受けます。

Imagine Black / SLA(Resin)
[Imagine Black]は、光の反射が少ないマット仕上げなブラックとなります。そしてこれは実際に手に取り比べてみないと分かりにくい部分なのですが、[JLC Black Resin]と比べると色味は少しグレー寄り、[Black Resin]に少し近い色合いになります。
完全なブラックを選びたい場合は、[JLC Black Resin]を選択するのが良いと思います。
参考 Imagine Black - Photosensitive ResinJLC3DPJLC Black Resin / SLA(Resin)
[JLC Black Resin]は、艶有りで仕上げられた若干光沢感が入ったブラックとなります。色味的にはJLC3DPで扱われているブラック系マテリアル([Black Resin]や[Imagine Black])の中では一番黒みの強い色合いになるかと思います。
深みのある純黒系で[Imagine Black]ではマット仕上げですが、それをソフトな光沢仕様にしたという印象です。
綺麗なブラックですが、表面の指紋やホコリが目立ちやすくなる印象も受けます。
参考 JLC Black ResinJLC3DP8228 Resin / SLA(Resin)
[8228 Resin]は、黄緑色のカラーレジンとなります。黒系や白系以外にベースマテリアルに色が付いているレジンは現状この8228 Resinのみなので(スプレー塗装は省く)、変化を付けたい場合に良いかもしれません。
上手くこのカラーを活かせれば、ちょっと個性的で映えるものが作れそうですね。
綺麗な仕上がりです!
LEDO 6060 Resin / SLA(Resin)
[LEDO 6060 Resin]は、[9600 Resin]と比べると若干黄色がかったナチュラルホワイトとなります。スプレー塗装が可能(オプション)
[LEDO 6060 Resin]は、スプレー塗装(Spray Painting)オプションを選択することが出来ます。マテリアル自体のベースカラーのみで完全な白色を希望するなら[9600 Resin]を選択、少し色味が付いた白なら[LEDO 6060 Resin]を選択するといったところでしょうか。
しかしスプレー塗装で色を付けるなら、マテリアルとしての特性は両者ともほぼ変わらずベースの色味は隠れてしまうので、ベース料金がお安い[9600 Resin]を選択するのが良いのかなと思います。
参考 Ledo 6060 - Photosensitive ResinJLC3DPCBY Resin / SLA(Resin)
[CBY Resin]は、見た目は[LEDO 6060 Resin]とほぼ同じ色合いで少し黄色がかったホワイトとなります。これは実際並べて比べてみてもほぼ区別が付かないレベルです。
しかし[CBY Resin]は他のレジン系マテリアルの中では一番耐熱(熱たわみ温度)が72℃と高くなっているようです。
とは言っても他のレジン系マテリアルは50~60℃前後なので、それほど大きな差はないと思いますが・・・!
以前自作キーボード用ケースをこの[CBY Resin]を使い作ったのですが、[9600 Resin]と比べると色味的に若干薄いホワイトになるので2~3mm程度の厚みならLEDの光の透過性もよく、綺麗なケースとして仕上がりました。
参考 CBY - Photosensitive ResinJLC3DP8001 Resin / SLA(Resin)
[8001 Resin]は、透明または半透明なレジンとなりJLC3DPのSLA(Resin)の中では少し高額な部類に入るマテリアルとなります。とは言っても他社と比べるとかなりリーズナブルな価格設定となっていますが! [8001 Resin]では、発注時の選択により[透明(Transparent)]と[半透明(Translucent)]の選択ができます。
透明(Transparent) / 8001 Resin
[透明(Transparent)]を選択した場合、製造工程にはサンディングに加えオイルスプレーがデフォルトで適応され、これら表面処理が入るのでアクリルのような綺麗な透明造形物として仕上がります。サイズが大きくなるとそこそこ価格も高くなってしまいますが・・・
ほんと綺麗な仕上がりです!

このような複雑な形状のものもレジンでは作ることができ、そして表面仕上げもJLC3DPの方でやってもらえるので非常に綺麗な仕上がりになります!

半透明(Translucent) / 8001 Resin
また[半透明(Translucent)]を選択した場合、上記のような表面処理がされていない状態で届きます。
サポート跡なども残っています。
サンドペーパー等を使い自分好みの透け具合(半透明)に表面処理する必要があります。
こういう作業に慣れていないので、これを手作業でやるのはかなり大変でした!(あまり変わってないような・・・)

以上が2025.05月現在、JLC3DPで扱われているSLA(Resin)のマテリアルになります。(X Resinは上記マテリアルがランダムに選択され製造されるようなので試していません)
あと最近[Gray Resin]が新たにラインナップに追加されたようですね!
今度試してみます。
SLS(Nylon)
これまでPCB用のケースやパネル、自作キーボード用のケース作成などでJLC3DPを利用してきました。
主に上記レジンを使うことが多いのですが、他のマテリアルもいくつか試しているのでご紹介します。
SLS(Nylon)は、高強度・高精度を兼ね備えた実用パーツ向けの素材です。
SLS特有の表面に粉っぽさが残ったようなザラザラとして手触りが特徴です。
3201 PA-F Nylon
[3201 PA-F Nylon] は、粉末焼結方式(SLS)で造形されJLC3DPが提供するナイロン材料の中でも、高い剛性・熱たわみ温度(147℃)・耐衝撃性を兼ね備えており、実用品や機械部品と言ったものの試作に向いた素材となっています。色はややグレーがかったブラックで、SLS特有の“粉末感”が表面に残ったややマットな仕上がりになっている印象です。
マットでザラザラした手触りとなり、均一な表面仕上がりとなっています。
この質感が好みの方も多いのではないでしょうか?
寸法精度が高く、ねじ込み・差し込みなどの機構部にもそのまま使える精度が出やすいといった特徴があります。
参考 3201 PA-F NylonJLC3DP1172 Pro Nylon
[1172 Pro Nylon] は、上記[3201 PA-F Nylon] と同じくSLSナイロン素材で色味はマットホワイトとなっています。表面は“粉末感があり同じくザラザラとして質感で、こちらは熱変形温度が179℃と少し高くなっているようです。
このザラザラとした質感が独特で、以前キーボード用のケースに使ったことがあります。
綺麗な質感です!
SLM(Metal)
JLC3DPでは、樹脂系マテリアル以外にステンレスやチタンを使った金属3Dプリントパーツの製造も出来ます。
SLM(Metal)にある[316L]を使ったステンレス製の3Dプリントパーツもいくつか試してみました
耐高温性に優れていることから、はんだ作業で使うコテ先ホルダーを作りました。
初メタルプリントしてみた。
こんなのが3Dプリンタで作れるのは驚き🤩316Lってステンレスかな?
金属なのでこのサイズでもズッシリと重い!面取り・フィレット・文字のエンボスなど規定値ギリで設計してみたけど綺麗に造形されてます!
すげぇ~👌提供:@JLC3DP @JLCPCB_Japan @JLCPCB pic.twitter.com/oQG0q01HeX
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) June 5, 2024

またヒートガン用の耐熱プレートも作ってみました。

レジンやナイロンといった一般的な素材に加えて、JLC3DPではステンレスやチタンなど金属マテリアルも扱われています。
一般的な樹脂素材では再現が難しい、このような高強度や耐高温性といった特性を活かした3Dプリントパーツの製造が出来るのも魅力です。
参考 BJ-316L Stainless SteelJLC3DPこれ結構便利なのよねー👌
耐熱シリコンマットでは熱風で変形して作業しづらく!
MDF板とかだと焦げて臭いし、コイツも変形しちゃう!スペーサーで嵩上げして使うのが正解かな👍 https://t.co/wcavZu6TRY pic.twitter.com/CVymJ6gCF6
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) May 23, 2025
【追記】インサートナットの圧入について!
JLC3DPを利用して以前製作した自作キーボードの記事に、インサートナットの圧入についてのお問い合わせを頂きました。
これまで製作した自作キーボード関連のケースは主にレジン系マテリアルを使い製作したものが多くなります。
レジンで造形されたものへのインサートナットの圧入は、FDMフィラメントで造形されたもののように溶けてくれないので本来は熱圧入は推奨されていないようですが、ナットの幅(ホール径)を上手く調整すれば抜けないレベルで圧入することが出来ます。
これまで製作したものではインサートナットのサイズ、例えばM2ナットでも横幅(OD)が3.2mmや3.5mmなどいろいろとサイズがあるわけなので指定したサイズで上手く圧入出来るサイズにCAD調整しています。
ただ、JLC3DPで扱われている透明レジン(8001レジン)では、壁厚が薄いと少し割れやすい(ヒビが入る)性質があるようです。(下写真のように)
実際に割れたことはないですが、8001レジンを使う場合で下記写真右のように壁厚をある程度確保できない場合はホール径に少し余裕を持たせ本来推奨されている接着での固定方法がいい場合もあります。
これまで書いた製作記事ではそのあたりも検証してナットサイズを明記していますが、8001レジンの場合は壁厚が薄い場合にナットを圧入しようとすると少し割れやすい性質があるようなので、ナットサイズを1サイズ小さいものを使い接着する方が安心かもしれませんね。(例えばOD3.5mmで設計されているものでは3.2mmを使って接着するといった具合です)
最後に!
自宅の3Dプリンタはアイデアをすぐ形に出来る手軽さが魅力ですが、形状によってはサポート材の跡やオーバーハングの処理など、仕上がりに限界があるのも事実です。
そうした点でも、JLC3DPのようなサービスを併用することでコストを抑えつつ仕上がりも満足できるプロダクト作りが可能になると思います。
私自身、自宅のFDM 3Dプリンタで試作しながら形状や寸法を詰め、最終的に自分が使う完成品や人に渡すものなどはJLC3DPで高品質に製造してもらうといった使い分けをすることにより、納得いく仕上がりのものを得ることが出来ています。
特にJLC3DPは海外製造メーカーでありながら送料を含めたトータルコストは驚くほど安価で、マテリアルやサイズによっては1点数百円〜数千円程度で綺麗に製造されたものが手に入るのも魅力です!
特にSLA(レジン)では選べるマテリアルの種類が多く価格も手頃、そしてスプレー塗装といったオプションも用意されていることからよく利用しています。
JLCPCB/JLC3DPさんのデカ箱が届いてた!
毎回思うけど、届いて確認作業する時このクオリティーだとテンション上がるよね🤩
自宅の3DPでの試作から、最後にこの本番ケースを装着出来る喜び・・・
Thank you@JLCPCB_Japan @JLC3DP pic.twitter.com/Vm162OpSW5
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) February 21, 2025
微妙な色味の違いや質感など実際に手に取り触れてみないと分からない部分も多いので、今回ご紹介したような小さなテストモデルを使いマテリアルサンプルを作っておくと、実物を手に取って確認出来ることで次回以降の素材選びが便利になるかと思います。

















































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