海外(主に中国)のPCB製造メーカーではPCBの製造以外に3DプリントやCNCといったサービスを提供しているメーカーが多くあります。
JLCPCBもその一つで、JLCPCBでは3DプリントやCNC加工といったサービスを『JLC3DP』という名称で展開されています。
JLCPCBはプリント基板(PCB)の製造料金が他社を利用するより圧倒的に安く、また選べる配送方法も多く(こちらも安い)、製造のトータルコストを大きく下げることが出来るのが最大のポイント・魅力だと思います。
JLCPCBではPCBの製造以外に3Dプリントサービス(CNC加工も含む)も行っていますが、こちらも他社と比べ安価で製造してもらうことが出来るので、PCBとともに設計したケースを作ったりと最近頻繁に利用するようになりました。
最近JLC3DPにハマってる理由がコレ! pic.twitter.com/qbhS6DfWFk
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) July 1, 2024
そしてJLC3DPでレジンのスプレー塗装サービスが開始されました!
こちらも既にかなりの数試させて頂いているので少しご紹介したいと思います。
目次
JLC3DPのスプレー塗装サービスを試してみる!
JLCPCBの3Dプリントサービス『JLC3DP』とは?
冒頭でご紹介したように製造のトータルコストが他社よりも圧倒的に安いため、PCBの製造でJLCPCBを利用されている方結構多いと思います。
趣味レベルでPCBの製作を楽しんでいる私としては製造の精度なども全く問題になることはなくお安いので、PCBの製作ではほぼJLCPCBを利用するようになりました。
JLCPCBではPCBの製造以外に3DプリントやCNC加工といったサービスも行っており、『JLC3DP』という名称で展開されています。
主に3Dプリンタを利用されている方はこちらのサービス名の方が馴染みがあるのかな?
自宅に数台既に3Dプリンタ(FDM機)を所有している私としては、このような3Dプリントを代行するサービスを利用することはないかな?なんて考えていましたが・・・
安価にも関わらずサンディングやスプレー処理といった面倒な後処理もやってくれ非常に綺麗な仕上がりで製造してくれるので、自宅の3Dプリンタで試作して最終的な完成品はJLC3DPに依頼して綺麗に仕上げてもらうといった感じで利用するようになりました。
3Dモデルデータは時間をかけて設計するものですから、僅かな出費(価格は造形物のサイズに比例します)で製作物の最終的な完成度が高くなるのでテンションも上がります!
スプレー塗装を実際に試してみる
そしてJLC3DPの3Dプリントサービスにレジン系マテリアルの『スプレー塗装サービス』が開始されました!
2024年9月現在、[LEDO6060レジン]および[9600レジン]の2種に[スプレー塗装]というオプションが追加され、15色・全30カラー(マットおよび光沢)の塗装仕上げが出来るようになりました。
こちらも非常に綺麗な仕上がりで製造され、そして料金も通常の3Dプリント料金にプラス数ドル程度で利用することが出来ます。
ほんとこの料金で製造出来るのは驚きです!
既に結構な回数このスプレー塗装サービスを利用しているのですが、いくつかご紹介したいと思います。
スプレー塗装サービスを利用した実物を見てみる
サービス開始後ここ最近かなりの頻度で利用させて頂いているJLC3DPのスプレー塗装サービスなんですが、こちらでは全てご紹介しきれないのでこれまで製作したもののごく一部を見ていき雰囲気が伝わればと思います。(後日個別記事を追記しておきます)
こちらはもともとマテリアルに[LEDO6060レジン]と[8001透明レジン]の組み合わせで製作した自作キーパッドのケースです。
スプレー塗装サービス開始に伴い上部ケースを新たに製作してみました。
マテリアルは同じ[LEDO6060レジン]を使い、カラーは[Green Glossy(光沢グリーン)]を選択しています。
LEDO6060標準のホワイトからスプレー塗装オプションにプラス約2ドルほどで製作出来ました。
一気に製品感が増し、市販品として販売されていてもおかしくないレベルではないでしょうかね?(少し言い過ぎかな)
自宅の3Dプリンタで造形しここまで綺麗に塗装するとなると結構な時間と労力が必要になるかと思いますが、このケースは約5ドルほどで製作する事が出来ました。
驚きですね、このお値段!
こちらは初めて製作した40%サイズの自作キーボードです。
こちらももともと[LEDO6060 レジン]でケースを製作していたのですが、新たにスプレー塗装したケースも作ってみました。
塗装色は[Orange Glossy(光沢オレンジ)]を選択しています。
最後にスター・ウォーズ好きとしてはこのような置物も製作してみました。
これはもう販売されていたら買っちゃうレベルな仕上がりです!
塗装色は[Black Glossy(光沢ブラック)]と[White Glossy(光沢ホワイト)]を使っています。
製作したものはまだまだあるのですが、これらの詳しい内容や他の製作物に関しては後日別記事として追記しておきます!
【JLC3DP】スプレー塗装の発注方法
スプレー塗装サービスの利用は、発注項目の中にオプションとして用意されています。
普段JLC3DPのサービスを利用されている方なら迷うことはないと思いますが、発注方法についても書いておきます。
2024年9月現在、スプレー塗装サービスは[SLA(Resin)]の[LEDO6060 Resin]または[9600 Resin]の2種マテリアル(材料)のみ対応しています。
マテリアルに[LEDO6060 Resin]または[9600 Resin]を選択し[表面仕上げ]は[はい]を選択すると、通常のサンディング処理[サンドブラスト]または[スプレー塗装]の選択が出来ます。
[スプレー塗装]を選択しあとは[マット(Matte)]または[光沢(Glossy)]を選び、ご希望のカラーを選択するだけです。通常の価格からオプションとなるスプレー塗装料金が加算されます。
造形物のサイズにより変わってきますが、こちらの例では約2ドルほどの追加料金となりました。
全15色にマットと光沢の2種が用意されているので実質30カラーから選択出来ることになります。
通常の価格にプラス2~3ドル程度の追加料金でスプレー塗装を行うことが出来ます。(造形物の大きさにより料金は変わってきます)
塗装の経験や知識は私は全く無いのですが、僅か数ドル程度の追加料金でこれだけ綺麗に仕上がってきたのは初めて発注して届いた時は非常に驚きました!
JLC3DPの基本的な発注方法などはこちらの記事で詳しくまとめているので合わせて見て頂ければと思います。
スプレー塗装サービス利用の注意点
JLC3DPのスプレー塗装サービスを利用して気付いたところ(注意事項)を書いておきます。
3Dモデルデータ作成時やサービス利用時に参考になればと思います。
- 塗装面は厚みが増す
- モデルデータの外壁・内壁が区別され、完全な塗装は外壁になる
①塗装面は厚みが増す
これは当たり前の話なのですが、造形後に後処理としてスプレー塗装しているのでその塗装分少し厚みが増します。
実測で約0.2~0.3mmほどなので大抵の場合は特に大きな問題になることはあまりないと思いますが、設計時にそのことを考慮しておいた方がいい場合もあります。
先ほどご紹介したこちらの自作キーボード用のケースは、スプレー塗装サービスが開始される以前に[LEDO6060 Resin]を使い製作していました。
[LEDO6060 Resin]はベースが白色で透過性もある程度あることから、ベゼル幅を細めにしてLEDの光が透過するように設計していたものです。
同じデータを使いスプレー塗装ケースも製作したのですが、塗装面は若干厚みが増すためUSB端子まわりが設計時に考えていたクリアランスより若干変わってしまいました。
USB端子部分の設計はこのようなL型の変換プラグも使えるように壁厚等の調整をして設計していたのですが、表面に塗装された分厚みが増したため想定よりもケーブルとUSB端子間のクリアランスが大きくなり使えない形状の変換プラグが出てきました。(通常のストレートケーブルでの使用では問題ないのですが)
後日このキーボードと同じテイストとなるペアのテンキーパッドも製作したのですが、こちらは塗装の厚みも考慮して寸法を調整したので手持ちの数種変換プラグが使えました。
僅かな塗装面の厚みの増加ですが、場合によってはこのようにクリアランスが広くなったり、逆に干渉等に繋がる可能性があるので少し注意が必要です!
②モデルデータの外壁・内壁が区別され、完全な塗装は外壁になる
これは塗装の常識なんでしょうか?
私は塗装に関して全く知識が無いので初めて製作したものが届いた時は「あれっ?」となったのですが・・・
造形モデルの外壁と内壁は自動的に区別されるようですね。
ケースのように外壁と内壁が存在するモデルでは、基本的に内側は見えなくなる部分なので完全な塗装は外壁のみになるようです。
外壁は綺麗に塗装されていますが、内壁は塗装工程で固定に利用していた部分になるのかな?
サポートを外したような跡が残っており完全な塗装にはならないようです。
こちらはカラーが違いますが、内側は完全な塗装がされていません。
基本的に内側は見えなくなる部分なので問題になりませんが、特定の用途で使うものなどの場合は注意が必要です!
また外壁のみのモデルでは目立ちにくいであろう位置に塗装工程で必要となる固定部分の跡?が残るようです。
こちらのモデルでは底面部分に塗装工程の固定で使った跡が残っていました。
目立たない位置なのでこちらも問題になることはあまりないと思いますが・・・どうやって判別してるのかな?
おそらくデータをレビューされるエンジニアさんが判断されているのでしょうね!
JLC3DPでスプレー塗装サービスを利用する場合、データの設計時や発注の際にに少し意識しておくのがいいかと思います。
最後に!
JLC3DPのサービスはPCBを製作する際にそのケースやパネルを作ったりと最近よく利用しているのですが、新たにスプレー塗装という選択肢が増えたのは利用者としては嬉しく、そして僅かな追加料金で利用出来るのは非常にありがたいですね!
ザックリとした紹介でしたが、個々の製作物に関しては別記事でまた詳しくご紹介出来ればと思います。
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