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JLCPCBのCNCサービス、JLCCNCで板金加工(Sheet Metal)を試してみました!

JLCPCBは中国の大手プリント基板(PCB)製造メーカーで、基板製造だけでなく3DプリントやCNC加工など、電子工作や試作に役立つ幅広いサービスを展開しています。

私も自作基板の製作や3Dプリントパーツの製造で、これまでかなりの回数利用しています。

そして同社のCNCサービスであるJLCCNCに新たに『板金加工(Sheet Metal)』が追加され、個人でも手軽に金属パーツを製作出来るようになりました。

板金加工は、ケースやフレーム、スタンドといった金属部品の製作にとても便利そうですが、個人向けに対応しているメーカーは意外と少なく?、さらに製造コストも高くなりがちです!

今回JLCCNCの板金加工を初めて利用してみたところ、1枚わずか数ドルから製造でき、価格は想像以上に手頃だったという印象を受けました。
これなら趣味用途の個人利用でも気軽に試せますし、ちょっとした治具やスタンド類の試作にも十分活用出来そうです。

板金加工サービスの利用はもちろん、CADでのSheet Metal設計も全く初めてという状態からの今回の利用でしたが、非常に満足できる仕上がりでした!

本記事では、データ準備から発注、仕上がりや注意点など、一連の流れをまとめておきます。

JLCCNCで板金加工(Sheet Metal)を試してみる!

今回製作したもの

JLCCNCの板金加工サービスを利用するのは今回が初めてということで、テストも兼ねていくつかパーツを製作してみました。

まずこちらは、普段自作基板の製作で愛用しているミニはんだステーション用のスタンドです。

【電子工作】マイコン制御で機能が豊富!はんだステーションKSGER T12を使ってみる!

ベース材料にアルミ(Aluminum 5052)を選び、表面仕上げオプションを追加してアルマイト(Anodizing)の光沢グレーを指定したものです。
板厚は3mmで設計しています。

これまで自宅の3Dプリンタで造形したスタンドを使っていましたが、アルミ+アルマイト仕上げならではの質感や剛性感、重量感などが加わり、非常に良い仕上がりになりました!

このはんだステーションは普段かなり高い頻度で使っているものなので、ディスプレイの視覚性もアップし、これなら使っていてテンションも上がります!

そしてこちらは、自作マクロパッド用に製作したトッププレートとボトムプレートです。

【電子工作 / PCB】初めての自作キーパッド『4KeyPad』の製作!

こちらは曲げ加工がないため、板金というよりはほぼCNC切削加工に近いものになります。

仕様は同じくAluminum 5052 + アルマイト仕上げで、カラーは光沢スカイブルーと光沢ピンクを選択しました。
板厚は1.5mmで設計しています。

これまでPCB製のプレートを使っていましたが、金属製に変えることで雰囲気がガラッと変わり・・・

また見た目以上に触ったときの質感もプラスされ、かなりいい感じですね!

金属加工を利用するのは今回が初めてでしたが、アルミの質感がとても良く、見た目や質感など含め満足度の高い仕上がりでした!
これがわずか数ドルで製造してもらえるのは、本当に驚きです!

JLCCNCへの発注方法

JLCCNCはJLCPCBの関連サービスとなります。
すでにJLCPCBを利用されている方なら、アカウントは共通なのでそのまま発注することが出来ます。

まずJLCPCBのサイトから、[製品] → [JLCCNC – 板金加工]へと進みます。

[即時見積もりを取得]から製造データ(3Dモデル)をアップロードすれば、見積金額の確認から仮発注まで進めることができます。

JLCCNCの板金加工では複数のデータ形式に対応していますが、STLファイルは不可とのことです!
ベースとなる板金加工データ(3D)には、STEP(.step, .stp)形式のファイルが推奨されています。

JLCCNCの板金加工で入稿するデータに関しては、以下公式ガイドラインが参考になると思います。

参考 板金加工ガイドラインJLCCNC

CADソフトで作成した3Dデータ(STEPファイル)をドラッグ&ドロップしてアップロードします。
ここから製造する素材やオプション等を選択していきます。

今回私が製造依頼したものは、以下設定で発注しました。(表面仕上げは別途オプション料金が発生します)

このサイズのものなら、表面仕上げオプションを付けても10ドルほどの料金で製造出来るようですね!
驚きです!

  • 素材:アルミニウム(Aluminum 5052)
  • 表面仕上げオプション:アルマイト(Anodizing)
  • カラー:光沢を選択

ちなみにアルマイト処理で選択出来るカラーは、現在(2025.12月)、全9色 × (光沢 or マット)の18種類のカラーバリエーションから選ぶことが出来ます。

表面仕上げオプションには、今回選択したアルマイト(Anodizing)のほかに、粉末塗装(Powder Coating)などのオプションも用意されています。

JLCCNCの板金加工でサポートされている材料やオプション仕上げ、カラーバリエーションなどは、以下公式ページが参考になると思います。

参考 Materials Supported in Sheet Metal FabricationJLCCNC

アルミをベース材料にし、表面仕上げオプションを追加しカラーを選択して発注しました。

初発注だということもありテストを兼ねた発注ではありましたが、非常に綺麗な仕上がりで・・・
この価格&クオリティーで製造してもらえるのは、正直驚きですね!

今後はPCB用のプレートやパネル類にも積極的に使っていこうかと考えています。

【追記】
JLCCNCの板金加工サービスでアルミ素材(Aluminum5052)で扱われている全サンプルプレートを製作しました。
CAD設計時や発注の際に、実際の質感や色味等を確認出来るので便利ですね!

【JLCCNC】板金加工(シートメタル)のアルミ・アルマイト仕上げで扱われている全カラーサンプルプレートを作ってみました!【追記】他の表面仕上げサンプルも製作!

また、板金加工では表面仕上げとして[シルクプリント(Silkscreen)]や[レーザー彫刻(Laser marking)]オプションをさらに追加することも出来ます。

これらのオプションを使う場合、シルクまたはレーザー彫刻用のDXF/DWGファイルも用意し追加でアップロードします。

今回の製造品がとても良かったので、現在シルクプリントオプションを付けたPCBパネルも発注しています。
どんな仕上がりで届くのか楽しみです!

実物が届いたら追記しておきます。

【JLCCNC / JLCPCB】JLCCNCの板金加工を利用してPCB用のプレートを製作してみました!

以上、項目の選択ができたらカートに入れて発注への流れとなります。

CNCの発注では後払いのみの選択となり、発注後、エンジニアによるレビュー(データチェック)が行われます。

このレビューが行われた後に、データに不備があればその旨のメールが届くので修正またはキャンセルをする。
また問題がなければ、決済を済ませて本発注となります。(この時点でキャンセルすることも出来るので安心です!)

サポートされている板金の厚みについて

板金データを作成する際に、気を付ける必要があったポイントも少し書いておきます。

シートメタルの設計は今回が初めてとなり、レビュー(データチェック)で弾かれ、データ修正をした項目の一つです!

JLCCNCの板金加工は現時点(2025.12)で、アルミニウム(Aluminum 5052) / ステンレス鋼(Stainless Steel 201) / ステンレス鋼(Stainless Steel 304) / 合金鋼(Cold Rolled Steel)から選択することが出来ます。

対応している最大長は800mmまでとなっています。
また板厚は、0.5mm / 0.8mm / 1.0mm / 1.2mm / 1.5mm / 2.0mm / 2.5mm / 3.0mm / 4.0mm / 5.0mm / 6.0mm が対応しています。

板金(シートメタル)は1枚のフラットな板を元に加工するため、展開図(フラットパターン)のいずれかの辺が800mmを超えるものは製造不可となります。

また、使用する板厚も上記対応できる厚みで設計しておく必要があります。

普段行っている3Dプリントパーツ設計の感覚で好みの厚みを設定していたところ、データチェックで弾かれてしまいました。(お恥ずかしい…)

シートメタルの設計では、使用する材料や板厚を決め、最初に設定しておかないと面倒になるということが分かりました。

これを決めずに設計を進めると、後に板厚変更によりベンドラインとホールとのクリアランスが、JLCCNC側が求める寸法を確保出来なくなり・・・

初シートメタル設計ではよくある話だと思いますが、自分が求める理想的な最終サイズと加工可能な許容サイズとのギャップにより、何度もデータを修正をする羽目になりました!

レビュー後のデータ修正について

発注後、レビュー(エンジニアによるデータチェック)が行われます。
データに問題が無ければ、そのまま決済し製造に進むことが出来ます。

今回、上記のような板厚が対応していないという指摘以外に、データ不備によりいくつか修正が必要な箇所があるいうメールが届きました!

修正ポイント① ベンドラインと穴とのクリアランス

穴の位置がベンドライン(金属を折り曲げる際の折り目の中心)に近すぎるため、変形のリスクがあるという指摘が来ました。

これはリスクを承知で製造に進めることも出来るようですが、今回初発注なのでJLCCNCが求める最低限のクリアランスを保てるようにデータを修正しました。

修正ポイント② Uベンド部分のクリアランス

また、Uベンド(板材をU字型に曲げる加工)部分のクリアランスが不足しているという指摘もありました。

これは加工自体が困難となるため、現状のクリアランスでは製造に進めないとのことで、この部分もデータを修正しました。

参考にした情報

シートメタルのCAD設計は今回初めてだったということもあり、上記のような部分でJLCCNC側がどれだけのクリアランスを必要とするのか?
何かガイドページ的なものが無いかと探したのですが・・・、まだ用意されていないようですね!

SNSでいくつか参考サイトを教えて頂いたので、これらを参考にデータ修正作業を行い製造に進むことが出来ました!
ありがとうございます。


(2025.12.11)【追記】
加工の仕様がよく分からず苦労したのですが、JLCCNCの『板金ガイドライン』ページが更新されました!
細かい加工仕様が記載されているので、設計時の参考になると思います。

ファイルの置換・差し替え

届いたメールにデータを修正する旨を伝えると、発注画面に[ファイルの置換]ボタンが表示されます。

データ修正後、ボタンをクリックしてファイルを差し替えると、再度レビューが行われます。

MEMO
レビュー自体は無料なので、この段階では料金は発生しません!
またキャンセルも自由に出来るので、初めて利用する場合でも安心してデータを入稿 & 修正が出来ます。

製造パーツの到着

板金加工の製造は、目安として4~5日程度となっています。
表面仕上げオプションなどを追加すると、さらに1〜2日ほど製造時間がかかるようです。

今回の発注では、製造完了までに約8日ほどかかりました。
配送方法にOCS Expressを選択し、発注から手元に届くまでに2週間ほどかかったことになります。

JLCCNCの板金加工サービスは最近始まったばかりで、人気のためか?発注が結構混み合っている印象です。
この価格でこのクオリティですから、納期が少し伸びるのは仕方ないですね!

サービスの提供が安定するまでは、PCBや3Dプリントといった他のサービスとの同梱発注は少し控えた方が無難かもしれませんね!(一緒に発注していたPCBの到着がかなり遅れてしまいました)

いつもの大きな青箱に、しっかりとした梱包で届きました!

届いた板金パーツの仕上がりは非常に良く、CADで設計した形状通りに加工されていました。

アルマイトの光沢や色味、質感も良く、3Dプリント品とはまた違った雰囲気、存在感ですね!

曲げ加工部分や穴位置も正確で、特に曲げのRやクリアランスは初めての設計ながら問題ありませんでした。

板厚や強度も想定通りで、使用感も満足度の高いものになったと思います。

これを数ドルで製造してもらえるのは、初めての体験として正直驚きを感じました!

最後に!

今回初めてJLCCNCの板金加工サービスを利用してみました。

シートメタルの設計やデータ修正・発注など、どの工程も初めての経験でしたが、イメージ通りのパーツを手にすることができ少し感動しています!

発注からレビューを受けてのデータ修正など、初めてだと戸惑う部分もありましたが、1枚から手軽に発注でき、サイズによっては数ドルで製造してもらえるのは、個人の趣味用途としては非常にありがたいサービスですね!

これからPCB用のプレートやパネルなどのパーツ製作に大いに活用していけそうです。

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