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【JLCPCB】USB PDトリガーチップ『CH224A / CH224Q』自作評価ボードの製作!

USB PDトリガーICのCH224Kは、以前テストや自作基板の製作で何度か使ったことがあります。

最近、同シリーズの新チップとなる『CH224A / CH224Q』が登場したようですね!

CH224A / CH224QではI2Cでの制御が可能となり、さらにPPSやAVSにも対応するなど、CH224Kとは異なるポイントがいくつかあります!

早速私もデータシートに記載がある全ての使用パターンについてテストが出来るテスト&評価ボードを作ってみることに・・・

それら機能を一通り試せるようなボード構成として考え、実際の挙動を確認しながらテスト等が出来る評価ボードとして仕上げました。

USB PDトリガーチップ『CH224A / CH224Q』自作評価ボードの製作!

USB PDトリガーチップのCH224Kは、以前に自作基板でも使ったことがあり、ブレッドボードでのテストも一通り行いました。

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CH224KはESSOP10パッケージで、背面にサーマルビアが入る少し珍しい?タイプのチップでした。

対応した市販のピッチ変換基板が見つからず、当時は自作のピッチ変換基板を作ることで対応しました!

新たに登場したCH224Aは、パッケージサイズやピン配置がCH224Kとほぼ互換となっているため(使用方法は若干異なります)、以前作ったこのピッチ変換基板を使えば動作テスト自体は出来そうです。(CH224QはDFN10パッケージです)

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ただ、データシートを見るとCH224A/Qで追加されたI2C制御やPPS / AVSの確認を行うには、専用のボードがあった方が便利そうです。

今後の検証や自作PD基板の開発にも使いまわせるよう、CH224A/Qの全動作パターンをテスト出来る構成で自作評価ボードとして今回製作することとにしました。

CH224A / CH224Qについて

CH224シリーズ は、USB PDを含むさまざまなUSB電源プロトコルから指定した固定電圧をネゴシエートして出力することに特化したUSB PDトリガーチップです。

これまでのCH224Kでは最大100WまでのPDプロトコルに対応し、5V/9V/12V/15V/20Vといった定義済みの固定電圧を出力する構成がメインでした。

それに対して新たに登場したCH224A / CH224Qでは、PD3.2 EPS(最大140W) に対応し、さらに10mV刻みで電圧調整可能なPPSやAVSにも対応しています。

単一抵抗構成(Rsetの値)やI/Oレベル(CFG1 / CFG2 / CFG3ピンのレベル)による固定電圧の選択といった基本動作はCH224Kとほぼ同じです。

加えて I2C制御にも対応しているため、マイコンからレジスタを操作することで、固定電圧の指定はもちろん、PPSモードを使った細かな電圧調整なども可能になっているのが特徴です。

詳しくは、別記事としてまとめる予定です。

ボード構成

評価&テストボードとしてデータシートに記載されている基本的な使用構成を一通りテスト出来るように、最終的に以下のような内容で基板を設計・製作しました。

設計当初調べた限りでは、PPSやAVS機能はCH224Qのみ対応とされておりCH224Aでは未対応といった情報が見られたため、どちらのチップでも検証出来るようにダブルチップ構成としています。

しかし、実際にボードを組んで両チップで動作確認をしてみたところ、CH224AでもPPS機能が問題なく動作することが分かりました。(AVSに関しては現時点でまだ未テストです)

本ボードでは、固定電圧、I2C制御、またPPSやAVSでの動作など、CH224A / CH224Qの実際の挙動をテスト出来るようにまとめ、今後の自作基板の開発にも使いまわせる構成にしています。

本ボード構成
  1. 単一抵抗構成による固定電圧の出力
  2. I/Oレベル構成による固定電圧の出力
  3. I2C制御による固定電圧やPPS/AVS機能の利用
参考 CH224 データシートLCSC

①単一抵抗構成による固定電圧の出力

まず、最もベーシックな単一抵抗構成による固定電圧の出力です。

CFG1 – GND間に接続した抵抗値(Rset)に応じて、CH224A/Qが定義済みの固定電圧をネゴシエートします。

本ボードでは、外部のリード抵抗などを使って簡単に定数差し替えも出来るように端子も用意し、ブレッドボード上でも手軽に切り替えられるようにしています。

Rsetの値と要求される固定電圧は以下の通りです。

Rsetの値要求電圧
6.8KΩ9V
24KΩ12V
56KΩ15V
120KΩ20V
210KΩ28V

②I/Oレベル構成による固定電圧の出力

次に、CFG1 / CFG2 / CFG3ピンのI/Oレベルを組み合わせて固定電圧を指定する方法です。
CH224A/Qでは、この3本のCFGピンのHigh / Low状態によって、出力電圧を選択することが出来ます。

CFG2とCFG3は内部プルアップがかかっていますが、CFG1には無いためVHV(VBUS)から100KΩでプルアップさせる必要があります!

下記回路図の状態だと、CFG1~3の状態はLow / HIGH /HIGHとなり、20Vが出力されることになります。

CFG1CFG2CFG3要求電圧
1005V
0009V
00112V
01120V
01028V
MEMO
CFG2 / CFG3ピンは内部プルアップがかかっているため、フロート状態だとHighが出力されます!

本ボードでは、ジャンパーピンで High / Lowを切り替えられるようにし、基板上だけで簡単に固定電圧パターンを変更出来ます。

MEMO
Rsetに何も接続されていない状態で、さらにCFG1~3ピンも全てフロート状態の場合、CFG2とCFG3は内部プルアップがあるため、CFG1=0 / CFG2=1 / CFG3=1 となりデフォルトで20Vが出力されます。

またこの操作をマイコンを使って制御する場合も同様です。
CFG1~3ピンをマイコンのI/Oピンに接続して上記真理値表に従いHigh or Lowを切り替えるだけで、固定電圧の選択が可能となります。

ここで注意したいのが、接続するマイコン側のロジックレベル です!

CFG2とCFG3ピンは最大6.5V耐圧となっているのでマイコン直結でもいいのですが、CFG1ピンの耐圧は最大3.8Vとなっています。
そのため、3.3Vマイコンと接続する場合はCFG1ピンも直結で問題ありませんが、5Vマイコンと接続する場合は2KΩの制限抵抗を入れることが推奨されています。(上記回路図R1です)

本ボードでは、R1がその制限抵抗となっています。
3.3Vマイコンとの接続では0Ω(または短絡)で使用し、5Vマイコンとの接続では2kΩを取り付けることで対応出来ます。

③I2C制御による固定電圧やPPS/AVS機能の利用

CH224A / CH224Qは、I2Cによる制御にも対応しています。

これにより、前述の固定電圧出力の切り替えに加え、PPSモードを使った10mV単位の細かな電圧設定、さらにデバイスによってはAVS機能の利用など、より柔軟な電圧・電流制御が可能となります。

I2Cを使った制御では、以下レジスタテーブルを参照して制御する形となります。

アドレス名称機能
0x09I2CステータスレジスタPDの交渉結果(ステータス)を取得
0x0A電圧制御レジスタ要求する電圧を切り替える
0x50電流制御レジスタ現在使用可能な最大電流を取得
0x51AVS電圧設定(上位バイト)AVS要求電圧の上位バイトを設定
0x52AVS電圧設定(下位バイト)AVS要求電圧の下位バイトを設定
0x53PPS電圧設定レジスタPPSモードの要求電圧を設定
0x60~0x8FPD電源データレジスタアダプタのPD能力データを取得

下記動画は、PPS機能を使い0.1V刻みで出力電圧を可変させている様子です。
比較的簡単にこのような細かい調整も行えるので便利ですね!

これまで使っていた手持ちのPDチェッカーでは、どの電圧を要求してネゴシエートが成立しているのか?
またPPSでどのような細かい電圧設定が行われているのかなど視覚的に分かりにくかったので、Power-ZのPDチェッカーも入手してみました。

このような高機能なPDチェッカーがあれば、I2C経由でのPD動作や、PPS制御の細かい挙動もリアルタイムで確認出来るため、テストや動作検証に便利です。

以上、本ボードはCH224A / CH224Qの基本動作を確認&テスト出来る構成となっています。

PGピンについて

CH224A / CH224QにはPG(Power Good)ピンが用意されており、出力電圧が要求値に到達しているかどうかを外部に通知する役割を持っています。

外部に接続したマイコンなどで、CH224A/Qで要求した電圧が正しくネゴシエートされ出力されているかを確認したり、ステータスLEDを接続して可視化することも可能です。

PGピンはオープンドレインでその耐圧は最大32Vとなっていますが、外部接続したマイコン等で使うことを想定して、本ボードではPGVというピンを設けプルアップさせる構成にしています。

外部接続したマイコンのVCCをこのPGVピンに接続しプルアップさせ、その状態をPGピンから読み取ることで、要求通りの電圧が出力されているかの確認が出来ます。

出力電圧が安定し要求値に達している場合はPGピンはLowレベルに落ち、またそうでない場合はHigh状態(PGV電圧)となります。

eMarkerシミュレーション(オプション)

USB PDプロトコルでは、60Wを超える電力レベルまたは20Vを超える電圧は、これらの電力レベルを証明するeMarkerチップがケーブル内に搭載されています。

本ボードでは、オプション的にCC2ピンに1kΩプルダウン抵抗を接続することで、実際のeMarker搭載ケーブルを用意せずともCH224A/QのPDネゴシエーションやPPS動作のテストが可能となっています。

以上が本ボードの全体構成となります。

JLCPCBに基板を発注

基板の製造は、JLCPCBを利用しました。

CH224A / CH224Qチップは本ボード製作時(2025.11月)、LCSCでは扱われていますがまだ入手出来るところがあまり多くないようなので、PCBAを利用し実装済み基板として発注しました。

いつものように基板データ(Gerber)をダウンロード出来るようにしておきます。(BOM/CPLファイルも含まれています)

JLCPCBへの発注方法も少し見ておきます。
JLCPCBのサイトに基板データ(ガーバーファイル)をアップロードします。

発注項目の選択は特記すべきところはありませんが、[PCB上のマーク]は[マーク除去]を選択しておいて下さい!
基板カラー(PCBカラー)はお好みで!

MEMO
自身で全てのパーツを用意して実装する場合は、このままカートに入れて発注して下さい。(基板単体またはステンシルも選択)

JLCPCBでの基本的な基板発注方法は、こちらの記事で詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。

【電子工作 / 基板製作】これから始める自作基板。JLCPCBでの基板発注ガイド(2025年版)

パーツ実装サービス(PCBA)を利用する場合、下にある[PCB組み立て]にチェックを入れ以下項目を選択します。

[PCBAタイプ]は[エコノミック]、[組み立てサイド]は[トップ面]を選択し、必要な枚数(2枚 or 5枚)を選択します。(今回5枚を選択しました)

[次へ]をクリックし、パーツ実装面の確認です。
トップ面で問題がないので[次へ]進みます。

BOM(BOM-CH224A Development Board.csv)とCPL(CPL-CH224A Development Board.csv)をドラッグ&ドロップしてアップロードします。

次に実装パーツの確認です。
R1/R4はテスト環境により定数が異なり、またR3はオプション扱いなので、これらパーツは実装リストから外して発注しました。

また本ボードは、CH224AおよびCH224Qの両チップに対応しています。
使用の際はどちらか一方の選択となりますが、今回両チップを実装しました。

最後に部品の配置(向き)に誤りがないかの確認です。
CH224チップやターミナルブロックが正規の向きと違っているので、スペースキーを押して正規の向きに修正しておきます。

以上、見積価格が表示されるので、カートに入れて決済への流れとなります。

JLCPCBのPCBA利用方法に関しては、こちらの記事で詳しくまとめています。
あわせて見て頂ければと思います。

【JLCPCB】自分で設計しなくてもOK!オープンソース基板をJLCPCBのPCBAサービスを利用して実装済み基板を発注する手順

基板の到着

実装済み基板は、発注から10日ほどで手元に届きました。

今回CH224A / CH224Qの両チップを実装していたので、一方を外してCH224AボードとCH224Qボードの2パターンを作っておきました。
外したチップは、今後のストックとして置いておきます。

チップの取り外しは、MHP50というミニリフロー装置を使いました。
普段、自作基板の実装作業で使っていますが、特定パーツの取り外しなどにも便利に使えます。

【電子工作 / PCB】ミニリフロー装置『Miniware MHP50』を使ってみる!加熱性能や安全設計はMHP30から全て引き継がれ使い勝手がさらに向上した便利なリフロー装置です

JLCPCBの通常基板のPCBAでは、融解温度が260℃ほどの高温はんだペーストが使われています。
ホットプレートを270°C前後の温度設定にしておけば、簡単に取り外すことが出来ます。

あとはピンヘッダーを取り付けて完成です!

使用パーツ一覧

今回使用したパーツの一覧です。
自身でパーツを実装される場合は参考にして下さい。

パーツ定数入手先
コンデンサ
(0805)
C1 1μFAliExpress
抵抗
(0805)
R1 0Ωまたは2kΩ
R2 100kΩ
R3 1kΩ(※オプション)
R4 Rset(6.8k/24k/56k/120k/210k)
R5 10kΩ
AliExpress
CH224A/QU1 CH224A(ESSOP10)
U2 CH224Q(DFN10)
AliExpress / LCSC
端子J1 Type-C(16P)AliExpress / 秋月電子
J8 ターミナルブロック(2P 5.08mmピッチ)AliExpress / 秋月電子
ピンヘッダー / ピンソケット / ジャンパーピンーーー

最後に!

今回製作したCH224A / CH224Q自作評価ボードは、データシートに記載されている基本的な使用方法に加え、以下の機能を確認&テスト出来る構成になっています。

本ボードの特徴
  • 単一抵抗(Rset)による固定電圧出力
  • CFG1~3ピンのI/Oレベルによる固定電圧出力
  • PGピンによるステータスの監視
  • I2C制御および、PPS / AVS機能の利用

実際に使いながらまだテストを行っている段階ですが、使い勝手は非常に良く、チップ単体での固定電圧出力やマイコンによる制御、またI2C制御やPPS動作の挙動確認など、幅広く試すことが出来ると思います。

今後、USB PDを利用した回路設計や可変電源の製作、また各種PD動作の検証を行う際にも、基礎的な動作確認および汎用的に活用出来るボードになったと思います。
何かの参考になれば幸いです。

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