昨年2024年は自作キーボードの世界にも足を踏み入れ、趣味として大変楽しい時間を過ごすことが出来ました。
安価な中華マクロパッドをたまたま購入した事をきっかけに、CAD作業でちょっとしたマクロパッドがあると便利じゃないか!?
そんな思いから4キーのみのシンプルな自作マクロパッドを設計&製作してみたのですが、これが思いの外使いやすく自作キーボードの世界にハマっていくきっかけになりました。
オリジナルの自作キーボードを製作するには、基板(PCB)の設計や3D CADを使いケースやプレートなどの設計、またQMKやZMKといった自作キーボードで使われているファームウェアの作成などが必要となり、これは普段趣味でやっている電子工作的な目線で見ても非常に面白くその製作過程では多くの知識が得られるのも楽しくなります。
まだ自作キーボードの製作を始めて半年ほどですが、昨年は自分で設計したオリジナルの自作キーボードやマクロパッドを8個、そしてオープンソースで公開されているものを2個の計10個製作していたようです。
自分でも気付きませんでしたが結構な数作っていたんだなと!
CADデータの整理中・・・
これまで作った自作キーボードを並べてみた!
そろそろブログでまとめたいところなんだけど・・・自作キーボードの世界にちょこっと足を突っ込んでまだ数ヶ月だけど、見返してみると結構作ってるね🤩 pic.twitter.com/I5urJo3WMd
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) November 3, 2024
自作キーボードに限らず昨年は趣味での製作物を作ることに集中していたせいか、完成後そのほとんどをブログでまとめることがまだ出来ていないのが現状です。
自作キーボードに関してはこれから個別でブログ記事にまとめていこうかと考えていますが、結構な数となり製作後時間が経ってしまったものも多いため、製作している当時のことを思い返しながら当記事ではこれまで作った自作キーボード&マクロパッドの概要を少しまとめておこうかと思います。
目次
【2024年】これまで製作した自作キーボード&マクロパッドまとめ
これまで製作した自作キーボードやマクロパッドを製作順に概要をまとめていきます。
後日、個別記事で詳細を書いた際はリンクをしていく予定です!
4KeyPad
初めて製作した自作キーボードがこちらです。
CAD作業で使っているSpaceMouseの横に置いてちょっとしたショートカットキーとして使えるように設計した4キーのみのシンプルなマクロパッドになります。
初めての製作となり、自作キーボードって?QMKって?・・・
そんな状態から始めたので、自作キーボードの基礎を学ぶことが出来た大変思い入れがあるマクロパッドです。
Pro MicroやRP2040 Zeroといった既存のマイコンボードを使った方が基板設計的には簡単で、またはんだ付け(パーツ実装)も簡単になるのですが、普段やっている自作基板の製作としても楽しめるようにMCU(ATmega32U4)を基板に直実装させる設計で製作しました。
以後自分で設計&製作する自作キーボードは全てマイコンチップを直で基板に実装するタイプのものを製作しています。
既存のマイコンボードを使う時よりリフロー等によりパーツを実装(またはPCBAを利用)する必要があり慣れていないと難しくなってくるかと思いますが、普段電子工作でやっている基板製作の練習にもなり、また自作キーボードの製作を進めていくと分かってきたのですが基板やケース設計の自由度も上がる印象を受けます。
そしてこの初めてのマクロパッド製作で利用して非常に良かったのがJLCPCBの3DプリントサービスとなるJLC3DPです。
普段PCBの製作でスポンサーになって頂いているJLCPCBさんの計らいでJLC3DPのサービスも利用させて頂いたのですが・・・。
製作当初アクリルパネルで作る予定だったパネルをJLC3DPの透明レジンを使い製作してみたのですが、これが非常に良く!
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以後製作する自作キーボードのパネルやケースは全てJLC3DPを利用するようになり、自作キーボード以外の製作物でも頻繁に利用させて頂くようになりました。
HandyPad15
上記初めてのマクロパッド製作で自作キーボードの設計手順やQMKファームウェアの基本的なことなどが理解出来てきたので、キー数を増やしたマクロパッドを製作しました。
こちらもFusion360やKiCadといったCAD作業で使うショートカットキーを割り当てて使える左手マクロパッドというコンセプトで製作したものとなります。
CADで使うショートカットキー以外にレイヤー切り替えでテンキーパッドとして使えるようにキーマップしてCAD作業で使っています。
25mmのロータリーエンコーダーを1台取り付けたのですが、キーに指を置いた時に左手親指がちょうどいいポジションになりエンコーダーを回せるように設計し3Dプリンタで何度も試作をして調整していきました。
自分の手のサイズに合わせて使いやすい形状で設計したり出来るのは自作ならではの楽しみであり、自作キーボード設計の醍醐味でもありますね!
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こちらもATmega32U4を基板に直実装させて設計したのですが、自作キーボードの基板ってキースイッチやソケットなどかなり多くのホールが開くため実装面積が思った以上に取れなくて設計は難しくなりますよね。
LEDも実装しようと思うとさらに実装スペースが限られ、MCUやその周辺パーツを実装するためのスペース確保が大変となり基板設計は難しかった記憶があります。
しかし不思議なもので、一度作ってしまうと次は同様のものなら簡単に作れるようになっているのですが・・・(この繰り返しですね!)
JLC3DPのスプレー塗装したトップケースと透明レジンを使ったボトムケースとの組み合わせでLED点灯が綺麗に映る、満足出来るマクロパッドとして仕上げることが出来ました。
JoyTap40
キーボードとしては初めての設計となる40%サイズのものを製作しました。
キーマップを何度も考えあれやこれやと変更しながら3Dプリンタでモックを作り楽しかった思いがあるのですが、製作後使いにくかったら置物になっちゃうな、なんて思いもありながら製作していたのですが・・・
使いやすいキーボードとなり現在常用しているキーボードになりました。
30%サイズまで小さくなるとさすがに今の自分では使いこなす自信がありませんが、40%サイズはコンパクトで少し使うとすぐに使い慣れるので便利だと思います。
当初MCUはRP2040を使う予定でしたが、RP2040を使うとその周辺パーツがATmega32U4を使う場合と比べ多くなり実装スペースがかなり厳しくなることからATmega32U4を使うことにしました。
今ならRP2040での実装も可能ですが、後に製作した『SnapMate』というマクロパッドでMCU実装スペースに関していろいろとテストすることになりました。
JLC3DPで扱われているマテリアル(材料)に関してもある程度分かってきたので、壁厚を調整しLEDが綺麗に透過するケースを製作することも出来ました。
初めての自作キーボード『JoyTap40』くん、ひとまず完成!
頑張ってCADった世界にたった一つだけのキーボードなので、とにかく可愛い🥰
ファームの修正とキーの割り当てとかこれからやっていく・・・
Thank You JLCPCB👍
提供:@JLCPCB_Japan @JLC3DP @JLCPCB pic.twitter.com/ekGOXbjpXX— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) August 2, 2024
自宅で普段使いのキーボードとして使いやすかったので、気分を変えて使えるようにJLC3DPのスプレー塗装サービスを利用してカラー塗装バージョンのケースも製作したり・・・
気分によってケースカラーを変えたり出来るのも自作キーボードの楽しいところですね。
スゴく可愛いキーボードになりました。
TinyTap
コンパクトに使えるおもちゃのようなキーボード・・・
そんなコンセプトでちょっとネタ的に作り始めたのですが、結構可愛いミニキーボードが作れました。
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コンパクトなサイズ感を出すためにトップ&ボトムパネルをPCBに密着させたのですが、その際にパーツが干渉する部分の切り込みを作るのがCADで結構手間がかかりました。
これまで自作キーボード製作でいくつかこのようなパネルやケースを作ってみて、非常に便利な方法があることを発見!
例えばPCBにアクリルパネルとかケースなどを密着させて取り付けたい場合、当然パーツが干渉するのでその部分を切り抜く必要があり、毎回結構手間だったんだけど・・・
これ、KiCadのコートヤードレイヤーを3D CADに引っ張ってくれば一発じゃん!
ってことに気付いてしまった朝活です☀️👍️ pic.twitter.com/8EMcZCKV5v— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) November 7, 2024
またこのキーボードではPCBに配置するパーツやその位置を含めた完成モデルを先に3D CAD上で作っておかないと、パーツが干渉するパネル切り込み部分の壁厚を適切に確保するのが難しくなるということもありその調整も大変でした!
キーボードの設計ってハード的にはMCUまわりとキーマトリクスとの組み合わせが基本となりそれほど難しいものではありませんが、作っていくと3D CADのスキルなども身に付いてくるのがいいですね!
NumTap20
上記40%サイズの自作キーボード『JoyTap40』が使いやすく常用するようになったので、このキーボードのコンセプトに合わせてペアとなるテンキーパッドも製作してみました。
40%キーボードでは通常サイズのものからファンクションキー列や数字キー列が削除されレイヤー機能を使い必要ならそれらキーにアクセスして使うといったキーボードとなり、文字入力といった通常の作業では少し使うと慣れてコンパクトで使えるキーボードとして便利なんですが、物理キーがある方が作業効率がいい場合もあります。
特にCAD作業では数値を入力する頻度が高いため、レイヤー機能ではなく物理的なテンキーがある方が効率よく作業が出来る場合が多いと思います。
ケース設計やサイズ・デザインなど上記キーボードにコンセプトを合わせたテンキーパッドを作りました。
CAD作業で必要な時にペアテンキーとして使っています。
私の場合左利きのため右手でテンキーを打つのが苦手なのでいつもキーボードの左側に置いて使っているのですが、テンキーパッドは一つあると便利ですね!
既存のマイコンボードを使う時よりMCUチップを直実装することにより、想定するサイズや配置で作りやすいのもいいですね!
ペアのテンキーパッドとしてケースサイズなど上手く統一して作ることが出来ました。
TouchCard
これは自作キーボードのジャンルに入るか分かりませんが、電子工作で自作基板の製作を始めた時からいつかオリジナルの名刺基板というものを作ってみたかったので静電容量式のタッチキーを使いマクロパッドとして使える名刺基板を製作してみました。
PCBにカスタムパッドを作り込み手を触れた時の静電容量の変化を読み取りスイッチ判定するというもので、ATmega32U4を使いQMKファームウェアで使えるようにしています。
REMAPを使いキーマップの変更も簡単に出来るので、ちゃんと実用で使える面白く便利な名刺基板になったと思います。
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PockeTouch
上記の静電容量式タッチキーを使った名刺基板が良かったので、RP2040を使いマクロパッドとしても作ってみました。
物理スイッチを使っていないのでボトムケースを含めても非常に薄いマクロパッドとして完成させることが出来ました。
タッチ感度も問題なく、物理スイッチが付いていないのに触れるだけで反応する・・・ちょっと不思議な感覚で使えるマクロパッドになりました。
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レイヤーの切り替えやLEDの点灯などで部分的にタッチキーを使う、アイデア次第で自作キーボードの製作でこれから面白く使うことが出来そうです。
SnapMate
これまでATmega32U4を使ったものが多かったのですが、キー数の多いキーボードやレイヤー数を増やしたり、またOLED等々扱うようになるとATmega32U4のフラッシュ容量では少し心もとない場合が出てきました。
ATmega32U4のフラッシュ容量は32KBありその内ブートローダーが2KBほど使っているので実際に使える容量は30KBほどとなるのでしょうか?
QMKファームウェアをコンパイルする際に容量がギリギリですよ、なんていう警告が出るようになってきました。
そしてまだ私はvialなどは使っていませんが、今後使うようにもなると思うのでATmega32U4では容量的に・・・なんてことを思うようになったことから、RP2040を直実装するテストとしてマクロパッドを作ってみました。
ATmega32U4を使う場合に比べてRP2040を使うと実装に必要なパーツ数が結構増えてしまいます。
RP2040は3.3V駆動のマイコンチップなので3.3V LDOが必要となり、内蔵フラッシュが無いため外部フラッシュの接続も必要となります。
またLEDを取り付けたい場合にはMOS-FET等を使ったレベルシフトも必要となることから、ATmega32U4を使う時に比べパーツ点数が増えてしまい限られたPCB内に収めるのが大変となります。
自作キーボードの基板って穴ボコだらけで思った以上に実装スペースを取ることが出来ないですよね!
1Uピッチで配置したスペースではホットスワップソケットやSK6812 MINI-EといったRGB LEDを使っていてもATmega32U4ではクリスタルや抵抗・コンデンサといったMCUまわりの周辺パーツは容易に配置出来るのですが・・・(下写真はATmega32U4を使った配置)
RP2040だと更に必要なパーツが増えてしまうためスペース的に結構大変となってきます。
もちろん使用するパーツのパッケージサイズにもよりますが、一般的によく使われる実装しやすい0603サイズでは上下0.5Uピッチほどズラせば配置・配線は比較的簡単には出来るのですが・・・
何パターンかテストしてCAD上で作っていたので、テストだけで終わらせるのは勿体ないかな?ということで、RP2040を使ったミニマクロパッドとして製作してみました。
既存のマイコンボードを使った場合は干渉してしまうのでさらにボードサイズを大きくする必要があると思いますが、MCUを直で実装する場合は自分のイメージに近いサイズ感のものが作れるのがいいですね!
Lily58 Pro
上記ご紹介したものは全て自分で設計&製作した自作キーボードやマクロパッドたちなのですが、オープンソースで公開されているものもいくつか作っています。
分割キーボードも一度は使ってみたいと思っており自分で設計途中のものがあるのですが、まずはどんな使い心地なのか試してみたく『Lily58 Pro』を作ってみました。
他の方が設計されたものをCAD上で組んでみたり実際に製作してみると現時点で今の自分が持ち合わせていない知識などを得ることが出来て大変勉強にもなりました。
そしてLily58 Proは製作者の方がPCBデータを共有して下さっているので、私は販売されているものではなくPCBを発注しケースは独自のものを設計して完成させました。
朝活、自作キーボード!
すぐに使い慣れてきた。寝る前にセットした3Dプリントパーツがモジャってたので左の試作ケースは完了せず😅
中身スカスカだから音が反響するんだな。
試作終わったらパーツは結合して中身充填📝 https://t.co/x1kON83EBb pic.twitter.com/WCw3BWQYSL— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) September 1, 2024
Disorder30
こちらもオープンソースで公開されている自作キーボードです。
キー数的にマクロパッドとしての扱いになるのかな?
偶然見かけて一目惚れしてしまい、製作してみました。
ちょっと一目惚れ感😍(コンセプトが)
Disorder30っていうオープンソースの自作キーボード⌨️このキー数だとマクロパッドの分類になるのかな?
一回CAD上で組み立ててみて作るか考えよう・・・📝
右側のPCBはカットしてショートバージョンが良さそう👀 pic.twitter.com/5K5hPl6UBs
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) December 12, 2024
ケースデータなど細かい部分に少し手を加えてPCBとケースをJLCPCB/JLC3DPに発注して完成させました。
非常に気に入っています。
Disorder30製作の詳細はこちらの記事で詳しくまとめているので合わせてみて頂ければと思います。
最後に!
2024年後半にちょっとしたきっかけから自作キーボードの世界にも足を踏み入れました。
自作キーボードって何?という状態からいきなり見様見真似で自分で設計したものを製作するようになったのですが、今年はオープンソースで公開されているものなど他の方が設計されたもので気に入ったものがあれば定期的に作りテクニック等を学ばせてもらおうかとも考えています。
これまで私が製作した自作キーボードやマクロパッドたちの概要だけを簡単にまとめてみましたが、まだブログに詳細を書けていないものが殆どなのでこれから個別記事で詳しくまとめていこうかと考えています。
その際はあらためてリンクを貼っておきます。
自作キーボードの世界、非常に楽しいですね。
みなさんが沼っているのも納得です!
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