こちらの記事の追記となります。


PCB製造メーカーによる基板製造には、プリント基板(PCB)の製造だけでなく、電子パーツの実装も同時に行ってもらうPCBA(Printed Circuit Board Assembly)というサービスもあります。
パーツ実装済みの基板が届くので、すぐに動作テストや試作品の確認、プログラムの検証といったことに使えるのが便利で、開発のスピードアップにもつながります。
また入手しにくいパーツを扱う場合などで、自分で部品を探して購入し届くのを待ってから基板に実装する・・・といった手間が省けるため、試作や個人開発で重宝する場面は多いと思います。
私自身もJLCPCBのPCBAサービスを利用するようになり、最近ではその利用頻度も高くなってきたことから、PCBAサービスの利用方法などを上記記事にまとめました。
今回は追記記事として、JLCPCBのPCBAサービスで扱われる『エコノミックPCBA』と『標準PCBA』について簡単にまとめておきます。
JLCPCBのパーツ実装サービス 『エコノミックPCBA』と『標準PCBA』について!
JLCPCBのパーツ実装サービス(PCBA)には、大きく分けて「エコノミックPCBA」と「標準PCBA」の2種類があります。
個人利用の開発用途では、エコノミックPCBAで製造できる基板設計を意識することで大幅にコストを抑えることができます。
JLCPCBのエコノミックPCBAは、設定料金がわずか8ドルと非常に安価な価格設定になっているので試作や少量生産に最適です!
最終的なトータル費用は、ベースとなる基板製造料金にこのPCBA設定料金、そして実装するパーツの料金や拡張コンポーネント料金などが加算されて算出されます。
一方で、エコノミックPCBAでは対応出来ない基板仕様や製造内容を含むものは、標準PCBA扱いとなります。
標準PCBAでは、設定料金がエコノミックPCBAの8ドルから50ドルへと大きくアップしてしまいますが、エコノミックPCBAでは対応出来ない、例えば表面処理にENIG(金メッキ)を選択したり、Vカットによる面付け、両面実装基板の製造といったエコノミックでは制限される多くの製造オプションが利用可能となります。
エコノミックPCBAの特徴
個人利用の実装済み基板の製造では、エコノミックPCBAに収まる基板設計を意識することで、大幅にコストを抑えることができます。
このプランでは、PCBAサービスでかかるベースとなる設定料金がわずか8ドルと非常に安価で、趣味用途など少ロット自作基板の製作に最適です!
標準PCBAと比べると制限される項目はありますが、逆に言うとこの範囲に収まる基板製造であれば、安価でパーツ実装済み基板を製造してもらうことが出来ます!
以下は、エコノミックPCBAで利用できる主な仕様の抜粋です。
詳しくは下記リンクの[エコノミック(経済的な)PCBA / 標準PCBA]ページを参考にして下さい!
- アセンブリタイプ:片面実装のみ
- PCBレイヤー:2層 /4層 /6層のみ対応
- 基板の厚み:0.8mm – 1.6mm
- 表面仕上げ:特定のオプションに制限あり(ENIGなど)
- PCBカラー:特定のカラーで制限あり
- 納品形式:片面実装済み基板、マウスバイト付きパネル形式(Vカットパネルは不可)
- エッジレール&認識マーク:不要
- PCBサイズ:10mm×10mm – 470mm×500mm
- PCBパネルサイズ:10mm×10mm – 250mm×250mm
エッジレールの扱い
趣味用途の個人製作で作るごく標準的な基板設計であれば、おそらくエコノミックPCBAの範囲内に収まると思います。
ただし、両面実装基板や6層以上の多層基板、特定の表面処理(ENIGなど)を選択する場合、また面付け(パネル)やエッジレールにVカットを入れるものになると標準PCBA扱いとなります。
最近JLCPCBのPCBAサービスを利用する機会が増え何度か試してみたのですが、エッジレールやツーリングホールの扱いには少し注意が必要かもしれません!
エコノミックPCBAでは基本的にエッジレールは不要で、ツーリングホールはJLCPCB側におまかせすることが出来ます。(自身で用意したデータを使い位置を指定することも可能)
ツーリングホール(Tooling Hole)は、プリント基板の製造や実装工程で位置合わせ(位置決め)に使われる穴のことです。
基板単体データを入稿してJLCPCBにおまかせする場合、このツーリングホールが基板内の意図しない位置に追加されることがあります。
そのため、基板のデザインによっては「そこに入ってほしくなかった…」という状況になることもあるかと思います。
こんな感じですね!
もし基板内の特定の位置に指定してツーリングホールを入れたい、または基板内に入るのを避けたいといった場合は、JLCPCBの仕様に従いホールの位置を指定したり、またエッジレール付きデータを自身で用意する方が安心です!
参考 PCB組立注文における工具穴の追加方法JLCPCBただ、エコノミックPCBAではVカットが使えないため、例えばマウスバイト付きデータを作るといったことが必要となります!
また面付けする場合も同様で、Vカットを使用すると標準PCBA扱いとなってしまいます。
KiCadで基板を設計している場合、KiKitといったプラグインを使えばこのようなマウスバイト付きデータを簡単に作成することが出来ます。
エッジレールを付けておけば、ツーリングホールの位置を指定しなくても基本的にJLCPCBさんがエッジ側に逃がしてくれるようです。
エコノミックPCBAを利用する際に、ツーリングホールを意図しない位置に入れたくない場合は、このようなデータを自身で作成して入稿するのがいいと思います!
「カット面を綺麗に仕上げたい」などの理由でVカットを使いたい場合は、エコノミックPCBAの対象外となり標準PCBA扱いになってしまう点にも注意が必要です!
標準PCBAの特徴
上記、エコノミックPCBAで製造出来る範囲を超えるものは標準PCBA扱いとなります。
JLCPCBのサイトに基板データ(ガーバーファイル)をアップロードし、目的の製造項目を選択してエコノミックの範囲を超える場合は標準のみしか選択出来ない状態になるので分かりやすいと思います。
エコノミックPCBAと比較すると多くの制限が解除されますが、PCBA製造でかかる設定料金が50ドルと大きく上がってしまいます。
- アセンブリタイプ:片面および両面実装が可能
- PCBレイヤー:1~32層基板に対応
- 基板の厚み:制限なし
- 表面仕上げ:制限なし
- PCBカラー:制限なし
- 納品形式:片面実装済み基板、両面実装済み基板、マウスバイト付きパネル、Vカット付きパネル
- エッジレール&認識マーク:必要
- PCBサイズ:70mm×70mm – 460mm×500mm
- PCBパネルサイズ:70mm×70mm – 250mm×250mm
エッジレールの扱い
標準PCBAでは、エッジレールと位置合わせ用の認識マーク(フィデューシャルマーク)が必要になります。
基板設計後に自身でレールやフィデューシャルマーク入りのデータを作成してもいいのですが、こちらもJLCPCBにおまかせすることが出来ます。
標準PCBAではVカットが使用出来るため、JLCPCBにおまかせすると標準的にVカットが入ったエッジレール(捨て基板)付き実装基板が届くようです。
フィデューシャルマークやツーリングホールもエッジレール側に自動で追加されています。
面付け方法や基板上の突起パーツなどにより干渉の問題が発生する場合があるなど特定の条件以外では、基本的にJLCPCBさんにおまかせすれば手間もかからずいいと思います。
そして標準PCBAでは、PCBサイズの最小値は70mm×70mmとなっています。
んん?これより小さな基板の製造ではどうなるのか?
極小基板で試してみたのですが、JLCPCBにおまかせすると最小サイズ(70mm×70mm)のサイズ内にVカットラインが入った製造で届きました。
なるほど!

自身で70mm以上になるようにレール入りのデータを作るといった手間がなく、JLCPCB側でやってくれるので便利ですね!
最後に!
JLCPCBのPCBAサービスには、『エコノミックPCBA』と『標準PCBA』の2種類があり、それぞれにコストと機能のバランスがあります。
個人製作や少ロット生産では、エコノミックPCBAの範囲内で設計を工夫することで、安価に実装済み基板を製造してもらうことが出来ます。
一方、標準PCBAでは、Vカットが使えたり、自宅の作業環境では難しくなる両面実装基板の製造を行えるなど、より柔軟な製造・実装条件にも対応しています。
どちらを選ぶにしても、設計段階でどこまでがエコノミックPCBAの範囲かを理解しておくことで、スムーズな設計・発注にもつながると思います。
またPCBAサービスは、部品の入手や実装の手間を大幅に省けるという点でも便利で、試作や検証のスピードを大きく向上させてくれる非常に有用なサービスだとも感じています。
何かの参考になればと思います・・・。



















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