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【自作基板 / JLCPCB】1セルリポバッテリー専用 クイックチャージャーボードを製作してみました![TinyCharge LiPo / BQ24075]

最近、リポバッテリーを扱った自作基板を製作することが多くなってきました。

リポバッテリーは乾電池などと比べてエネルギー密度が高く、小型・軽量でありながら大きな電流を取り出せるため、こういった自作基板を作る際に便利に使える電源の一つになると思います。

一方で、製作する基板や試作用途などにより使用するバッテリーのサイズ(容量)はさまざまで、試作段階では容量の異なるバッテリーを使用し、また充電する機会も少なくありません。

そのため、バッテリー容量に合わせて充電電流を手軽に切り替えられる充電器があると便利だと考え、1セル専用のクイックチャージャーボードを製作してみることにしました。

1セルリポバッテリー専用 クイックチャージャーボードの製作![TinyCharge LiPo]

リポバッテリーを扱う機会が増えてくると、それに伴い充電するバッテリーの種類や容量もさまざまになってきます。

リポバッテリーの充電電流は、一般的にバッテリー容量と同じ値(1C)を上限の目安として充電することが推奨されています(対応する充電レートはバッテリーの仕様によって異なります)。

例えば、公称値300mAhのバッテリーであれば300mA、1000mAhであれば1A程度が目安となるため、安全に充電するためにはバッテリー容量に応じて適切な充電電流を選択することが重要です。

1セルリポバッテリー用の充電器については、以前にも製作したことがあります。

リポバッテリーだけでなく、LIR2032(CR2032の二次電池タイプ)の充電にも対応したシンプルな充電器で、これまで日常的な充電用途で活用してきました。

【電子工作 / PCB】MCP73831を使ったボタン電池LIR2032 & リポバッテリー充電器の製作!充電コントローラーチップMCP73831の基本的な使い方!

機能面では特に不満はなくこれまで問題なく使用していましたが、最近では容量の異なるバッテリーを扱う機会も増えてきたことから、バッテリーごとに充電電流を変更したい場面も多くなってきました。

例えば、小容量の150mAh~300mAhクラスのバッテリーでは100~300mA程度、大容量の1000mAh以上のバッテリーでは500mA~1A程度といったように、バッテリー容量に応じて充電電流の切り替えができると、より安全かつ効率よく充電することができます。

そこで今回は、充電電流を100mA~1.5Aまで数段階ワンタッチで切り替えられる、1セルリポバッテリー専用のクイックチャージャーボード『TinyCharge LiPo』くんを新たに製作してみました。

ボードコンセプト

1セルリポバッテリー用の充電ICとしては、これまでMCP73831やTP4056、CN3065などを使用したことがありましたが、今回はTI製のBQ24075を採用することにしました。

BQ24075は、1セルリポバッテリー用のリニア充電ICで、USB入力に対応しているほか、充電電流の設定や各種保護機能を備えています。

さらに、パワーパス(Power Path)機能を内蔵していることが大きな特徴です。

パワーパス機能を利用することで、USB電源が接続されている場合はシステム負荷へ優先的に電力を供給しながらバッテリーを充電し、USBを取り外した際には自動的にバッテリー駆動へ切り替わります。

バッテリーを充電しながら負荷側の機器をそのまま使用するといった用途では、上記チップよりも便利に使えることが多いと思います。

BQ24075については、以前に評価ボードを製作しており、充電特性やパワーパス機能などを一通り検証していました。(後日、個別記事で詳しく書こうと思います)

動作も非常に安定しており、扱いやすい充電ICであることが分かりました。

【JLCPCB】JLCPCBに発注していたリポバッテリー検証用ボードが届きました! [BQ24075 / BQ27441]

現在は、BQ24075に加えてバッテリー残量計や電流・電圧モニターなどを組み合わせた、より高機能なバッテリー管理ボードの製作も進めています。

その前段階として、まずは充電機能に特化したシンプルかつ実用的な充電器として、今回のクイックチャージャーボードを製作したという流れとなります。

電子工作用途で一般的によく使用されるリポバッテリーの容量を考慮し、本ボードでは100mA / 300mA / 500mA / 1.0A / 1.5Aの5段階から充電電流を選択できる構成としました。

充電電流はボタン操作で簡単に切り替えられるため、複雑な設定やジャンパピンの変更などは必要ありません。

USBケーブルとバッテリーを接続したら、バッテリー容量に合わせた充電電流をボタンで選択するだけで、そのまま充電を開始できます。

操作方法も非常にシンプルなので、小容量のリポバッテリーから比較的大容量のバッテリーまで、手軽に充電できる使い勝手の良い充電ボードになったと思います。

充電チップBQ24075の制御用マイコンには、WCH製のCH552Pを採用しました。

CH552Pは非常に小型な8ビットマイコンですが、今回の用途に十分な数のGPIOを備えているほか、USBデバイス機能も内蔵しています。

充電用のUSB Type-Cコネクタをそのままファームウェアの書き込みにも利用できるため、書き込み専用のコネクタや端子類を追加する必要がなく、ボードサイズをコンパクトにすることが出来ました。

小型ながら機能が充実しており、このようなちょっとした制御用途には非常に扱いやすいマイコンチップです。

【電子工作 / PCB】自作CH552G開発ボードの製作!

CH552Pを採用し、USBコネクタを充電とファームウェア書き込みで兼用できる構成としたことで、設計当初に目指していた手のひらサイズのコンパクトなボードとして仕上げることが出来ました!

注意
リポバッテリーは取り扱いを誤ると、発熱・発火など重大な事故につながる危険があります。
本記事の内容を参考に製作・使用される場合は、十分に安全を確認したうえで、すべて自己責任にて行ってください。
また、本記事を参考にしたことによって生じたいかなる損害・事故・故障等についても、当方は一切の責任を負いかねます。

JLCPCBに基板を発注

基板の製造は、今回もJLCPCBを利用しました。

今回はアセンブリサービス(PCBA)を利用し、部品の実装までJLCPCB側で行ってもらいました。

製作したボードデータ(Gerber / BOM / CPL)は、以下からダウンロードできるようにしておきます。
今回のボードが何かの参考になれば幸いです。

発注時の基板仕様については、基本的にデフォルトで選択されている項目から変更する必要はありません。
今回このように発注しました。

また、自身で部品を用意して実装する場合は、ステンシルも一緒に発注しておくことをおすすめします。

今回使用した充電ICのBQ24075やマイコンチップCH552Pは、QFN-16(3mm×3mm)と非常に小型なパッケージのチップです。

このような小型ICは、はんだペーストの量や塗布位置によって実装品質が大きく変わり、また裏面に放熱用パッドもあるため、ステンシルを使用して適切な量のはんだペーストを塗布することで安定した実装がしやすくなります。

JLCPCBの基本的な基板発注方法については、以前の記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧いただければと思います。

【電子工作 / 基板製作】これから始める自作基板。JLCPCBでの基板発注ガイド(2025年版)

PCBAを利用される場合は、エコノミックPCBAで製造出来るパーツ構成等になっているので比較的お安く製造することが出来ると思います。

PCBAの利用方法は、こちらの記事が参考になると思います。

【自作基板 / 電子工作】JLCPCBのパーツ実装サービスPCBAを試してみました!自作基板の製造からパーツ実装までをおまかせ発注
【JLCPCB】自分で設計しなくてもOK!オープンソース基板をJLCPCBのPCBAサービスを利用して実装済み基板を発注する手順

基板の到着

配送方法にOCS Expressを選択し、発注からちょうど7日でパーツ実装済みの基板が手元に届きました。

JLCPCBのPCBAサービスは、今回のような小規模な基板製造でも非常に短い納期で製造されるため、毎回そのスピード感には驚かされます!

到着した基板も、いつもながら綺麗な仕上がりでした!

今回PCBAで実装済み基板を2枚発注したつもりでしたが、どうやら間違えて5枚発注していたようです。

ただ、今回のように特殊なパーツを使用していない一般的な構成の基板では、基板枚数の増加に対するパーツ費用は比較的小さいため、2枚発注と5枚発注では最終的な金額差は数ドル程度しか変わらないため発注時には全く気付きませんでした!

今回製作したボードは完成品として普段使いすることを目的としたボードですが、例えば実験用の試作基板を製造依頼する場合などでは、測定や部品交換などを繰り返すことで破損させてしまうことが結構あるので、動作確認用や予備分なども含めて多めに発注しておくのも良いと思います。

JLCPCBのPCBAサービスは、そのような試作や検証用途の基板製作でも最近よく活用しています。

【自作基板 / JLCPCB】自作基板の下準備。PCBAでDIP化基板を作り、チップ待ち・実装待ちを解消し試作時間を短縮する!

ファームウェアの書き込み

最後にファームウェアの書き込みを行います。
Arduino IDEを使用して書き込みを行いました。

CH55x(今回はCH552Pを使用)をArduino環境で使用するためには、あらかじめ[ch55xduino]ボードパッケージをインストールしておく必要があります。

CH55xシリーズを使用するのが初めての方は、こちらの記事で導入方法を詳しく紹介していますので参考にして下さい。

【電子工作】CH552をArduino環境で使ってみる!

ファームウェアはこちらからダウンロードして下さい。

上記ダウンロードしたファイルをArduino IDEで開き、ボードに[CH552 Board]を選択します。

設定項目は以下のようになります。
基本的にはデフォルト設定から変更する必要はありません。

ファームウェアの書き込みを行う際は、本ボードのDFUスイッチを押した状態でUSBケーブルを挿し込みPCと接続します。

これはCH552をUSB経由の書き込みモード(DFUモード)へ移行させるための操作です。

あとは通常通りArduino IDEの書き込みボタンを押すだけで、ファームウェアの書き込みが開始されます。(シリアルポートの選択は不要です)

無事に書き込みが完了すると、以下のように表示されると思います。

以上でファームウェアの書き込みは完了です!

書き込み後は、そのままバッテリーチャージャーとして使用できます。

操作方法は非常にシンプルです。
USBケーブルを接続すると、安全のため最低充電電流となる100mAで充電が開始されます。

充電電流を変更する場合は、本体のスイッチを押して設定値を変更します。

設定変更時は充電は一時停止しますが、1秒以上ボタン操作が行われないと、その時点で選択されている充電電流で自動的に充電が再開されます。

以上で、クイックバッテリーチャージャー、TinyCharge LiPoの完成です!

使用パーツ一覧

使用したパーツの一覧です。
自身でパーツを実装する際や、LCSCで在庫切れとなっている部品を代替パーツへ変更する際の参考にして下さい。

パーツ定数入手先
コンデンサ
(0603)
C1/C2 100nF
C3 4.7μF
AliExpress
コンデンサ
(0805)
C4 1μF
C5/C6 4.7μF
AliExpress
LED
(0603)
D1/D2/D3/D4/D5/D6(オレンジ)
D7(グリーン)
AliExpress
ヒューズ
(1206)
F1 2.0AAliExpress
USBコネクタJ1 Type-C(16P)AliExpress / 秋月電子
バッテリーコネクタJ3 JST-PH(SMD 2P)AliExpress / 秋月電子
MOSFET
(SOT-23)
Q1/Q2/Q3/Q4 AO3400AAliExpress / 秋月電子
抵抗
(0603)
R1/R3/R6/R7/R8/R11/R12 1.5kΩ
R2/R13/R14/R15/R22/R23 10kΩ
R4/R5 5.1kΩ
R9 1kΩ
R10 680Ω
R16 0Ω
R17 100kΩ
R18 1.1kΩ
R19 8.87kΩ
R20 4.3kΩ
R21 2.2kΩ
AliExpress
タクトスイッチ
(SMD)
SW1/SW2 3mm×4mm(SMD 4P)AliExpress
MCUU1 CH552P(QFN-16)AliExpress / 秋月電子
充電ICU2 BQ24075RGRTR(VQFN-16)AliExpress

最後に!

電子工作用途でリポバッテリーを扱う機会が増え、使用するバッテリーのサイズや容量も用途によってさまざまなものを使うようになってきました。

そこで今回は、バッテリー容量に合わせて充電電流を簡単に変更できる、シンプルで使いやすいクイックチャージャーを製作してみました。

USBケーブルを接続し、使用するバッテリー容量に合わせた充電電流をスイッチ操作で切り替えるだけで簡単に充電を開始できるため、複数のリポバッテリーを扱う際にはとても便利です。

簡単操作でシンプルに使える、このようなチャージャーは1台あると何かと重宝しますね!

今回、充電チップには以前評価ボードを製作して動作検証を行っていたBQ24075を採用しました。

シンプルな充電器として製作するため主に充電機能のみを利用していますが、BQ24075にはパワーパス機能など便利な機能が搭載されています。

BQ24075については別記事で詳しく紹介し、各機能や実際の使用方法などについてもまとめてみたいと思っています。

また、今回は充電機能に特化したボードとして製作しましたが、フュエルゲージチップと組み合わせることで、バッテリー残量や消費電流、充電状態などを確認できる、より高機能なバッテリー管理ボードの製作も考えています。

こちらについても事前に回路やファームウェアの検証を行い基板の設計まで進めているので、今後別の記事で紹介できればと考えています。

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