こちらの記事の追記となります。

最近、自作基板の製作でリポバッテリーを扱う機会が何かと増えてきました。
特に、USBコネクタを備えた小型ガジェットやゲームエミュレータなどでは、バッテリーで駆動するだけでなく充電機能も付けておきたいと考えることも少なくありません。
仮リポ繋いでテスト…
リポの充電とUSB電源との切り替えは問題無さそう👌充電テストして問題無ければ表面の操作スイッチ取り付けて完成させよう… https://t.co/uMskL8Hy58 pic.twitter.com/DFIek70tDx
— ガジェット大好き!! (@smartphone_jp1) September 20, 2025
1セルリポバッテリー向けの充電ICにはさまざまなものがありますが、定番どころではTP4056やXC6802、MCP73831などが挙げられると思います。
中でもMCP73831(MCP73832)は、省スペースなSOT-23-5パッケージを採用しており、最小限の外付け部品だけで安全な充電回路を構成できることから、最近よく使用しているチップです。
他のチップと比べ充電電流が最大500mAと少し控えめですが、小型(小容量)のバッテリーで扱う場合は十分だと思います。
秋月電子でも取り扱いがあり、入手しやすい点も気に入っています!
上記の記事に、お問い合わせのメールを頂いていました。
『(一部抜粋) 記事を拝見し、秋月電子でMCP73831を購入したのですが、データシートを見たところ型番が似ているMCP73832との違いは何でしょうか?』
確かに、どちらも同じSOT-23-5パッケージ(またはDFN-8)で、回路例もよく似ています。
前回の記事の補足として、今回はMCP73831とMCP73832の違いについて簡単に見ていきたいと思います。
目次
1セル専用充電管理IC「MCP73831」と「MCP73832」の違いについて!
MCP73831 / MCP73832は、公称電圧3.7V(満充電4.2V)のリチウムイオン / リチウムポリマー電池を、USBなどの5V電源から充電するための充電管理ICです。
SOT-23-5やDFN-8といった小型パッケージを採用しており、外付け部品も少ないことから、省スペースでシンプルな充電回路を構成することができます。
そのため、自作基板でも採用しやすく、個人的にもよく使用している充電ICのひとつです。
参考 MCP73831 / MCP73832 データシート秋月電子通商MCP73831とMCP73832は、充電アルゴリズムや基本的な使い方はほぼ同じですが、両者には『STATピン』の動作に違いがあります。
STAT(ステータス)ピンとは、チップが現在『充電中』なのか『充電完了』なのかといった動作状態を、外部のLEDやマイコンなどへリアルタイムに知らせるための信号出力ピンです。
LEDによるシンプルな状態表示だけでなく、マイコンから充電状態を監視したい場合にも重要なピンとなります。
それでは、MCP73831とMCP73832のSTATピンの違いについて見ていきましょう。
STATピンの違いについて
MCP73831のSTATピンはプッシュプル出力
充電中はSTATピンがLOWレベルとなる点は、MCP73831 / MCP73832ともに共通です。
そのため、このようにLEDを接続することで、充電動作中にLEDを点灯させることができます。
そして、MCP73831のSTATピンにはプッシュプル出力が採用されています。
プッシュプル出力とは、出力ピンがLOWだけでなくHIGH側にも能動的に駆動できる方式で、外部プルアップを必要としないことが特徴です。
そのため、MCP73831では充電完了時にSTATピンがHIGHレベルとなります。
この性質を利用し、先ほどの回路にもう1つLEDを追加して接続方向を工夫することで、充電中と充電完了時のそれぞれで異なるLEDを点灯させることができます。
外付けトランジスタなどを追加することなく、STATピンだけで充電状態を視覚的に表示できるため、シンプルな充電インジケータを構成したい場合に適しています。
MCP73832のSTATピンはオープンドレイン出力
対して、MCP73832のSTATピンはオープンドレイン出力となっています。
オープンドレイン出力とは、出力ピンがLOWレベルへは能動的に駆動できるものの、HIGHレベルを直接出力することができない方式なので、仮にHIGHレベルとして扱う場合には外部プルアップが必要になります。
LOWレベルは出力できるため、MCP73831と同様に充電中にLEDを点灯させることは可能です。
一方、充電完了時にはSTATピンがHIGHレベルを出力するのではなく、オープン状態(High-Z)となるため、MCP73831のようにSTATピンだけで充電完了LEDを直接点灯させることはできません。
充電完了時にLEDを点灯させたい場合には、プルアップ抵抗によって生成したHIGHレベルを利用しトランジスタなどを介してLEDを制御したりする工夫が必要になります。
一方で、プルアップ抵抗によってHIGHレベルへ引き上げられることから、マイコンの入力ピンへ接続して充電状態を監視しやすいというメリットがあります。
また、オープンドレイン出力は異なる電圧系統の回路とも接続しやすいという特徴があります。
例えば、STATピンを3.3Vへプルアップすることで、3.3V動作のマイコンへ安全に充電状態(LOW または HIGH)を通知することも可能です。
このように、LEDによるシンプルな充電状態の表示を重視するならMCP73831、マイコンによる充電状態の監視や他の回路との連携を重視するならMCP73832が扱いやすい構成になっています。
どちらも充電機能そのものに違いはなく、STATピンをどのように活用したいかに応じて選択するといった感じになると思います。
基本的な使い方については、以前紹介したこちらの記事も参考にしてみてください。

最後に!
前回の記事の追記として、1セル専用充電コントローラーIC「MCP73831」と「MCP73832」の違いについて見てきました。
両者は充電アルゴリズムや基本的な使い方に大きな違いはなく、どちらも少ない外付け部品で安全な充電回路を構成できる扱いやすいICです。
一方で、STATピンの構成には違いがあるため、LEDによるシンプルな充電状態の表示を行いたい場合にはMCP73831、マイコンによる充電状態の監視や異なる電圧系統との接続を考慮する場合などではMCP73832が扱いやすいといった感じになると思います。
リポバッテリーを扱う自作基板を製作する際の充電IC選定の参考になれば幸いです。











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