自作基板を製作する際は、まずブレッドボード上で試作回路を組み、動作確認や各部の検証を行ってから基板設計へ進むことが私の場合は殆どです。
特に初めて使うマイコンやICチップなどを採用する場合、また少し複雑な制御回路や電源回路を組む際には、この事前検証はほぼ必須の作業になると思います。
データシートを見ながら、各ピンの機能や必要な周辺部品、起動条件、電圧条件などを確認し、実際に想定どおり動作するかをチェックします。
あわせて、データシートの内容を読み違えていないか、解釈にズレがないかといった点もこの段階で確認できます。
私の場合、基本的に抵抗1本に至るまで、実際に基板化する時とできるだけ同じ構成でブレッドボード上に回路を組み、動作確認を行うようにしています。
基板サイズに対して実装面積が厳しい場合には、「IC内部にプルアップ機能があるので、この抵抗は省略できる」や「このコンデンサ容量は変更しても問題ない」といったことなども、この時点でデータシートと照らし合わせながら検証できたりもします。
私のように自作基板製作歴がまだ浅い場合、このように実際に基板化する回路と近い条件で事前確認を行っておくことで、設計後の手戻りや実装後のトラブルを減らし、結果としてミスの少ない基板製作につながると思っています。
しかし、こうした事前検証を行うには、使用するチップやパーツの入手に加えてピッチ変換基板なども別途用意する必要があるなど、手間がかかります!
普段の試作では主にこのような流れとなり、上記写真のように実際に試作回路を組んで動作確認や検証ができる状態になるまでに結構な時間を要することが多かった印象です。
- ICチップやパーツを入手(購入)
- ピッチ変換基板を入手
- 手作業やリフローではんだ付け
- ようやく試作回路が組め、検証等を行える
気が付けば、これまでの検証で使ったピッチ変換基板に取り付けた特定パーツのテスト用基板も結構な数になっていました。
これはごく一部ですが、以降ブレッドボード上で試作回路を組み検証等を行う際に、組み合わせて使えるため非常に楽で便利になります!
そして最近では、この一連の流れが面倒になることが多いことから、ピッチ変換基板(DIP化基板)を自作し、アセンブリサービス(PCBA)を利用してそのままパーツの実装までまとめて依頼するという方法をよく取るようになりました。
通常であれば、上記のようにICチップを手配し、対応するピッチ変換基板を探して購入、その後に自身ではんだ付けを行ってようやく試作に使える状態になるため、部品点数が少ない内容でも意外と準備に手間と時間がかかっていました。
その点、PCBAサービスを利用すれば、基板到着時点でテスト対象パーツが実装された状態で届くため、ピンヘッダなど必要最低限の部品を取り付けるだけですぐに使用できます。
自身でパーツを個別購入する場合に比べると、多少コストがかかってしまうケースもありますが、JLCPCBのPCBAサービスでは非常に短納期で10日かからずに実装済み基板が手元に届きます。

また、ピッチ変換基板はパッケージによっては市販品の種類が少なく、そもそも適合するものが見つからなかったり、海外取り寄せ等で到着まで時間がかかったりすることも結構あります。
そのような場合でも、自身で変換基板そのものを作ってしまいアセンブリサービスを利用すれば、必要なピン配置やサイズで用意できるうえ、実装まで完了した状態で届き、試作着手までの時間を大きく短縮することが出来ます。
JLCPCBのPCBAコストについて
JLCPCBのアセンブリサービス(PCBA)には、主に『エコノミックPCBA』と『標準PCBA』の2種類があります。
今回のような「ICチップを1つ載せる」「抵抗やコンデンサを数点追加する」といったシンプルな基板であれば、多くの場合エコノミックPCBAの対象範囲内で利用することが出来ます。
エコノミックPCBAは、ベースとなる設定料金が8ドルと非常に安価に設定されています。
ここに基板製造費や実装するパーツ料金、またステンシル料金や必要に応じた追加費用などが加算されトータルの製造料金となります。
今回の目的となるシンプルなピッチ変換基板であれは、大抵の場合おおよそ17ドル前後(5枚製造する場合)のコストで収まると思います。

また、実装するパーツにもよりますが、拡張パーツ(Extended Parts)が含まれる場合は1種類につき3ドルの拡張コンポーネント料金が加算されるので、使用部品次第ではおおよそ17~20ドル前後になるイメージです。

この料金を安いと感じるか、高いと感じるかは人それぞれだと思います。
ただ、単純に基板代金だけで見るのではなく、
- ICチップやパーツを別途入手(購入)する手間
- ピッチ変換基板を探して購入する手間
- 試作開始まで待たされる時間
こういった見えにくいコストまで含めて考えると、この料金で時間や手間を買える手段としては、かなり優秀なのではないかと感じています。
何か別の基板を発注するタイミングにあわせて同梱しておけば、このような小さな基板であれば送料が別途かかることもないのでお得です!
私としては、試作スピードを重視したい時や、使用したい部品の入手性があまり良くない場合、また対応するピッチ変換基板が手に入りにくい場合など、価値のある選択肢の一つだと感じ、内容や用途に応じて最近このような方法も積極的に利用するようになりました。
最後に!
今回のように、試作で使うピッチ変換基板そのものを設計しPCBAサービスで実装まで済ませてしまう方法は、少し前まではあまり考えていなかった使い方でしたが、実際に試してみると選択肢の一つとして十分にありだと感じています。
部品を集め、変換基板を探し、手作業で実装してから試作に入るこれまでの流れに比べると、届いた時点ですぐ使える状態になっているのは大きなメリットです。
特に、限られた時間を有効に使いたい時や、思い立ったタイミングですぐ検証を始めたい時に、この差はかなり大きいと感じています。
もちろん、毎回この方法が最適というわけではありませんが、試作スピードを優先したい場合や特殊パッケージ部品を扱う場合には、非常に相性の良い手段だとも思っています。
自作基板製作というと、どうしても完成品の基板づくりに目が向きがちですが、その前段階となる試作環境を整えることも、結果として開発全体をスムーズにしてくれます。
また同じ考え方で、最近はブレークアウトボードや最小構成で組んだ評価用ボードを作ることもよくあります。
例えば、データシートで必須とされている回路などをあらかじめ組み込み、単なるピッチ変換基板ではなく、そのまま動作確認に使える小型ボードとしてまとめてしまうイメージです。

配線の手間や組み忘れを減らせるだけでなく、次回以降もすぐ再利用できるため、結果として試作全体の効率化にもつながっています。

今後も用途に応じて、このような方法を活用しながら効率良く試作を進めていこうと思います。
何かの参考になれば幸いです。













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